「社交辞令」とは?
「社交辞令」という言葉を知っていますか? 「社交辞令」は、ビジネスシーンに限らず、日常生活でも使われることがあります。人間関係に関する言葉ですが、意味を知らないと、相手との間に誤解が生まれてしまう場合も。
まずは、「社交辞令」の意味から、おさらいしていきましょう。
「社交辞令」の意味
「社交辞令」とは、相手と友好な関係を築くための挨拶や誉め言葉のことです。「本音」とは違い、儀礼的なあいさつや誉め言葉なので「社交辞令」ではなく、「社交辞礼」のほうが正しい漢字なのでは? と考える人がいるかもしれません。
しかし、「社交辞礼」は間違いです。「辞令」は、「言葉遣い」や「挨拶の言葉」という意味があります。間違われやすい漢字なので、書く際は気を付けるようにしましょう。
「社交辞令」を使うシーンとは?
「社交辞令」とは、対人関係を円滑に進めるために、建前的な発言をすることを指します。つまり、考えようによっては「嘘つき」だと思われるかもしれません。では、どんな時に「社交辞令」が用いられるのでしょうか。
「社交辞令」を使うシーンについて紹介しましょう。
1:会う約束を断りたいとき
「この人とは話が弾まないな」と思ったり、「この人はすぐ怒るからいやだな」と感じたり、相手に対して苦手意識を持った経験はありませんか? 「社交辞令」は、こういう場合に使われることがあります。
本当はもう関わらないようにしたいのに、相手から次も会いたいと言われたり、別れの挨拶に困ったりしたときは、「社交辞令」の出番です。
「また機会があればお会いしましょうね」ということで、さりげなく相手と距離を取りながら、しかし穏便に挨拶をすることができます。
2:その場を無難にやり過ごしたいとき
反応に困ることを言われたり、本当の気持ちを打ち明けたら険悪な雰囲気になってしまいそうになったりしたときに「社交辞令」は使われます。
荒立てることなくその場をやり過ごしたいときや、もう関わりたくないなと思った時に「またこちらから連絡します」などということも「社交辞令」のひとつです。
「またこちらから連絡します」という言い回しは、「こちらから連絡するので、それまであなたから連絡しないでくださいね」というニュアンスを含んでいる場合があります。
ただし、そのように相手を遠ざける意味ではなく、本当に「改めてこちらから連絡するのでわざわざ連絡していただかなくて大丈夫ですよ」という意味の場合もあるので、見極めが重要といえるでしょう。
3:相手の意見と自分の意見が異なるとき
自分と相手の意見が異なるときでも、相手を真っ向から否定することはできれば避けたいですよね。こんな場合にも、「社交辞令」は用いられます。
「大変参考になります」「さすがですね」などの言い回しも場合によっては「社交辞令」の可能性が。「本音」か「社交辞令」かを見極めるのは、案外難しいといえるかもしれませんね。
「本音」と「社交辞令」の見分け方はある?
「社交辞令」を使う場面を紹介しましたが、「本音」と「社交辞令」の線引きはなかなか困難であることが理解できたのではないでしょうか。
続いては、「本音」と「社交辞令」の見分け方について、紹介します。
1:言葉と行動が一致しているか
先ほど、「社交辞令」を使う場面がどんな場面であるかを紹介しました。例えば「後ほど連絡します」と言われて本当に連絡が来れば「社交辞令」ではなかったということがわかりますよね。
つまり、言葉と行動が一致しているかを判断材料にすると「本音」か「社交辞令」かを見極めることができます。
2:約束が具体的であるか
「また機会があれば会いたいですね」や「あとで連絡します」などと言われたとき、「本当にそう思っているのかな?」「社交辞令なんじゃないかな?」と思ってしまうことがあるかと思います。
そんな時は、約束を具体的にしているかどうかで判断するのもひとつの方法といえるのではないでしょうか。もし、相手が本当に会ったり、連絡したりするつもりであれば、日取りや場所などを提案することが多いからです。
もちろん、自分から予定を立てることが苦手な人もいますので絶対とは言えませんが、こちらから提案しても予定を立てることに前向きではない様子が伺えたら、それは「社交辞令」である可能性が高いと考えられます。
3:ありきたりな褒め方ではないか
容姿などを褒められた際に、「お世辞や社交辞令なのではないか」と勘ぐってしまい、素直に受け取れなかったという経験はありませんか? 「本音」と「社交辞令」どっちなのだろうと悩んでしまった場合は、具体的に誉めてくれたかどうかが判断する一つの基準にできそうです。
例えば、「かわいい」「すごい」「モテそうだよね」という言葉は、ざっくりしていますよね。したがって、「どこがかわいいの?」と聞くと答えに詰まってしまうことがあります。「こういっておけば大丈夫だろう」と「社交辞令」として使うことが多い言葉です。
一方、「気配りができるし、いつも笑顔だからすごくかわいいよね」など具体的な場所を指摘して褒めてくれる場合は、根拠があるので「本音」の場合が多いといえます。
「社交辞令」の類語表現
最後に、「社交辞令」の類語表現について見ていきましょう。「社交辞令」の類語として、「巧言令色」という四字熟語が挙げられます。
「巧言令色」は「こうげんれいしょく」と読み、「巧言」は「巧みな言葉」、「令色」は、「相手にへつらう取り繕った顔」という意味です。
つまり、「巧言令色」とは、「巧みに飾った言葉で取り繕い、相手をへつらう」ことを指しています。この四字熟語は、言葉ばかりが達者で、誠実な心を持ち合わせていない人を表す際に使う言葉ですので、マイナスのイメージとして使われることが多いです。
最後に
「社交辞令」は、友好な関係を維持するために使う儀礼的な挨拶や誉め言葉のこと。「巧言令色」とは違い、相手を傷つけないように気遣う場合でも使われることがありますので、少しニュアンスが異なりますね。
しかし、「社交辞令」が行き過ぎてしまうと「巧言令色な人だ」と言われかねませんので、気を付けるようにしましょう。
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