満腹になると眠くなるのは胃に血液が集まるからではない!
「満腹になると、眠くなる」、こんな経験をした人は、きっと少なくないのではないかと想像します。私もそんな体験をしてきた1人ですが、昔、学校の先生から「それは胃に血液が集まって、脳に栄養がいかないからだよ」と説明されたことをよく覚えています。
当時はなるほどと納得していました。そんな説明をされた人も多いのではないでしょうか。しかし、最新の研究では、満腹になると食欲を司る脳内物質オレキシンが減少するため、眠くなることがわかってきています。
なぜなら、この食欲を司るオレキシンは、脳に覚醒作用を引き起こす有名な神経伝達物質でもあるからです。その量が少なくなると、集中力や記憶力なども低下し、眠くなってしまうのです。
また、日本の調査によると、居眠りをした学生は、居眠りしていない学生と比べて、食後の血糖値の変動が激しかったという報告があります。逆に、変動が少なかった学生は居眠りが少なかったことが報告されています。
血糖値が上がりやすい食事は脳内のオレキシン量が減るため、眠くなりやすくなります。、私も大切な場面や執筆するときは必ず低GI食を意識して食事をしています。低GI食とは食後の血糖値の上昇が低い食べ物ですが、詳しい話は、別の記事で詳しく述べていますので、そちらを参考にしてください。
食事量を抑えて、低GI間食でこまめにエネルギー補給を
ただ、低GIの食べものでも、たくさん食べると食後の血糖値が上昇しやすくなるので、食後、バリバリ活動したいというときは、食事を腹5~8分目に抑えて、お腹がすいたら、間食で補うというのがおすすめです。
間食で、おすすめしたいのが、高カカオチョコレートとナッツです。カカオ成分が70%以上含んだものを高カカオチョコレートといいます。
チョコレートというと、あまくて、血糖値をあげるというイメージがあるかもしれませんが、カカオには食物繊維が豊富に含まれているため、低GI食になります。高カカオチョコレートを食べると、脳がシャキッと目覚めます。
目覚める理由は、カカオ豆に含まれる苦味成分。私たちの味覚は、甘味、酸味、塩味、苦味、うま味という五味を感じとることができますが、この味覚が自律神経に作用することがわかっています。
自律神経とは、呼吸や心拍、体温など、私たちが生きていくために欠かせない機能をコントロールしてくれているもので、交感神経と副交感神経という異なる役割を持つ2つの神経があります。
体を活発にするアクセルの役割をする交感神経と、体を休ませるブレーキの役割をする副交感神経。交感神経が優位になると体が活動モードになり、副交感神経が優位になるとリラックスモードになります。
苦味成分が作用するのが、交感神経。つまり、朝に高カカオチョコレートを食べると、脳や体を活動モードに切り替える手助けをしてくれることになるのです。カフェインが含まれているので、一度に大量に摂取せずに、ちょこちょこと食べていくとよいでしょう。
低GIの間食については、『低GI食 脳にいい最強の食事術』にも詳しく掲載していますので、そちらも参考にしてください。いずれにしても、食事の量を減らし、低GIのものを間食で食べるというのが食後の「ナマケモノ」への変身をとめる手助けをしてくれるはずです。
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