「劣等感」とは?
「どうして私は、あの人のようにうまくできないのだろう」と思った経験はありませんか? 多くの人が、一度はこのように思ったことがあるかもしれません。それは、自分が抱いている「劣等感」の影響かも。
まずは、「劣等感」がどのような感情なのか、説明します。
「劣等感」の意味
「劣等感」とは、自分の短所を自覚し、他の人よりも劣っていると自己否定的になる感情のことを指します。「劣等感」が強くなると自己嫌悪に陥ったり、自虐したりと、ネガティブに自分を傷つけてしまうことがあるのです。
また、この「劣等感」が外部に向かうと、自分より優れていると感じる他人に対して攻撃的になることもあります。
「劣等感」と心理学
「劣等感」という言葉は、オーストリアの精神医学者であるアドラーによってつくられた心理学用語です。「アドラーの心理学」という言葉を聞いたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
アドラーによれば、ある分野でBよりも劣っていると感じたAが、別の分野でBよりも優位に立とうとすることを、「劣等感」の補償として教育的に望ましいものであると述べています。
一方で、あまりにも「劣等感」が強くなると、過剰に他人よりも優越することを求めるようになったり、うつ病の原因になったりすることを言及しているところも特徴です。
「劣等感」を持ちやすい人の特徴とは?
続いて、「劣等感」を持ちやすい人には、どのような特徴が挙げられるのでしょうか。
1:周囲の人の影響を受けやすい
「劣等感」を持ちやすい人は、周りの人に影響を受けやすい傾向にあります。他人の良いところを吸収することができる反面、自分に自信がないことから、他人の持っているものが羨ましいと感じたり、意見に流されやすかったりすることが多いようです。
2:自己肯定感が低い
自分のことが嫌いなのも、「劣等感」を感じやすい人のひとつの特徴といえるのではないでしょうか。自己肯定感が低いため、「他の人と比べて、どうして私はこうなんだろう」と考えてしまいがちです。
また、一時的に自分のことが嫌いという人よりも、常に自分に対して否定的に捉える人が多く、慢性的に「劣等感」に苛まれている場合も多くあります。
3:攻撃的
「劣等感」を感じやすい人は、時に非常に攻撃的になることがあります。これは、「劣等感」が自分の内部だけでなく、外部に向かった時に起こる現象です。
「劣等感」を持つと、「自分はうまくいかないのに、どうしてこの人ばかりうまくいくんだ」と不満に覚える場合があります。反対に、相手が失敗した際、自分の優位を強調したい時にもこの攻撃性が現れるケースも。こうした場合に、相手を罵倒したり、蔑んだりする傾向があるようです。
「劣等感」よるデメリット
「劣等感」を持ちやすい人の特徴を紹介しましたが、ネガティブな内容が多い印象を受けたのではないでしょうか。このように、「劣等感」によって、受けるデメリットは数多くあるといえます。
1:負の連鎖に陥る
「劣等感」を持つと、自分の無力感や自己肯定感の低下に繋がります。「自分は何をやってもだめなんだ」という考え方になるため、新しいことに挑戦することをやめたり、自分磨きに意味を見出せなくなってしまう恐れが。
日々の生活に生きがいが見い出せず、負のループから抜け出せなくなることがあるので、「劣等感」には要注意です。
2:交友関係が狭くなる
「劣等感」は、他人と自分とを比べることで自分の短所を自覚し、引き起こされる感情です。そのため、「劣等感」を抱きやすい人は、周囲の人と距離を置きたがる傾向があります。
結果、交友関係が狭くなり、他者からの様々な刺激を受ける機会が減ってしまうのです。
3:被害妄想がエスカレートする
「劣等感」を持ちやすい人は、ひとりで問題を抱え込むことが多いといわれています。人にアドバイスをもらったり、客観視する機会が少ないため、主観で物事を捉えがちです。結果として、「こうかもしれない」という疑念が、「こうに違いない」と思い込んでしまうことに繋がることがあります。
「劣等感」を克服する方法はあるの?
これまで見てきたように、「劣等感」はデメリットに働くことが多い感情だといえます。「劣等感」を改善するにはどのような方法があるのでしょうか。詳しく見ていきましょう。
1:自分を知る
自分がどのようなことや人に対してどうして「劣等感」を抱くのか、自分をよく観察してみましょう。何に「劣等感」を抱いているのかが分かれば、払拭するためにどのようなことをしたらいいのかを明確にすることができるのではないでしょうか。
2:自分のなりたい理想像をつくる
「劣等感」を抱いてしまう人は、具体的な理想像を設定してみましょう。「劣等感」は誰でも抱くことのある感情です。しかし、「劣等感」と向かい合うことのできる人は、なりたい自分になるために、努力をしていることが多いといえます。
具体的な理想像をつくることで、自分がどうのように努力したら良いのかを明確化してみましょう。
3:短所を長所として捉えなおす
物事をポジティブに捉える癖をつけると、「劣等感」から抜け出すきっかけとなります。例えば、八方美人であることを短所だと思っている人がいたとしましょう。しかし、八方美人は、誰にでも平等に接することができるということでもあるのです。
このように、自分の考え方ひとつで、ポジティブにもネガティブにも捉えることができます。
4:生活習慣を見直す
寝不足だったり、栄養の偏った食生活を続けていたりすると、自分の気がつかないうちにメンタルに影響を及ぼすことがあります。生活習慣や食生活を見直すだけでなく、筋トレやウォーキングなど軽い運動を取り入れることで、体力もつきますし、美しいからだづくりにも繋がるので、ぜひ実践してみてください。
最後に
「劣等感」とは、他者と比べることで、自分の短所が多いように感じ、優れていないと否定的になることです。しかし、短所は捉え方ひとつで長所に変わります。
「劣等感」を無理になくそうするのではなく、このように上手に受け入れたり付き合っていくことで、改善していくことができるのではないでしょうか。
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