【31歳・しつこい既婚男性の押しに負けたケース】
有香さん(仮名)は、30歳になる直前から1年以上にわたり既婚者と交際。相手の亀山さん(仮名)は11歳年上で、同じ職場に勤務する上司だったのだそう。
「亀山さんはバリバリ仕事ができる人で、アラフォーには見えないくらいカッコいいと社内では大人気。私はなぜかそんな彼にずっと気に入られていたようで、ちょこちょこ食事に誘われていました。
月一くらいの頻度で食事をご馳走になるだけの間柄だったのですが、30歳直前になった頃『君のことが本当に好きになってしまったんだ。妻にはバレないようにするから、僕と付き合おう』と口説かれ、最初のうちは断っていたのですが、あまりにもしつこいので押しに負けて付き合い始めたという感じでした」
有香さんは、亀山さんのことを「顔はいいけれどタイプじゃないから、好きでも嫌いでもなかった」と振り返ります。交際は主に仕事帰りに食事に行って、そのままホテルに直行というもの。
「ホテルに行っても関係を結ばない日もあったからセフレという感じではないし、かといって愛情を強要されたこともなく…。なんだかよくわからない関係でしたね。でも亀山さんが私のことを好きだというのはなんとなく感じてはいました」
関係を続けても亀山さんに対する愛情が湧かなかった有香さん。どこか機械的な関係に、これは不倫なのか、遊びなのか、曖昧な立場が続いて頭を悩ませたと言います。
別れを切り出すと彼は私を脅し始めた
不倫関係が半年を過ぎた頃、亀山さんが徐々に愛情を求めるようになり、有香さんは「やっぱりこれは不倫だ。ちゃんと関係を正さないと」と罪悪感を感じ始め、正直に気持ちを伝えたそう。しかし返ってきた答えは、有香さんの想像をはるかに超えたものでした。
「彼の態度が豹変して、『別れるなら、会社に不倫をバラすぞ』と脅されたんです。うちの会社は小さいし、亀山さんはかなりの権力者。彼が私に敵対心をむき出しにしたら、私は社内に居場所がなくなるどころか仕事を失いかねないなと思いました。
それで、仕方なしに亀山さんが飽きるまで不倫関係を続けようと腹をくくったんです」
結局、亀山さんが有香さんへの執着を手放すまでには、有香さんが別れ話をしてから2年近くの年月がかかったそう。亀山さんが有香さんへの興味を完全に示さなくなるまでの間、有香さんは自分を見失うほどしんどい毎日だったと振り返ります。
「好きでもないのに不倫をした自分がいけないのですが、もうあんな経験は懲り懲りです。会社に言いふらされて仕事を失ったら生活していけなくなるという恐怖を毎日抱え、亀山さんの前では無理やり笑顔をつくっていましたね。それに、いつ奥様にバレてもおかしくないという不安ももちろんありました。
あと少し亀山さんとの関係が続いていたら、私の心は崩壊していたような気がします。今は、昔と比べてずいぶんと自分が汚れてしまったという気持ちです。不倫を終えることができてホッとしている一方で、もう周りの子たちみたいに無邪気に恋愛を楽しむこともできないかもしれないし、こんな私とこれから付き合うかもしれない男性には申し訳ないなと思ってしまいます。
あのとき、亀山さんから不倫を誘われても毅然とした態度で断っていれば、こうはなっていなかったと後悔しています」
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並木まき
ライター・時短美容家。シドニー育ちの東京都出身。28歳から市川市議会議員を2期務め政治家を引退。数多くの人生相談に携わった経験や20代から見てきた魑魅魍魎(ちみもうりょう)な人間模様を活かし、Webメディアなどに執筆。