「その旨」とは?
ビジネスシーンでよく聞く「その旨」。「その旨についてお知らせください」と言われたときに、「何を伝えればいいの…?」と混乱したことがある方もいるのではないでしょうか。まずは「その旨」という言葉の意味を、しっかり理解していきましょう。
読み方と意味
「その旨」とは、「そのむね」と読みます。意味は、「そのような話」や「そのような内容」などです。そもそも「旨」という漢字は、「話したことの中心」「趣旨」という意味を持ちます。「話したことの内容や趣旨」を、「その旨」という端的な表現であらわせるので、内容の重複感を防ぐことができる便利な表現です。
例えば、「明日の会議は14時に変更ですね。その旨、メンバーに伝えておきます」といった会話があった場合。ここで「その旨」がさすのは、「明日の会議が14時に変更になったこと」になります。
「その旨」は目上の人に使ってもいい?
「その旨」は目上の人にも使ってもいいのか、迷ったことはないでしょうか。「その旨」は、目上の人に対しても使っても、失礼にはあたりません。そのため、目上の人はもちろん、取引先など社外の人に対しても使えますよ。むしろ、フォーマルな表現であるため、ビジネスシーンに適した言葉です。
ただし注意したいのは、「その旨」を多用しすぎないこと。「その旨」は、直前の話の内容をあらわせるため、便利な言葉ではあります。しかし、いくつかの話をしたあとに、「その旨」と言われても、それがどの内容をあらわしているのかわかりにくくなってしまいますよね。そのため、「その旨」を使うのは必要最低限にしておきましょう。
「その旨」を使った表現・例文をチェック!
では次に、メールなどでもよく見る「その旨」を使った表現を解説しましょう。それぞれ例文も紹介しますので、参考にしてみてくださいね。
1:「その旨伝えておきます」
「その旨を伝える」という言葉に、丁寧語の「ます」をつけた表現です。「その旨伝えておきます」で、「直前に話していた内容を伝えておきます」という意味になります。例えば、その場にいない社員あての電話があり、伝言を頼まれた場合などに「その旨、○○に伝えておきます」と使うことができますよ。
ただし、社外の人などに使う場合には、「その旨、申し伝えます」といった表現のほうがより丁寧ですので、こちらを使うといいでしょう。
例文:明日の打ち合わせは中止とのことですね。その旨、○○に伝えておきます。
2:「その旨、承知いたしました」
「その旨、承知いたしました」は、「直前に話していた内容を理解しました」という意味。ちなみに、「承知いたしました」は、「承知しました」をより丁寧にした表現です。目上の人や社外の人に使う場合には、「その旨、承知いたしました」を、親しい間柄の目上の人には、「その旨、承知しました」を使うといいでしょう。
例文:資料の提出は正午までとのことですね。その旨、承知いたしました。
3:「その旨をお知らせください」
「その旨をお知らせください」は、「直前に話した件について、連絡してください」という意味。例えば、出席の可否や、検討をお願いしていた事項に関して、その結果を知りたいときに使える表現です。
例文:セミナーに参加される場合は、事前にその旨をお知らせください。
4:「その旨返信ください」
「その旨をお知らせください」と似た表現ですが、「その旨、返信ください」はメールでよく使われる表現です。メールは相手に届いたかどうかわからないこともありますよね。相手に自分のメールが届いているか確認したいときなどに、下記の例文のように使われます。
例文:メールが届きましたら、その旨返信ください。
5:「その旨、お伝え願います」
「その旨、お伝え願います」は、「直前に話した内容を伝えておいてください」という意味です。「お伝えください」という表現でも同じ意味になりますが、「願います」という謙譲表現にすることで、より丁寧な印象になります。社外の人や、目上の人に使うといいでしょう。
例文:16時にこちらから改めてお電話いたしますので、その旨、○○様にお伝え願います。
類語や言い換え表現とは?
続いて、「その旨」の類語を見ていきましょう。「その旨」を他の言葉に言い換える際には、「そのことについて」「今の話の内容」などが適しています。それぞれ解説しましょう。
1:そのことについて
「その旨」の言い換え表現として使いやすいのは、「そのことについて」。「その旨」はかしこまった印象を与える言葉なので、同僚や後輩には「そのことについて」を使うほうがいいでしょう。
例文:明日の会議は全員参加です。そのことについて、○○さんにも伝えておいてください。
2:今の話の内容
「その旨」の言い換え表現には「その内容」もあります。「そのことについて」に比べると、やや丁寧な印象を与えます。親しい間柄の先輩などに使うといいでしょう。ただし、ややくどい印象を与えかねないので、多用するのは控えたほうがいいかもしれません。
例文:今の話の内容を先方に申し伝えます。
英語表現とは?
「その旨」を英語で言いたい場合、どのような表現を使えばいいのでしょうか。ここでは、いくつか「その旨」の英語表現を紹介しましょう。メールでも使える表現ですので、ぜひビジネスの場面で役立ててください。
1:to that effect
「その旨」の英語表現には「to that effect」があります。「effect」とは、「趣旨」「意味」などの意味を持つ単語。「to that effect」で、「その趣旨で」という意味。つまり、「その旨」をあらわします。
例文:I’ve received a note to the effect that they got married.(彼らが結婚した旨の通知を受け取った)
2:Please let me know if〜
「Please let me know if〜」は「〜の場合は、その旨ご連絡ください」という意味の英語です。「その旨」そのものを指す英語ではありませんが、「その旨ご連絡ください」を言いたい場合にはぴったりの表現でしょう。
例文:Please let me know if you will not be able to attend.(欠席の場合は、その旨ご連絡ください)
最後に
「そのような話」や「そのような内容」という意味を持つ「その旨」。丁寧な表現のため、ビジネスシーンで使えると、スマートな印象を与えることができますよ。例文を参考にしながら、正しく「その旨」を使えるようになりましょう。
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