銀座の歴史・魅力が詰まった、ハイアット セントリック 銀座 東京
ハイアット セントリック 銀座 東京は、実は昔の朝日新聞社があった場所! 当時は夏目漱石や石川啄木が勤務していたのだそう。
並木通りにあり、銀座からのアクセスは抜群! というだけでなく、この建物自体に日本の文学・新聞・印刷の歴史がぎゅっと息づき、そのエッセンスを心地良く詰め込んだ素敵なホテルでした。その魅力をお伝えしたいと思います。
ホテルに点在するアートたち
こちらのエントランスに飾ってあるアートは、銀座の地図を表現したもの。赤い部分が、ハイアット セントリック 銀座 東京です。
エントランスのアートも素敵でした。遠くから見ると、綺麗な色合いのチェック模様のように見えますが、実は全て写真をフィルム状に並べたもの。ホテルが建設される直前(2017年)の銀座の街の色をテーマに撮影した800点の画像から作られたものだとか。カラフルで素敵だし、その頃の銀座を詰め込むというコンセプトが素敵だなと思いました。
◆昼と夜のアートで印象が変わるフレンドリーなフロント
チェックインのカウンターは、正方形。対面ではなく、スタッフと横並びで手続きするスタイルです。カジュアルでフレンドリーなスタイルを意識して作られたそう。
奥の壁は襖絵になっていて、昼と夜で絵柄が異なります。この色鮮やかなものは昼の襖絵。夜は黒をベースにしたシックなものに変わり、より落ち着き感があるものになっていました。
ロビーにあった大きな4つの本棚も銀座の街を表現したものだそう。棚ごとにテーマが決まっていて、テーマに沿った本が置かれています。手前から、メディア、ファッション、ランドスケープ、エンターテイメント。まさに銀座の街を表現していますよね! 私の好きな歌舞伎も、“銀座のエンターテイメント”にバッチリ書籍が置かれていました。手にとっていつまでも眺めていたかった…!
◆広々とした吹き抜けのロビーにもアート
広いロビーも居心地が良い空間でした。天井が吹き抜けになっていて、開放感抜群。わざと不揃いなソファや椅子が置かれ、統一感があるインテリアになっていてハイセンス。「Mix&Match」をテーマにしているそうです。そのロビーには、aiboのドッグラン(!)もありました。ちょっと未来感があって可愛い♡
ロビーの奥の上部の壁には、当時の印刷(活版)の文字のモチーフが装飾されてあります。
活版印刷とは、活字の版・板を並べ文章にし、塗料を塗って印刷する方法です。今ではプリンタで出てくるのが主流なので、なじみはないかもしれませんが、なんとなく想像はつきますよね。また、組版で使われるのは反転文字なので、壁のアートも全部文字が反転しているのです。お洒落ですよね。
ロビーにある、上からぶら下がっている細長い照明は、輪転印刷機をモチーフにしたものだそう。こんなの初めてみた! と興奮してしまいました。モダンな感じがして、ただただゴージャスなシャンデリアより、洒落感が漂っています。
◆ジムも素敵!
さすが外資系ホテル、ちゃんとジムもあります。ジムがあるのを見るたびに、たとえ宿泊先でも軽く運動するというルーティンをかかさないエリートの姿が目に浮かびます。サイズ感はこじんまりとしていた様子ですが、清潔感があり綺麗なジムでした。
そして、ジムの壁がまたお洒落! 実際の銀座周辺のランニングコースを文字で描かれ、それぞれのランドスケープが、それぞれのイメージに沿ったフォントで表現されています。
黄緑の大きいのが皇居。イメージによって漢字だったりローマ字だったりして、あの場所はどう表現されているかな? と楽しく眺めながら、ランニングマシーンでマラソン気分を味わう事ができます。ジムの壁って、無機質or鏡のイメージでしたが、粋なデザインになっていますね。
◆オールデイダイニングと24時間営業のBarにも
ダイニングとBarも素敵でした。ロビー同様に吹き抜けの構造で、その真ん中に階段があるのですが、活字をあしらったステップが!
ホテルの名前や住所、開業日にちなんだ文字と数字で表現されていて、こちらも全て反転文字。海外の人にとっても、漢字はとてもエキゾチックで好きな人も多いから、ここで写真撮る人も多いだろうな、なんて思いながら見学しました。
オールデイダイニングでは、アフタヌーンティーも開催。季節で内容も変わるとのことで、宿泊しなくても訪れたい!
そしてBarのカウンターには猫の置物が置かれていました! 夏目漱石の「吾輩は猫である」にちなんだ猫さんです。これを聞くと改めて、夏目漱石が勤めていたんだな〜としみじみしちゃいます。そんな歴史ある場所に自分が居られるのも、とても感慨深いです。2020年からはコロナ対策でマスクをしているそう。
美味しそうなスイーツも…♡ テイクアウトできるみたいです。横にあるミニチュアが可愛かった(^^)
ミニチュア、特にフードサンプルのものって、日本特有なのでこれにテンション上がる外国の方は多そう。
◆各フロアのサインもアート
エレベーターを降りてすぐのフロアサインもアートが。壁一面にアートで階数が表現されています。フロア毎にテーマを決め、立体造形が置かれていました。
例えば11階は…
一番人気は12階だそう。実際の新聞紙を色付けしたものを丸めて並べ、文字にしています。隣にはタイプライターなども飾られていて、ここが新聞社だったことを思い出させてくれます。
部屋の番号表示も全て文字の組版がモチーフ。こうした細かいところも素敵! さすがに、ここが反転文字だったら6とか9とか、入るお部屋を間違えてしまいそうなので反転はしていませんでした(笑)
◆宿泊しなくても見られる! 高橋信雅さんの直筆アート
ホテルの1Fのエントランスから駐車場に向かう通路には、アーティストの高橋信雅さんの直筆アートが描かれていました。高橋さんは、ホテルのオープンに合わせて10日間滞在し、毎日壁に少しずつ描いていったそう。そこでは一般の方から「あれも描いて!」のようなリクエストも受けたりしながらドローイングしたそうで、ライブ感が感じられます。
これは高橋信雅さんとそのご家族だそう! 他にも、妖怪が描いてありましたよ。こちらの銀座の街や東京を表現したアートは、かなり巨大。見ていてずっと面白かった! 見応え抜群です!
ゆったりと過ごす朝食の時間
朝食はビュッフェ形式。オールデイダイニングでいただきます。吹き抜けの大きな窓から入る光が明るくて、爽やかな気持ちになります。
充実した品数の多いビュッフェにも感動。卵料理は注文してから一つひとつ調理するエッグステーションがあり、私はエッグベネディクトをオーダー。マフィンではなくクロワッサンに乗っているのが新鮮でした♡
こんなかわいいドーナツコーナーも…♡
朝から甘いものを食べすぎてはいけない…! と思いながらも、ついつい手が伸びてしまいます。
サラダもフルーツもたくさんありました! ビュッフェって性格と生活が出るよね、という話で一緒に宿泊した友人と盛り上がりながら、今日1日仕事を頑張る英気を養いました。朝しっかり食べると、集中力が違いますよね。
心に残ったガス燈のエピソード
銀座は、日本で初めてガス灯が使われた場所ということで、ホテル正面のエントランスにもガス灯がありました。この火は、コロナで休業せざるを得なかった時も、ずっとずっと灯し続けていたそう。2018年から開業され、さあこれから! という時にコロナに… という辛い状況だったと思うのですが、また日常が戻る日を信じて、ずっと火を灯し続けていたということを思うと、胸にじんと来るものがあります。
私には小さくても続けているものはあるかな? 信じて灯し続けているものが心の中にあるかな? とつい思いを馳せてしまいました。絶対に消えずに、小さくゆらゆらと萌え続けている火、みたいなものがあると自信にもなるし、そういう何か強くて暖かなものを持っている人でいたいな、なんて思っていました。
アートを体験するホテルで、素敵なひとときを
東京に遊びにくる人にも、私みたいに活字好きにもぜひ泊まって欲しい、ハイアットセントリック銀座東京。宿泊しなくても、素敵なロビーでお茶をしたり、アートを見たり、文豪達の思い出の地で、それぞれに思いを馳せて欲しい…! そんな素敵なホテルでした。
若い頃は、ホテルは寝るところ! 清潔で寝ることができればそれで良しと思っていましたが(笑)、文化・歴史がありこだわりのあるホテルを体感することって素敵な贅沢と思えるようになりました。素敵なホテルに行くというのも新しい趣味と思えるほど魅力的でした(^^)
オッジェンヌ 大枝千鶴
2015年からOggi読者モデル「オッジェンヌ」として活動。営業職という仕事柄、通勤服は好感度が最重要事項。最先端のIT企業で働きながらも歌舞伎と着物が大好きという古風な34歳。一級きもの講師。Instagramアカウントはこちら:@chizuru_oeda