楽しい夏にするために、注意したい水難事故
本格的な夏を迎え、水遊びをする機会も増えてきたのではないでしょうか。
ただ、自然とのレジャーは危険がつきもの。水難事故の注意点をまとめました。
水難事故、去年の件数は?

令和3年の水難事故の件数は、発生件数が1,395件、水難者1,625人、うち死者・行方不明者数は744人で、いずれも前の年よりも増えています。
また、水難事故に遭ったのは、子どもたちばかりではありません。年齢構成を見てみると、意外にも大人の事故が多くを占めているのです。
・高校卒業に相当する年齢~65歳未満:48.7%(791人)
・65歳以上:34.3%(557人)
・子ども:11.3%(183人)
また、死者・行方不明者744人について、発生場所別に見てみると、以下の通りでした。
・海:49.2%(366人)
・河川:34.0%(253人)
注意したい「うねり」と「離岸流」
今回は、最も多い海のレジャーで注意したい現象を紹介します。
◆うねり
海上で吹いている風によって生じる波は「風浪」と呼ばれますが、「うねり」とは、風浪が風の吹かない領域にまで伝わった波や、風が弱まったときに残された波のことです。台風が数千キロ離れていても、上陸する数日前に台風からのうねりが日本沿岸まで届き、高波の被害に遭うこともあります。
見た目には丸みがあり穏やかに見えるのですが、水深の浅い海岸の防波堤や浜辺などで波が高くなりやすい性質があります。このため、沖合からきたうねりが海岸付近で急激に高波になることがあります。海水浴をする際は、天気予報で「うねりを伴う」という予報が出ていないか確認しましょう。
◆離岸流
「離岸流」とは、海岸に打ち寄せた波が沖に戻ろうとする時に発生する強い流れのことです。早ければ2m/sの速度にもなり、水泳選手でも流れに逆らって泳ぐことは困難といいます。離岸流は一旦発生すると、発生から数時間後には位置を変えることもあり、気まぐれな性質があります。一旦流されると、いつの間にか足がつかない遠くの沖まで流されることがあり、注意が必要です。
離岸流に流された場合は、あわてず落ち着いて、岸と平行に泳ぎましょう。沖に向かう流れを感じなくなったら、岸に向かって泳ぎます。泳ぎに自信のない方は、無理に泳ごうとせず浮くことに専念することが大切です。
◆海にも雷はおちる
雷は背の高い所に落ちるイメージがあるかもしれませんが、海のように開けた場所もとても危険です。雷の音が聞こえてくる、急に冷たい風が吹く、黒い雲が近づいてくるなど、天気が急変する兆しがあれば、すぐに建物や車の中に移動しましょう。
参考:
警察庁 山岳遭難・水難
第九管区海上保安本部海岸情報部 海水浴シーズン到来!! 離岸流に注意しましょう!
TOP画像/(c)Shutterstock.com

気象予報士 太田絢子
気象予報士、防災士。中学生のころから気象に興味をもち、大学在学中に気象予報士試験に合格。卒業後は損害保険会社に就職し、交通事故や自然災害に遭った人へのサービス業務に従事。自然災害が多発するなかで、犠牲者をゼロにしたいと思うようになり、気象キャスターへ転身。現在は地元名古屋のCBCテレビ「チャント!」などに出演中。趣味はモーニング巡り、季節の箸置き集め。