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「凶星」とは一体? 西洋占星術の場合
「星(座)占い」として親しまれている西洋占星術は、生年月日や出生時刻、出生地(緯度経度)をホロスコープと呼ばれる天体の配置図に記入して、その天体の位置によって運勢を占ってきました。ホロスコープは、「惑星」「黄道十二星座(サイン)」「十二室(ハウス)」「角度(アスペクト)」の4つの要素から成り立っていて、占星術師はこれを基に計算して鑑定していくといいます。
ホロスコープで使われている惑星は10個の天体に分けられ、各惑星は吉星と凶星の二通りに分類されます。吉の作用を強く持つ惑星が吉星であり、凶の作用を強く持つ惑星が凶星です。ただし、必ずしも吉星だから良くて、凶星だから悪いということはありません。
地球から遠い星ほど凶星が多くなり、天体は周期で巡行と逆行が繰り返されるため、必ず一定の期間で影響を受けることになります。凶星が巡ってきた時でも、サイン、ハウス、アスペクトの組み合わせなどによって左右されますから、凶星の時期でも運気の流れを理解して、うまく利用して行動するといいでしょう。
西洋占星術には10の惑星がある
西洋占星術は、もともと天文学から始まったと言われます。実在する10の惑星の位置を把握することで、その惑星の持つ特徴や意味をもとに鑑定してきました。
10の惑星は、太陽、月、水星、金星、火星、木星、土星、天王星、海王星、冥王星で、それぞれに意味があります。
【太陽】
光を放つ太陽は、生命力のシンボル。その人の基本的な性格や行動パターンを表しています。また、その人の個性や自分らしさなどに深く関わりを持っています。
【月】
月も太陽と同じく基本的な性格に深く関わりますが、太陽が「表の顔」とするなら、月は「裏の顔」、つまり素の自分を表します。外で見せる部分ではなく、プライベートでリラックスした時に見せる部分を表します。
【水星】
水星は知性やコミュニケーションを司る惑星です。考え方の傾向やコミュニケーションのスタイルなどを表します。
【金星】
金星は恋愛や芸術性など精神的な喜びと物質的な豊かさの物心両面を表す惑星です。美的センスや人間関係における協調性やバランス感覚などを司ります。
【火星】
火星は情熱や勇気を司り、積極性を表す惑星です。争いごとやトラブルに見舞われた時に、敢然と立ち向かうための勇気を授けて、自らの道を切り開いていくパワーを表します。
【木星】
木星は幸運と可能性をもたらす惑星です。また、あらゆる可能性を秘めて大きく発展させるパワーを持っており、成功へと導いてくれます。
【土星】
土星は試練や責任など、克服すべき課題を意味する惑星です。暗く重いイメージが強いですが、苦手やコンプレックスを乗り越えるためには、そういう試練も必要なことを示してくれます。
【天王星】
天王星は変化や変革、独立、飛躍といった意味をもつ惑星で、強い独創性と個性で予想外の変革、解放などを表します。
【海王星】
海王星は夢や理想、スピリチュアルを司る惑星です。夢の世界やファンタジーな世界に惹かれる一方で、現実逃避、心酔するという意味もあります。
【冥王星】
冥王星は破壊と再生を司る惑星です。何らかの力で破壊されても、その変化によって新しく生まれ変わるように、人生が根底から変わるような意味を持っています。
ちなみに吉星、凶星のうちわけはというと…
凶星は惑星の種類
10の惑星は吉星(ベネフィック)と凶星(マレフィック)に分けられます。とはいえ、吉星は良くて、凶星が悪いという意味ではありません。ホロスコープを使ったときの組み合わせ(サイン・ハウス・惑星・アスペクト)によって、それぞれが持つ意味合いは左右されます。
【吉星(ベネフィック)】
太陽、月、金星、木星
吉星の中でも「木星」は「グレート・ベネフィック」と言われる大吉星です。木星は幸運を表す惑星で、繁栄、発展、成功をもたらします。
「金星」は、愛情、豊かさ、喜びなど幸福度に強く作用します。
「太陽」「月」は、この2つに次ぐ吉星になります。
【凶星(マレフィック)】
火星、土星、天王星、海王星、冥王星
凶星は災いや争いをもたらすと言われ、なかでも「火星」と「土星」は凶星の代表格です。
「土星」はトラブル、災いという意味を持ち、特に大きな試練や困難を与えると言われます。
「火星」は争いや不調和をもたらしやすく、攻撃的なトラブルを引き寄せます。
「天王星」「海王星」「冥王星」の3つは「トランスサタニアン」と呼ばれ、これらも突発的なトラブルや破壊、争いなどをもたらしがちな凶星です。
※「水星」は唯一、中立の惑星です。
西洋占星術における凶星の主な作用
西洋占星術で凶星が位置している場合はどんな影響が出るのでしょうか。
◆火星
火星は戦争、事故、災害、騒乱を引き起こす「不和」の象徴と言われています。特に交通事故や人間関係でのトラブル、ケガなどには注意しましょう。一方、情熱や勇気に溢れている要素もあります。特に女性にとっての火星は、恋人となる男性のタイプを表していると言われますから、気になりますね。
◆土星
土星は試練や困難、不運などをもたらす惑星ですから、問題が起きた場合でも、いつもなら大事に至らずに解決できるのに、重大な問題になり解決まで時間を要すということになりそうです。でも、この試練は乗り越えられるからこそ与えられたもの。それをクリアすることで、次のステップに進むためのものと受け止めましょう。
◆天王星
天王星は独立、変革を司る惑星です。変革は既存の枠組みを壊して新しい秩序を形成することでもあります。何かを変えようとすると少なからず摩擦が起き、孤立しがちですが、だからこそ成し遂げられることもあります。
◆海王星
海王星はスピリチュアルや霊能力といった意味を持つ惑星ですので、強く作用すると「スピ系」にハマる人も少なくありません。また、作用が強まると現実逃避や妄想が強くなる傾向も見られます。
◆冥王星
冥王星は、トランスサタニアンの中でも、まるでラスボスのような強烈な惑星で、周囲の状況などに関係なく破壊するような作用をします。生か死かといった極限状態まで暴走させて破滅に至らしめて、そこから再起させるようなパワーを持っています。
ただ、こうして再生した場合は、カリスマ性を持ったトップになる可能性もあります。
「凶星」とは? 四柱推命の場合
四柱推命における、凶星の意味を解説します。
◆そもそも四柱推命とは
四柱推命は、陰陽五行説をベースにした占術で、生年月日や生まれた時間をもとに生まれ持った性格や気質、運勢を占います。四柱とは、生まれた年をもとにした年柱、生まれ月をもとにした月柱、生まれた日をもとにした日柱、生まれた時間をもとにした時柱のことで、この4つの柱をもとにして命式というものを作ります。
年柱は先祖や親、環境など、月柱は生まれ持った気質や運命、仕事運や家庭運など、日柱は恋愛や配偶者、時柱は子どもや晩年運を表します。それぞれの柱には1つずつ、十干(甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸)および十二支(子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥)が当てはめられます。
命式上で最も重要となるのが「通変星」です。年柱、月柱、時柱には「通変星」と呼ばれる10種の宿命星があります。通変星は日柱の天干を中心にして、ほかの柱がどのように関係しているのかを示します。ですから日柱には通変星はありません。この通変星で、その人の性格や運勢の流れを読み取ることができます。
通変星は10種類あり、古い四柱推命では吉星と凶星の2種類に分けています。
吉星は、食神・正財・偏財・正官・印綬。凶星は、劫財・傷官・偏官・偏印。ただし、吉星、凶星と呼ばれる星であっても必ずしも、そのまま吉凶が現われるとは限りません。組み合わせによって、どのように作用しているのかを読み解く材料の1つと考えられています。
◆凶星の意味
四柱推命でいう凶星は、命式において凶の働きをする通変星をさします。
◆凶星の種類と作用
【劫財】
劫財の「劫」は、奪う、脅かす、滅ぼすという意味ですから、財産を奪いにいく星と言われてきました。この星を持つ人は頭の回転が早く、上昇志向が強く野心家。ですから自分の考えや意志で、どんどん決断して事を進めていき、孤立してしまう可能性があります。
【傷官】
傷の字が示すように、相手を傷つける反面、自分も傷つきやすい繊細な星です。傷官は、日干のエネルギーを盗んで生まれる星とされ、別名「盗気」とも呼ばれていました。感受性が強く、頭脳明晰なのですが、それが強く出てしまうと逆に自分を防衛するために攻撃的になってしまうこともあります。
【偏官】
偏官を持つ人は、強いバイタリティーの持ち主です。行動力があり、弱音を吐かず、親分肌。計画を実現させる能力と実行力も持ち合わせています。ただ、それが裏目にでると頑固で、力で相手をねじ伏せようとする傾向があります。
【偏印】
偏印を持つ人は、意志が強く、独自のセンスや才能を持っています。その独自性がカリスマ性にもなり、芸能人、スポーツ選手などには、この星を持った人が多いといわれます。ただし、熱しやすく冷めやすい面があり、飽きると変わり身が早いので冷淡な印象を与えるでしょう。また空気を読まない行動が多いので、周りの人に誤解されやすいかもしれません。
神話に登場する凶星を紹介
神話の中にも凶事をもたらすとされる凶獣や凶神が登場します。
◆中国神話における四凶
中国の伝説には恐ろしい様々な怪物が登場しますが、その中でも暴虐の限りを尽くしたと伝えられるのが「四凶」です。古代中国の聖人である舜帝によって中原の四方に追放されたとされる四凶は、「饕餮(とうてつ)」、「窮奇(きゅうき)」、「檮杌(とうこつ)」、「渾沌(こんとん)」です。
「饕餮」は、財産を貪り、飲食にふける貪欲さを持っています。
「窮奇」は、約束を守らず人の悪口ばかりを言い立てて、不正と背信を繰り返す。
「檮杌」は、教えに逆らい誠の道を踏み外し、暴力性がある。
「渾敦」は、混沌(カオス)という言葉通り、悪徳とのみ交わる。
◆日本神話における禍津日神
日本神話の中にも凶事・災害などを引き起こす神として登場するのが、「禍津日神」(まがつひのかみ)です。伊弉諾尊(いざなぎのみこと)が黄泉の国からこの世に帰ってきて、禊(みそぎ)をした際に、流れ落ちた汚れから生まれた神さまです。
凶事をもたらすとされていますが、正しく祀れば凶事や災難を避けられる神とも伝えられます。
最後に
西洋占星術も四柱推命も古くから運命を把握するために、政治や学問などに用いられてきました。特に凶星がある場合は、いつも以上に気を引き締めて行動したり、慎重な考えでことを進めたりすることで、危機管理をしてきたそうです。凶星は、そんなサインを送ってくれる惑星なのかもしれません。
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