この記事のサマリー
・「参謀」とは、軍隊で指揮や指導にあたる人のことです。
・ビジネスでの参謀は、上役や表立って活躍する人の陰に立ち、計画を練ってその指導にあたる人のことをいいます。
・類語には、「右腕」、「懐刀」、「ブレーン」などがあります。
会議で「参謀のような動きを」と頼まれたとき、何を期待されているのか戸惑う人もいるかもしれませんね。軍事的な響きを持つ言葉だけに、意味が曖昧なままでは使いにくさも残ります。
この記事では辞書に基づいて意味の軸を押さえ、参謀タイプの特徴や名参謀の例、そして類語までを整理します。
「参謀」とは?
まずは「参謀」という言葉の意味を確認しましょう。
ビジネスにおける「参謀」
「参謀」とは、軍隊で指揮や指導にあたる人のことを指します。転じて、上役や表立って活躍する人の陰に立ち、計画を練ってその指導にあたる人のことをいいますよ。
辞書では次のように説明されています。
さん‐ぼう【参謀】
1 謀議に加わること。また、その人。「選挙―」
2 高級指揮官の幕僚として、作戦・用兵などの計画に参与し、補佐する将校。
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
実際、ビジネスシーンでは「トップの右腕」「情報を整理し、戦略を立てる人」といった文脈で使われることが多く、職位ではなく「機能」や「役割」を示す表現になっています。
参考:『使い方の分かる 類語例解辞典』(小学館)

参謀タイプの特徴とは?
「参謀タイプ」とは、どんな人のことをいうのでしょうか? 3つの特徴を紹介します。
先見性や分析力がある
何が起きるかを想像する力、そして、そのための材料を集める動きが得意な人は、参謀の資質があるとされます。ただし、直感ではなく、事実に基づいて仮説を立て、構造を整理する力です。
リーダーの問いに対して「こうなりそうです」ではなく、「この選択肢がありえます」と分岐で示す姿勢が信頼されるでしょう。先回りしすぎず、現実的な分析に落とせるかが鍵です。
自律性がある
参謀の役割は、マニュアル通りの行動では務まりません。指示を待つのではなく、目的に沿って最適な手段を組み立てる判断力が要ります。
リーダーの意図を読み取る力と、それに対して根拠を持って提案できる力。つまり「黙って従う人」ではなく、「ぶれずに考え、支える人」です。
とはいえ、意見を押しつけるのではなく、聞き方・伝え方の工夫によって、場の空気を保ちつつ進められるのが理想。参謀役には、対話力と状況把握力も必要です。
現場主義である
現場で何が起きているかを把握しておくことは、判断のズレを防ぐ上で不可欠です。数字や資料だけで考えず、実際の動き、人の声、空気感をとらえる。自分の目で確かめる姿勢が、提案の信頼性を高めます。
また、現場の声を経営層に伝える役でもあるため、言葉の選び方が重要。角を立てないように伝える、相手に届く順序で言葉を組み立てる… そのひと手間が、参謀としての価値を支えています。
名参謀の例を紹介!
「参謀らしく振る舞って」と言われても、具体的に何をすればいいのか迷ってしまいますよね。そんなときは、名参謀と呼ばれた人たちの「支え方」からヒントをもらいましょう。

軍師・黒田官兵衛に見る「判断を助ける参謀」
戦国時代の名参謀として知られる黒田官兵衛は、自らが前線で采配を振るうのではなく、主君・豊臣秀吉の判断を支える存在でした。
官兵衛の役割は、「こうすべきだ」と押し切ることではありません。複数の選択肢を整理し、それぞれの利点や危険性を伝えたうえで、最終判断はあくまで秀吉に委ねていました。
つまり、官兵衛が担っていたのは「決断そのもの」ではなく、決断しやすい状況を整えること。情報を集め、状況を読み解き、主君の思考が迷わないよう後ろから支える… それが名参謀と呼ばれる所以でした。
現代に通じる「参謀の役割」とは?
この姿勢は、現代の職場や組織にもそのまま通じます。名参謀とは、目立つアイデアを出す人や、声が大きい人ではありません。上司やリーダーが正しく判断できるよう、情報を整理し、論点を明確にし、余計な混乱を減らす人です。
「前に出て引っ張る」のではなく、「後ろから整えて背中を押す」。参謀らしく振る舞うとは、主役になることではなく、主役が力を発揮できる環境をつくることだといえるでしょう。
類語や言い換え表現とは?
「参謀」という言葉が持つ響きが強すぎると感じる場面では、別の表現に置き換える工夫も必要です。ここでは、似た意味を持つ言葉のうち、「右腕」「懐刀」「ブレーン」の3つを取り上げ、紹介します。
右腕(みぎうで)
「右腕」は、最も信頼し、頼りにしている部下のことをいいます。右腕が通常、利き腕であることに由来する言葉です。
懐刀(ふところがたな)
「懐刀」は秘密の相談や計画などの相談にも乗る、知謀にたけた信頼のおける部下や側近のことをいいます。懐の中に持っている守り刀に由来する言葉です。
ブレーン
「ブレーン」は、相談役となる学者や専門家などのことを指します。本来は「brain(頭脳)」の意味です。
参考:『使い方の分かる 類語例解辞典』(小学館)、『角川類語新辞典』(角川書店)
英語表現は?
軍事用語としての「参謀」は、英語で “a staff officer” です。相談役としての意味なら、“an adviser” や “a counselor” が挙げられます。口語であれば、“a brain”も適していますよ。
参考:『プログレッシブ和英中辞典』(小学館)

「参謀」に関するFAQ
ここでは、「参謀」に関するよくある疑問と回答をまとめました。参考にしてください。
Q1:「参謀」は役職名として存在するのですか?
A:軍隊では「参謀」というな役職がありますが、ビジネスでは職位ではなく「役割」として使われることが多いです。
Q2:「参謀に向いている」と言われたらどう受け取ればいい?
A:「冷静な判断ができる人」として評価されている可能性があります。ただ、やや距離を感じる表現でもあるため、場の文脈で受け止め方が変わるでしょう。
Q3:「参謀」の類語は?
A:「右腕」、「懐刀」、「ブレーン」などが挙げられます。
最後に
「参謀」は、組織の中で方針を立て、判断を支える役割を担う存在を指す言葉です。前線に立って指示を出す立場ではなく、裏側で情報を整理し、最善の一手を考えることに本質があります。
軍事用語として生まれた言葉ですが、現在ではビジネスやチーム運営など、幅広い場面で使われるようになりました。その分、単なる補佐役ではなく、戦略的思考や全体を見渡す視点が求められる点も理解しておきたいところですね。
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