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大人ニキビ、何をしても全然治らないのはなぜ?
大人ニキビって、できるとなかなか治りにくいと感じませんか。なぜ治りにくいのか、できたときの対処法などをこれから紹介していきます。
大人ニキビの特徴
まずは、大人ニキビの特徴を見ていきましょう。
大人ニキビは、おもに20歳以上になってからできるニキビのことをいいます。
大人ニキビの特徴は、口のまわり、顎、フェイスラインといった顔の下半分にできることです。1個だけポツッとできたり、ニキビが集中してできることがあります。
また、ニキビができると治りが遅いのも特徴のひとつ。繰り返し同じ場所にできることもあり、厄介な存在です。
思春期のニキビの特徴
ニキビには大きく分けて2種類あり、ひとつが「大人ニキビ」、もう1つが「思春期ニキビ」です。同じニキビでも思春期ニキビと大人ニキビとでは特徴が異なります。ここでは、思春期ニキビの特徴を見ていきましょう。
10代に多い
思春期ニキビの特徴のひとつが、名前どおり思春期である10代にできることです。
思春期の肌は、皮脂腺から多くの皮脂が過剰に分泌されるため、ニキビが発生しやすくなります。
皮脂腺の多い部分にできやすい
思春期ニキビは、大人ニキビとできる場所も違います。思春期ニキビができやすい場所は、皮脂腺の多い部分です。たとえば、額から鼻にかけてのTゾーン、こめかみ、頬骨のあたりなどがあたります。
大人ニキビができやすい人の特徴
大人ニキビができやすい人には特徴があります。自分が当てはまっていないかチェックしてみましょう。
肌が乾燥気味な人
そもそもニキビは皮脂が多い人ができやすいイメージがありますが、大人ニキビは肌が乾燥気味の人にもできます。
ストレスが多い人
ストレスが多い人も大人ニキビができやすくなります。過度なストレスはお肌の大敵。肌のターンオーバーが正常に行われなくなり、古い角層が毛穴に詰まりを起こすことでニキビができやすくなってしまうのです。
食生活が乱れている人
「1日3食きちんと食べていない」「夜食や間食を摂り過ぎている」「脂肪分の摂りすぎ」「過度なアルコール摂取」などによって食生活が乱れるのもニキビができやすくなるので注意が必要です。
大人ニキビの原因
ここでは、大人ニキビの原因を見ていきましょう。
思春期のニキビの原因
思春期ニキビの原因は、ホルモンバランスの乱れによるものです。この時期、男性ホルモンの分泌が増加により、皮脂が分泌しやすくなります。その皮脂が毛穴に詰まりやすくなると、ニキビのもととなるアクネ菌が繁殖しやすくなってニキビができやすくなるのです。
乾燥
大人ニキビの原因のひとつに、乾燥があります。適度な保湿ができていない肌は、乾燥が進んでしまい、古くなった角層が溜まって毛穴が詰まりやすくなります。これにより、ニキビが発生してしまうのです。
過度なストレス、睡眠不足、食生活の乱れ
過度なストレス、睡眠不足、食生活の乱れは、肌のターンオーバーが正常に行われなくなる原因となります。ターンオーバーが正常に行われないと、古い角層が毛穴に詰まりやすくなり、ニキビができやすくなります。
女性ホルモンの影響
排卵後から生理前の期間は、女性ホルモン「プロゲステロン(黄体ホルモン)が増加します。このプロゲステロンは、皮脂の分泌を促進させ角層を厚くする作用があり、その影響によってニキビができやすくなります。
治らない大人ニキビの対処法
大人ニキビは治りにくいといわれています。そんな大人ニキビの対処法を、ニキビができる場所別にご紹介します。
頬ニキビ
頬にできた初期段階の白ニキビ、黒ニキビは、正しい洗顔方法、十分な保湿で改善できます。さらに定期的なパックやピーリングもおすすめです。
赤ニキビには、保湿が大切です。刺激の少ない洗顔フォームで優しく洗い、高保湿のニキビ専用化粧水やクリームを使うとよいでしょう。
おでこニキビ
おでこにできた大人ニキビは刺激を与えないようにすることを心がけましょう。たとえば、手で触れる、前髪がニキビ部分に当たるなどは刺激となるので気をつけてください。
また、髪の生え際などはシャンプーやトリートメント、洗顔料などが残りがちです。しっかりと洗い流すことで、ニキビができるのをある程度防げます。
あごニキビ
あごニキビには、ホルモンバランスを整えることが有効です。
女性ホルモンを整える大豆イソフラボンを積極的に摂るようにしましょう。大豆イソフラボンが多く含まれる食べ物や飲み物には、豆腐や豆乳、油揚げなどです。
さらに、皮脂分泌を抑えたり、皮膚の健康維持作用があったりするビタミンB群も摂るようにするとよいでしょう。
フェイスライン
フェイスラインの大人ニキビには、「たっぷりの泡で丁寧な洗顔をする」「保湿」「バランスの良い食事」「十分な睡眠」が大切です。正しいスキンケアに加えて、生活習慣も見直しましょう。
赤ニキビ
赤ニキビの対処法は、「とにかく触らないこと」です。触ったり、擦ったりすると、ニキビが悪化する恐れがあります。洗顔時にも気をつけるようにし、たっぷりの泡でやさしく洗うようにしてください。
また、赤ニキビは熱を帯びているのが特徴です。保冷剤などを当てて冷やすと炎症が鎮まり、治りが早くなるケースもあります。
突然の大量発生
突然、大人ニキビが大量に発生した場合は、自己対処せず、皮膚科を受診するようにしましょう。
大人ニキビの治し方
大人ニキビを治す方法を紹介していきましょう。
ホルモン療法・ピル
大人ニキビの治療は、男性ホルモンの「アンドロゲン」の活性を抑えるホルモン療法が有効です。
アンドロゲンを抑える薬のひとつに「ピル」があります。
ピルは、女性ホルモンである「卵胞ホルモン(エストロゲン)」と「黄体ホルモン(プロゲステロン)」を配合した薬です。一日一回服用することで、卵巣内でのアンドロゲンの産生を抑え、血液中のテストステロンの量を減らす作用があります。これにより、皮脂の分泌を抑え、ニキビの発生を防ぐ効果が見込めます。
また、ニキビの治療目的でこれらの薬を使う場合は、医師に効果や副作用の説明をよく聞いてから行いましょう。
ホルモン療法・スピロノラクトン
アンドロゲンを抑える薬には、もうひとつあります。それが「スピロノラクトン」です。
スピロノラクトンには抗男性ホルモン作用があり、過剰な皮脂分泌を抑え、ニキビの発生を防ぎます。
なお、ピルとスピロノラクトンを併用することも可能です。
市販薬
市販薬を使う場合には、どのタイプのニキビかチェックしてから市販薬をえらびましょう。
白くぽつぽつとした「白ニキビ」には、アクネ菌の増殖を阻止するイソプロピルメチルフェノールやレゾルシンなどの殺菌成分が有効です。
炎症が起きている「赤ニキビ」には、グリチルリチンなど炎症を抑える成分が配合されている医薬品を選ぶとよいでしょう。
黄色く膿んでいる「黄ニキビ」には、抗生物質、または抗炎症成分が配合された市販薬を選ぶようにしてください。
ただし市販薬では、大人ニキビを根本的に治すには限界があります。市販薬を使ってもなかなか改善されない場合には、皮膚科を受診することも考えましょう。
皮膚科
自己判断によって、間違ったケアを行うと、大人ニキビを悪化させてしまうことがあります。また、治りが遅かったり、何度も繰り返しできたりする可能性も否定できません。
そんなことにならないためには皮膚科を受診するのもひとつの方法です。
大人ニキビの予防法
最後に、大人ニキビを予防する方法を紹介しましょう。
正しいスキンケア
大人ニキビを防ぐには、健やかな肌をつくることが大切です。そのためには、日頃から正しいスキンケアを心掛けましょう。正しいスキンケアのポイントは、次のとおりです。
・メイクをした日は、クレンジング料を使ってしっかりメイク材を落とす
・通常の洗顔で皮脂汚れを落とす
・洗顔時はたっぷりの泡を使ってやさしく洗う
・たっぷり保湿する
・基礎化粧品を使うときにはこすったり叩き込んだりせず、やさしく包み込むように肌になじませる
生活の見直し
睡眠時間は足りていますか? 満足する睡眠ができていますか? 十分な睡眠時間、質の良い睡眠をとれなければ、大人ニキビは治りにくく、悪化しやすくなります。午後10時から午前2時の間には寝るように心がけ、最低でも6時間は睡眠時間をとるようにしましょう。そうすることで、皮膚のターンオーバーを正常化でき、ニキビ改善につながります。
睡眠のほかにも気をつけたいのが過度なストレスです。ストレスも大人ニキビに悪影響を与えます。自分の好きな方法でしっかり心と体を休ませることも大切です。
食生活の改善
外食が多い人や偏った食事をしている人は、バランスのよい食事を心がけるだけでも大人ニキビが改善する場合もあります。
また、大人ニキビ予防におすすめの栄養素を積極的に摂るとよいでしょう。ニキビの予防に効果的な栄養素には、皮脂の分泌を抑え、肌を丈夫に保つ「ビタミンB2」と、女性ホルモンを調整し、健康な肌を維持する「ビタミンB6」があります。
ビタミンB2が多く含まれる食べ物には、うなぎ、まいたけ、本しめじ、エリンギ、たらこ、卵黄、ヨーグルトなどが。
ビタミンB6が多く含まれる食べ物には、マグロ、カツオ、にんにく、鶏肉、バナナ、メロン、大豆、レバーなどがあります。
食事からこれらの栄養素を摂れない場合には、サプリメントを活用するとよいでしょう。
大人ニキビを改善しよう
大人ニキビは治りにくく、繰り返しできて厄介です。できないようにするためにも、日頃の生活を見直し、高保湿のスキンケアを心がけましょう。
TOP画像/(c)Adobe Stock
監修者:天下茶屋あみ皮フ科クリニック院長 山田貴博先生
名古屋市立大学医学部卒。NTT西日本大阪病院にて初期臨床研修。大阪大学医学部神経細胞生物学教室助教を経て、阪南中央病院皮膚科勤務。2017年6月天下茶屋あみ皮フ科クリニック開院。