「ここだけの話」は絶対、人に言わない
人は秘密を他の誰かと共有したくなる心理を持っています。よくある「ここだけの話なんだけど……」というものです。この話が出た時、私は決めていることがあります。それは、聞いた後にその話を墓場に埋める、ということです。
これは幼い頃から言われ続けた私の父の口癖でした。
「男は話の墓場を持て。ここだけの話はするな。たとえ人からここだけの話を聞いてもそのまま墓場に埋めておけ。おしゃべりな男には一銭の価値もない」
今振り返っても九州男児らしい発言だなと思います。若い頃はまだこの言葉を理解しきれず、何度か失敗した経験があります。
しかし今、この教えは人とコミュニケーションを取る上で本当に役に立っています。人は自分だけで抱えきれない悩みを持ってしまった時、どうしても人に聞いてほしくなります。これは悪いことではありません。
しかし聞く側に回った時は、しっかりと「よし、この話は自分のところで止めよう」と決めて話を聞くことをおすすめします。
こうした話は自分が口を滑らせて漏れてしまうと、思わぬ尾ひれにひれがくっついて膨張し、いびつな形に変わり、結局は回り回ってその悩んでいた本人のところに返ってきます。
それくらい人のフィルターというものは自分本位なものなのです。そうなってしまっては、もう相手の信頼などあったものではありません。逆にそこをしっかりと守っていくことで、相手はあなたに対してさらに信頼感と安心感を抱くようになります。
ここだけの話は、本当にここだけ、自分だけで止めておきましょう。そのほうが、あなた自身が人の話を聞く上でも、とても安全なことだと言えるのです。
最後にまとめです。
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秘密を守れる人になる
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永松茂久(ながまつ・しげひさ)
株式会社人財育成JAPAN代表取締役。大分県中津市生まれ。「一流の人材を集めるのではなく、今いる人間を一流にする」というコンセプトのユニークな人材育成法には定評があり、全国で数多くの講演、セミナーを実施。「人のあり方」を伝えるニューリーダーとして、多くの若者から圧倒的な支持を得ており、講演の累積動員数は延べ45万人にのぼる。2021年1番売れた本『人は話し方が9割』(すばる舎)をはじめ、著書多数。