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LIFESTYLE

2022.11.23

戸田恵梨香さんインタビュー「仕事のための人生から、30代は人生を充実させるための仕事を」

女優として第一線で活躍し続けている戸田恵梨香さん。30代に入ってから少しずつ仕事へのスタンスを変化させているという戸田さん。これまでの生き方、そして、これからの戸田さんが目指す「幸せなことを選択する生き方」とは。

仕事のための人生から、人生のための仕事へ

文字どおり「休む間もなく」、出演作品が続いているのは実力と人気の証だけれど、30代に入ってからの戸田さんは、少しずつスタンスを変化させている。

それは、未来を見据えた自分なりのペース配分。そのぶん、ひとつひとつの悩みに頭と体で向き合ってゆっくり答えを出していく。

多忙なこれまでの日々を否定するのではなく、あれでよかったと思えるために。

「自分の時間を大事にする」戸田さんにとっての30代とは

戸田恵梨香

仕事を始めたのは、11歳のとき。そこからの約20年は、「土台づくり」の時期だったと戸田さんは振り返る。

「何をやりたいか、どんな俳優になりたいか、明確なものはありませんでした。どうしたら目の前にある芝居を成立させられるか、どうアップデートしていくか。日々そればかり悩んで、考えて。振り返る時間もなく、ただ仕事のために生きてきました。

でも、そろそろ自分の時間を大事にするときだと思っています。今までは、仕事のための人生。これからは、人生を充実させるための仕事を。それが、私にとっての30代です」

力を抜いた方が、自分にたりなかったものが見えてくる

戸田恵梨香

これまでのインスタの投稿をすべて削除して、自ら「リセットする」と宣言して話題になったのが、30歳のとき。化粧品ブランドのミューズ、NHK朝ドラのヒロイン、ドラマの主役と、華やかな活躍も続いた。

「この先、どうなるかなんて、自分にもだれにもわからないのが、この仕事。そんな緊張感がいつもありました。でも仕事のことしか考えなくなると、やがてなんのために働いているのか、わからなくなってしまう。

そんなときは、何かを自分で変えてみたり、力を抜いたときのほうが、自分にたりなかったものが見えてくることもある。そう気づきました」

自信が持てない、ブレることもまだまだ多い。

戸田恵梨香

「それでもまだ、人生の中で確たる自信が持てないことも多いと思います。私の場合、芯が強いように思われることもあるけれど、ブレることもまだまだ多いと思います。私の場合、強そうに見えて、実は弱い人間だと思っています」

たりなかったもの。それを戸田さんは「自分の軸づくり」と表現する。そこには、10〜20代で積み上げたことの上に、「自分自身で判断する」ことも含まれる。

奇しくも、最新主演映画『母性』においても、その大切さを感じることとなった。

ロジカルだけでなく、体で感じながら解決

戸田恵梨香

「今までさまざまな役をやらせていただきましたが、そのすべての役に共感できているわけではありません。今回のルミ子という役もまさにそうでした。その上、年齢も経験も、演じるにはすべての要素がたりない。

では、たりないところをどうやって埋めていくか。感情だけではなく、どうやって役を成立させるか、ロジカルに考えました。

脚本にどんな意味があるのか、自分に期待されているものは何か。そうやって突き詰めても答えが出ないときは、現場に立ってその場で生まれるものを大事にしながら表現するしかありません。

ルミ子は、実母(大地真央)に対して強い愛情と敬意をもって育ちました。きっと、母親が人生そのものだったのでしょう。だから、大地さんのお芝居を見て、母親の要素を自分の中に入れ込みました。

結局はロジカルだけではなく、体で感じながら解決していきました」

「幸せなことを選択する」という生き方

戸田恵梨香

頭と体とで生み出すお芝居、特に戸田さんと大地さんがリンクする動きや語り・装いは、この映画の見どころのひとつ。そして物語の「軸」となるのは、タイトルのとおり、それぞれがもつ『母性』である。では、戸田さん自身の母性はというと…。

「6つ年下の妹に対して、自分がまだ幼いながらも面倒を見たい、守りたい、という気持ちが芽生えたのは、今思うと母性だったのでしょう。そして今回共演した永野芽郁ちゃんにも。

わからないときは、『戸田さん、あれはどういう意味ですか?』と、素直に聞いてくる。そんな芽郁ちゃんに私から言えることは『考えすぎず、思ったままやればいいんじゃない』でした。

そして極論をいえば、母性はホルモンの働きでしかないのかな、とも思います。それが何かの拍子に間違ってしまうと、理性に反した行動を取らせることもある。(映画『母性』の)ルミ子のように。

すべては、ホルモンのなせるわざ。理論だけでは語れないし、正解もありません。ただ、その人にとって幸せなことを選択しているのだったら、それが正解なのだろうとも思います。だから… いろんなことがあったけれど、ルミ子は幸せだったんだろうなと」

好きなことを守りながら生きていく

幸せなことを選択する。これは、戸田さんが目指す生き方でもあり、最近になって戸田さんに向けられる言葉「かっこいい」を内側からつくるもの。

「私が考えるかっこいい女性は、自分の好きなものをわかっている人。そして、それを守りながら生きている人。今私の好きなものは… 自分の時間、家族、そして… お寿司です(笑)」

戸田恵梨香

映画『母性』

映画『母性』ビジュアル
©2022 映画「母性」製作委員会

作家・湊かなえの大ヒット小説が待望の映画化。ある未解決事件の顚末を、“娘を愛せない母”と“母に愛されたい娘”それぞれの視点から振り返る。母娘で証言のくい違う、事件の真相とは。出演:戸田恵梨香 永野芽郁 大地真央 高畑淳子ほか 11月23日(水・祝) 全国ロードショー

“クリスタセヤ”のジャケット¥217,800・パンツ¥126,500・“エクストリーム カシミア”のニット¥71,500(ビオトープ) ブーツ¥200,200(ピエール アルディ 東京〈ピエール アルディ〉) ピアス¥26,400(エドストローム オフィス〈ボーニー〉)

●この特集で使用した商品の価格はすべて、税込価格です。

2022年Oggi12月号「この人に今、これが聞きたい!」より
撮影/中田陽子 スタイリスト/影山蓉子(エイトピース) ヘア&メイク/Haruka Tazaki 構成/南 ゆかり
再構成/Oggi.jp編集部

戸田恵梨香

戸田恵梨香(とだ・えりか)

1988年生まれ、兵庫県出身。近年の代表作は、『劇場版 コード・ブルー −ドクターヘリ緊急救命−』『あの日のオルガン』『最初の晩餐』、ドラマ『大恋愛〜僕を忘れる君と』『ハコヅメ〜たたかう!交番女子〜』、NHK連続テレビ小説『スカーレット』など。

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Oggi12月号で商品のブランド名に間違いがありました。114ページに掲載している赤のタートルニットのブランド名は、正しくは、エンリカになります。お詫びして訂正致します。
【消費税の価格表記について】 記事内の価格は基本的に総額(税込)表記です。2021年4月以前の記事に関しては税抜表記の場合もあります。

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