目次Contents
この記事のサマリー
・「お通し」は居酒屋で最初に出る小鉢料理。関東では「お通し」、関西では「突き出し」と呼びます。
・相場は300〜500円程度。席料やチャージを兼ねる場合が多く、会計時に戸惑わないための知識が役立ちます。
・英語で説明できると、訪日客への案内やSNSでの発信にもすぐに活用できます。
仕事帰りの一杯や、友人との近況報告会。居酒屋に入って席に着くと、真っ先に運ばれてくる小さな小鉢料理が「お通し」です。この記事では、「お通し」にまつわる素朴なギモンを徹底的に深掘りします。
「どうして有料なの?」「料金はどのくらいが妥当?」といったお金にまつわる話から、スマートな断り方、そして意外と知らない由来まで、知っておくと一歩リードできる大人のたしなみをまとめました。
さらに、海外から来た人を居酒屋に案内するときに役立つ、「お通し」を説明するための英語のフレーズも紹介します。
「お通し」って何? 読み方や意外な由来を解説
居酒屋で、席に着くと最初に運ばれてくる「お通し」について、その意味や由来の通説までを知っている人は少ないかもしれません。この知識はちょっとした雑談のネタにもなりますよ。
「お通し」の意味を明確化
「お通し」は「おとおし」と読みます。文字通り、お店が「注文をお通ししました」というサインとして、最初に提供される少量の料理のことです。
辞書には、以下のように記載されています。
とおし〔とほし〕【通し】
…
3 料理屋で注文の料理の前に出す、酒のさかなとしての簡単な料理。突き出し。おとおし。とおしもの。
…
引用(一部抜粋):『デジタル大辞泉』(小学館)
例えば、枝豆や漬物、小鉢の煮物などが「お通し」の典型的なメニューです。お酒を飲む前に軽くつまめるようにという、お店の気配りを感じることができますね。

「お通し」の由来と役割を整理
「お通し」という言葉は、かつて居酒屋が満席の際に、来店したお客さまを奥の席に通すとき、「予約のお客さまをお通ししました」と、お店の内外に伝えていたことを由来するという説があります。
これは、「俗説」として広まった説ですが、注文から料理が届くまでの時間をつなぐ、お店の気遣いが、もともとの起源とされています。現代でも、注文してから料理が出てくるまでに時間がかかるときでも、最初に「お通し」が出てくると、安心して待てますよね。
昨今のお通しといえば、お客様が最初に口にする料理であり、しばしば「お店の顔」と形容されることもあります。実際、店主が季節の食材や得意料理を盛り込み、第一印象を大切にしている例も少なくありません。
「突き出し」との違い
「お通し」に似た言葉で、「突き出し」という表現も見聞きします。この二つに意味の違いはありません。関東では「お通し」と呼ぶことが多く、関西では「突き出し」と呼ぶのが一般的です。
さらに、割烹や料亭などでは、季節の食材を使った「先付け」と呼ばれることもありますよ。
参考:『日本大百科全書』(小学館)
お通し代はいくらが相場? 賢く利用するルール
居酒屋でさりげなく提供される「お通し」ですが、正直なところ、「これって代金に含まれてるの?」「いくらぐらいが相場なの?」と気になっている人も多いはず。会計で戸惑うことがないように、料金の相場や、断れるケースなどを知っておきましょう。
お通し代の相場と料金の目安
お通し代の相場は、一般的に300円から500円程度。でも、お店によっては200円以下の手頃な価格帯もあれば、1,000円を超える場合も。この価格の差は、提供される料理のクオリティや量、お店のコンセプトによるものです。
例えば、高級な和食店では、旬の食材を使った繊細な前菜が出るなど、料金に見合った質の高い料理が楽しめることが多いでしょう。
席料やチャージとの関係
お通し代は、お店の「席料」や「テーブルチャージ」を兼ねているケースがほとんどです。レシートには「お通し」と書かれたり、「チャージ料」と表記されたりと、お店によって様々。
料理として提供するお店もあれば、あくまで座席利用料に近い意味で設定しているお店もあります。会計時に慌てないよう、事前に確認しておくと安心です。
「お通し」を断りたいときの注意点
「お通し」は席料やチャージと一体とみなされるため、原則として断ることができないお店がほとんどです。
ですが、食べ物のアレルギーがある場合や、宗教上の理由がある場合は別です。入店時や注文の際にその旨を伝えて相談すれば、別の料理に差し替えてもらえることがありますよ。
提供された後で断ると、お店とのトラブルになりやすいので注意しましょう。

「お通し」って何が出てくる? お店側とお客側、それぞれのメリット
「お通し」があることによって、お店側とお客側、双方にとってどんないいことがあるのかを整理してみましょう。また、具体的なメニュー例を知ることでイメージが湧きやすくなります。
「お通し」の人気メニュー5選と心遣い
「お通し」としてよく見られるのは、枝豆・たこわさ・もつ煮・刺身・ポテトサラダといった小鉢料理です。いずれもビールや日本酒など、お酒との相性を考えて工夫されていますよ。
特に、自分ではなかなか作らない手の込んだ一品が出てくると、それだけで特別感があるものですよね。一杯目のビールを、よりおいしく感じさせてくれる、そんな嬉しい効果もあります。
「これはちょっと残念…」となりがちな例
せっかくの一品が、ナッツだけだったり、家庭でも簡単に作ることができる、おひたしだったりすると、がっかりしてしまう人もいます。また、量が少なすぎたり、形式的に出された印象を与える料理だったりすると、不満につながることも。
季節の食材を取り入れたり、器にこだわったり、料理についてひと言説明を添えるだけでも、満足度は大きく変わるものです。
お店側とお客側、それぞれのメリット
お店にとって、「お通し」は料理を提供するまでの時間をつなぎ、混雑時でもスムーズに営業するための大切な役割を担っています。また「お店の味や雰囲気を知ってもらう最初の一皿」として、お客にアピールするチャンスでもあります。
一方、お客側にとっても待ち時間を長く感じずに、店の雰囲気を知ることができるメリットがあります。会話のきっかけとしても役立ち、場を和やかにしてくれるコミュニケーションツールとしての役割も果たしてくれます。
海外の友人に「お通し」を説明するには?
海外の友人と居酒屋に行くとき、「お通し」をどう説明すればいいでしょうか? ここでは「お通し」について、英語での紹介の仕方を整理しました。
「お通し」の読み方・表記
「お通し」は、ひらがなで「おとおし」と表記されることがほとんどです。海外の方に説明するときは、そのままローマ字で“Otooshi”と添えれば、発音が伝わります。
「お通し」の関連語・言い換え表現
「突き出し」や「先付」だけでなく、「前菜」も「お通し」とほぼ同じ意味で使います。海外の人には、「前菜」を意識して説明すると、意味が伝わりやすいでしょう。
英語では、“appetizer”という言葉が一番近い表現です。必要に応じて“table charge”(テーブルチャージ/席料)を付け加えると、お金のやり取りについての誤解も防げますよ。
「お通し」の英語での説明例
例文を参考に、実際の会話やSNSでの投稿に活用してみましょう。
【英語】
“Otooshi is a small appetizer and table charge served at Japanese pubs Izakaya.”
(お通しは日本の居酒屋で提供される、小さな前菜で席料を兼ねています。)

「お通し」に関するFAQ
ここでは、「お通し」に関するよくある疑問と回答をまとめました。参考にしてください。
Q1. 「お通し」と「突き出し」は同じ意味ですか?
A. はい。
どちらも最初に出る小鉢料理を指します。関東では「お通し」、関西では「突き出し」と呼ぶことが多いです。
Q2. NGな使い方はありますか?
A. はい。
「お通し=無料サービス」と誤解してSNSで紹介すると、トラブルになることがあります。基本的に有料であることを理解しておきましょう。
Q3. 英語で説明するときはどう言えばよいですか?
A. “This is a small appetizer and table charge.”
「少量の前菜で、席料を含みます」と伝えると誤解が少なくなります。
最後に
「お通し」は、お店が心を込めて提供する「おもてなしの第一歩」であり、私たちお客側にとっては、そのお店の雰囲気や味を知る手がかりでもあります。
言葉の由来や、多言語での説明例まで押さえておけば、海外の友人との会話や、SNSでのちょっとした発信にも役立ちますよね。「本当に必要なの?」という疑問が「なるほど!」という納得に変われば、「お通し」を通じた外食体験は、もっと豊かで楽しいものになるはずです。
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