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LIFESTYLE

2022.11.09

俳優・阿部サダヲさんインタビュー「30代は、次々に仕事をして、子育てもやって、まるで毎日が早回しみたいだった」

時代劇からドラマ、映画まで。殺人鬼から「いい人」まで。30年間で約200もの役を演じてきた俳優・阿部サダヲさん。「30歳までに芽が出なかったら辞める」と語っていた阿部さんが、今も役者を続けている理由とは。どれだけ多くの経験を積んでも、実績にこだわることはない。欠点さえも個性にしてしまう、阿部さんの生き方に迫ります。

経験と知識は、溜まったら捨てる。いつでも「まだまだ」な自分がちょうどいい

どれだけ多くの経験を積んでも、阿部さんは実績にこだわることはない。ときには、それが邪魔になってしまうことさえある。

いつも何か足りないくらいのほうが、人間らしいし温かみがあるものだから。欠点さえも個性にしてしまう、阿部さんの生き方とは。

阿部サダヲ

「すぐに辞めよう」そう思って、小さな舞台から始まったキャリア

時代劇から現代ドラマまで、殺人鬼から「いい人」まで。30年間で演じた役は約200。そのキャリアは、小さな舞台から始まった。

「舞台に立ったのは22歳のときでした。バイトを転々としていた時期、たまたま見かけた『大人計画』のオーディションに応募して、知識も経験もない自分が、どういうわけか受かって。

面白そうな経験として、一応やってはみるけれど、すぐに辞めよう。そう思っていたせいか、初舞台でも緊張することはなくて、覚えているのは、お客さんが笑っている光景です。あれは、なんだか不思議な世界でしたね。

その舞台が終わって片づけをしていたら、温水洋一さん(俳優)の代役を探しているということで、ちょっとドラマに出てみないかと誘われて…」

劇団に入って2ヵ月後に初舞台、そして6ヵ月後にドラマ出演。異例の猛スピードでの抜擢だった。

大きな買い物をしてそれに向かって頑張る

阿部サダヲ

「そこから次々と舞台に立つようになって、やがて大人計画だけでなくほかの劇団や同世代の役者とも顔を合わせるようになります。すると、どういうわけか、僕に関心をもって質問をしてくる人たちがいる。いつから芝居やってるの? とかね。こんな僕に関心をもってくれるなんて。

また、出演者同士で『ここはよかった。あそこは、もっとこうすればいいんじゃないか』なんて話もする。すごく新鮮で、すごく楽しかったなあ。それまで僕にとって仕事は、なんとなく、そしてイヤイヤやるものだったから。

その後、NODA・MAPのオーディションに受かったり、私生活では結婚をしたり、どちらも30歳手前でした。30歳で子供ができてからは、さらに意識が変わりましたね。いや、変わらなきゃいけないと思っていたのかもしれません。

それで、先に車を買って、そのために頑張る。大きな買い物をしてそれに合う自分になることを目標にするんです」

「楽しかったな」と言えれば、それでいい

阿部サダヲ

かつて阿部さんは、「30歳までに芽が出なかったら辞める」と周囲に話していたことがある。けれど、実際に30代に入ってみれば、その宣言を思い返すことは少なかった。思い返す暇もなく、出演作が続いたからだ。

「ただただ、夢中でした。次々に仕事をして、子育てもやって、まるで毎日が早回しみたいで、そのころの写真を見返して、あんなことあったんだって、ようやくわかるという。大変なこともあったのに、案外覚えていないんですね。まあ、それでいいんじゃないかと思います。

知識は増えたかもしれないけれど、いらない知識も多いし、積んできた経験も、できることなら捨ててしまいたい。楽しかったな、そう言えればいいんです」

その結果が、30年間での約200本出演。しっかり役づくりをするものもあるが、経験も知識も自意識も「捨てて」のぞむことで、新しい役も誕生させてきた。

そのひとつが、最新主演映画『アイ・アム まきもと』である。

映画『アイ・アム・マキモト』
©2022 映画『アイ・アム まきもと』製作委員会

映画『アイ・アム まきもと』
市役所勤めの牧本に与えられた仕事は、身寄りがないまま亡くなった方を埋葬する「おみおくり係」。孤独死問題を考えつつ、笑って泣けるエンターテインメント映画。出演:阿部サダヲ 満島ひかり 宇崎竜童 松下洸平 ほか 9月30日(金)全国の映画館で公開。

だれでもどこかしら欠けているもの。それが個性であり魅力

「わかりやすいキャラづくりはしないように、特徴をできるだけつくらないように。僕が演じた牧本は、市役所のおみおくり係として身寄りのないご遺体を扱うのが仕事です。

空気は読めないし、人の話を聞かないし、迷惑もかけてしまいます。でも、特別なことじゃなく、どこにでもいる普通の人。そして、牧本だけでなくだれでもどこかしら欠けているところはある。それが個性であり、魅力じゃないでしょうか。

僕ですか? 空気は読みすぎてしまうし、周囲の小さな反応も気になるから、牧本と真逆です。気になりすぎて、本番で集中できないのが欠点ともいえるけど、まあいいかな、と思ってます。人と違う方向を見ているのも、面白いものですよ」

おみおくり係として働く牧本は、身寄りのない遺体でも、参列者をなんとしても探し出し、葬儀をあげるという、自分のルールを突き通す。そしてその頑固さが、周囲の人の心と行動を変えてゆく。

「今、人の目や空気を気にする一方で、人との交わりが希薄になってる。そう思うと、牧本が探し続ける“人とのつながり”、そして亡くなった人を大事に弔うことは、意味あることだと思います。

世間では葬式をしないことも増えているようですが、僕自身は葬式もいいものだなと思うようになりました。小さな葬式でいいですから… いや、ずっと先のことですけれど。まだ気持ちは30代のままだし(笑)、成熟すらしていないので」

「まだまだ!」と死ぬまで自分にエールを送り続けよう

阿部サダヲ

経験と知識がたまったら、クリアにして、あいたスペースにまた知識と経験を入れて。そんな繰り返しで年を重ねていくことが、阿部さんの願いだ。

「まだやっていない役がたくさんありますから。映画の牧本は自分自身に『頑張った、頑張った』と声をかけていたけれど、僕だったら『まだまだ!』と死ぬまで自分にエールを送り続けよう。

で、死を迎えるときがきたら、静かに逝きたい。そのときになっても『まだまだ!』って言ってそうですけどね」

●着用している衣装はすべてスタイリスト私物

2022年Oggi11月号「この人に今、これが聞きたい!」より
撮影/石倉和夫 スタイリスト/チヨ ヘア&メイク/中山知美 構成/南 ゆかり
再構成/Oggi.jp編集部

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阿部サダヲ

阿部サダヲ(あべ・さだを)

1970年生まれ、千葉県出身。1992年から松尾スズキ主宰の「大人計画」に参加し、舞台『冬の皮』で俳優デビュー。出演作に、映画『彼女がその名を知らない鳥たち』『死刑にいたる病』、NHK大河ドラマ『いだてん〜東京オリムピック噺〜』、ドラマ『マルモのおきて』『下剋上受験』『スイッチ』など。最新舞台出演作は『ツダマンの世界』(11月23日より上演)。

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