泣けて笑えるラブストーリーを表現するのは〝ラブソングらしからぬラブソング〟
旅行代理店に勤務する奥手なふたりの男女が、自分たちの生活を守るために計画結婚を決意し、次第に惹かれあっていく——ビッグコミックスピリッツで連載中の人気漫画を原作としたAmazon Originalドラマ『結婚するって、本当ですか』。
まともな恋愛経験がなく他者との向き合い方もわからないふたりが繰り広げる〝むずきゅん〟なラブコメディをドラマティックに彩っているのが、人気アーティスト・Aimer(エメ)さんによる主題歌と挿入歌です。ドラマ楽曲について、そして昨年デビュー10周年を迎えた今について、Aimerさんの想いに迫ります。
◆Aimerの曲作りへの想い
─── まずは『結婚するって、本当ですか』という作品への感想を教えてください。
全く接点がなかったふたりが、ひょんなことから周りの人たちを巻き込みながら、お互いを意識していく。言葉少なに仲を深めていく様子は、どこか微笑ましくて… 決して〝普通〟ではないけれど、彼女たちなりの新しいかたちで関係をつくりあげていくストーリーが素敵だなと思いました。感動のクライマックスは、泣きながら笑えてくるというか、笑いながら泣けてくるというか。ふたつの感情が同時に襲ってくる作品って珍しいですし、面白かったですね。
─── 同作品の主題歌『Ivy Ivy Ivy』はAimerさんによる書き下ろし。〝泣けて笑えるラブストーリー〟をどうやって曲に落とし込んでいったのでしょうか?
「ラブソングをつくろう」とは思ったものの、主人公のふたりは甘ったるい言葉を交わすようなタイプではありません。だから、ラブソングだけど「好き」とか「愛してる」といった言葉は入れずにいこう、と。結婚へ向けてふたりが一緒に冒険をしていく物語ですし、結婚の多様性を示してくれている作品でもある。曲を聴いてくださる方を勇気づけられるような、ラブソングらしからぬラブソングにできたら、と思いながらつくっていきました。
─── ラブソングらしからぬラブソング… 言葉の使い方も含めて、とても表現が難しそうです。
どんな言葉をはめこんでいけばいいのか、気持ちの高揚感やハッピーさをどれくらい出すのがいいのかなど、悩むところは多くありましたが、自分自身が作品から受けた感情はきちんと入れたくて。主人公のふたりのように私が一緒に冒険をしていきたい相手は誰なんだろう…と考えたとき、心に浮かんだのはいつも応援してくださるファンの皆さんでした。自分が大事に想っているファンの方々に向けて歌う曲にしよう、そうやって対象を決めるとどんどん言葉が出てきたんです。
─── 『Ivy Ivy Ivy』をはじめとして、これまで数多くのタイアップ曲を歌われていますが、作品らしさとAimerさんらしさのバランスがいつも絶妙。「作品内のラブストーリーをファンの皆さんとの関係性に置き換えて考えた」と今うかがって、どの曲からも伝わってくるAimerさんの優しさはそんなところから生まれているんだなと感じました。
そう思っていただけることがすごく嬉しいです。作品を愛していらっしゃる方たちの心に響くこと、そして作品を知らない人にも好きになってもらえること… タイアップ曲はそのバランスを慎重にとらなければいけないけれど、作品と自分がシンクロする部分を見つけられたら大丈夫だと思っています。大事なのは、作品と自分の共通点を見つけられるかどうかなのかなって。
─── 主人公ふたりのラブストーリー、そしてAimerさんとファンの皆さんの愛情の物語が、『Ivy Ivy Ivy』における共通点だったんですね。
愛って形も深さもいろいろありますよね。今までの当たり前とは違う結婚の形を主人公のふたりが見せてくれたように、私とファンの皆さんの関係性もひとりひとり違っていて、「こうじゃなきゃファンじゃない」なんて決まりもない。どんな形でも深さでも愛にかわりはない、そんなところもシンクロしているように思います。
▲Aimer『Ivy Ivy Ivy』MUSIC VIDEO short ver.(ドラマ「結婚するって、本当ですか」SPECIAL EDIT/主演:葵わかな&佐藤寛太)
─── 主題歌『Ivy Ivy Ivy』はもちろん、『六等星の夜』や『ever after』など過去のリリース曲も劇中の挿入歌として作品にドラマティックになじんでいました。計10曲が各話で使用されていて「どんなシーンでどの曲が流れるんだろう…!?」とドラマを追うのも楽しいですね。
こんなにも使っていただけるなんて! と私自身びっくりです。ストーリーが進んでハラハラしながら展開を見守っているとき、シーンに寄り添うように自分の曲が流れてきて… すごく感動しました。曲のセレクトも切り取り方もぴったりなんです。
─── 視聴者的な目線で聴かれていた、観られていたんですね。
曲選びも使い方もお任せしていたので、完全に〝いち視聴者〟でした(笑)。作品のファンとして、ただただ嬉しかったです。最近のものから10年前のものまで、曲のセレクトも幅広くて。時を超えてドラマの挿入歌として使っていただけるなんて、10年前の私は思ってもいなかったので… あの頃の自分も浮かばれます(笑)。
愛を与えられる存在から与える存在に——少しずつでもいいから、まわりの人を幸せにしたい
◆Aimerが大事にするルール
─── 〝10年前〟というキーワードが出たところで… 10年以上、アーティストとして第一線で活躍してきたAimerさんの「働く上でのマイルール」とは何でしょう?
歌をうたうことを〝働く〟とはあまり捉えていないのですが、こうして10年続けてきた中でルールがあるとしたら「まわりの人を幸せにすること」ですね。私に携わってくださる、一緒に仕事をしてくださるすべての皆さんに「Aimerに関わってよかった」と思っていただけるようにしたい。少しずつでもいいから、まわりにいてくれる人を幸せにしたいと思っています。さらに言うと「自分を大事にすること」も大切なルール。自分を大事にしなければ、まわりの人を大事にできないですから。
─── 自分を大事にする、って簡単そうで難しいですよね。
たとえば、「なんだか嫌だな」と思った頼まれごとがあったとき、自分を犠牲にして「やります」とつい言ってしまうことってありますよね。その納得できない気持ちは自分にとって不健康だし、相手にとっても不誠実。小さな選択であっても、自分の気持ちを偽らずに積み重ねていくことが大事なんじゃないかな、と。エゴとか自己中心的とかそういうことではなくて、誰かを大事にするために自分を大事にしなきゃいけないと思っています。
─── Aimerさんといえば、やはり唯一無二の声と表現力。ですが過去に喉を治療されていたり、その〝自分らしさ〟に向き合う作業は人一倍大変なのではないかと思います。
ざっくり表現すると、私の喉は歌手として決してタフなタイプではないんです。状態をこれ以上悪化させないように歌わなければいけなくて、常に気にかけているし、慎重にならざるをえないときもある。もう耐えられない! なんて感じたこともありますが、これが私。だから、自分で自分を好きになれる声を探していきたい。〝自分らしさ〟って、その自分でいることをハッピーに思えたら、それでいいんじゃないかなって。いろいろな意見の人がいて、人それぞれの正解があって、10年以上歌っていても悩むことばかりだけど、結局は私自身が納得して胸をはって歌えるかどうか。誰かの心に響く歌は、自分が愛せる歌の延長線上にあると思うんです。だから、これからも自分で自分を愛せる声を追求していきたいですね。
─── 自分を愛せる声を探しながら、これからどんな夢や目標がありますか?
つい先日、デビュー10周年を締めくくるアリーナツアーを終えました。そのツアーのコンセプトが〝今までの10年〟と〝これからの10年〟だったんですが、ツアーを終えても〝これからの10年〟は未知数で…(笑)。これからどんな10年がやってくるのか想像もできないのですが、誰かに愛を与えられるようになりたいという気持ちはどんどん大きくなるばかり。今まで本当にたくさんの人に助けてもらって、たくさんの人から愛をいただいてここまで来たので、今度は自分が愛を与えられる人になりたいですね。具体的なところで言えば、もっと大きな場所でライブができるようになりたいし、この喉で歌えるところまで歌い続けていきたい。『Ivy Ivy Ivy』で描いたように、私の歌を聴いてくださる皆さんと冒険を続けていけたらと思っています。
【インタビューおまけ話】
「まわりの人を幸せにする」というマイルールについて、「今こうしてインタビューしてくださっているときも『一緒に話せてよかった』と感じていただけるようにしたい」と優しく微笑みながら語ってくださっていたAimerさん。
その愛にあふれた言葉と姿に感動し、インタビューの最後に「幸せな気持ちになれました!」と率直な想いを伝えると、「本当ですか!? 嬉しいです…! さっき話しながら『どうしよう、今、自分で自分のハードルをどんどん上げちゃってる…!』と焦っていたので(笑)」と照れ笑い。そんなチャーミングなAimerさんを見て、幸せな気持ちの温度がさらにじんわりと上昇したのでした。
Amazon Originalドラマ『結婚するって、本当ですか』、Prime Videoで独占配信中!
Prime Videoにて独占配信中!(全10話)
原作:若木民喜『結婚するって、本当ですか 365 Days To The Wedding』(小学館「週刊ビッグコミックスピリッツ」)連載中(既刊1~7集発売中)
制作・脚本:鹿目けい子、高石明彦
音楽:吉俣良
監督:宮脇亮、北川瞳
出演:葵わかな、佐藤寛太、松村沙友理、内藤秀一郎、高井佳佑(ガーリィレコード)、織部典成、三原羽衣、村田寛奈、森田甘路、横山由依、徳永えり、真飛聖、杉本哲太、山口紗弥加、生瀬勝久ほか
プロデュース:高石明彦、英田理志
制作プロダクション:The icon
©若木民喜・小学館/2022 結婚するって、本当ですか製作委員会
Amazon、Prime Video及びこれらに関連するすべての商標は、Amazon.com, Inc. 又はその関連会社の商標です。
Aimer ミニアルバム『Deep down』12月14日(水)リリース!
Amazon Originalドラマ『結婚するって、本当ですか』の主題歌『Ivy Ivy Ivy』を含む、ミニアルバムをリリース!
■収録曲
「Deep down」… TVアニメ『チェンソーマン』EDテーマ
「Ivy Ivy Ivy」… Amazon Originalドラマ『結婚するって、本当ですか』主題歌
「オアイコ」… ABEMAオリジナル恋愛番組『オオカミちゃんとオオカミくんには騙されない』主題歌
「wavy flow」… スマホアプリゲーム『アズールレーン』5周年記念テーマソング
ボーナストラック「残響散歌 – From THE FIRST TAKE」「カタオモイ – From THE FIRST TAKE」
にくわえ、他1曲を収録予定
初回生産限定盤[CD+DVD]VVCL-2150〜2151/¥2,750(tax in)
通常盤[CD]VVCL-2152/¥1,980(tax in)
期間生産限定盤[CD+DVD]VVCL-2153〜2154/¥2,200(tax in)