答えや解決策をはじめから言わない
例えば人が悩みを打ち明けてきた時。いきなり「それはこうすれば解決するんだよ」と答えを言うのは意外といい方向に進みません。
もちろん本当に解決策を知りたくて相談をすることもありますが、多くの場合人は「ただ自分の気持ちをわかってほしい」と願っているものです。
実は自分の答えは持っているのに、「大丈夫だよ」とあえて背中を押してほしくて悩みを聞いてもらいたいという場合も少なくありません。
こういう場合は「こうすればいい」という指示ではなく、質問が有効です。その中でもとても答えを出しやすい質問があります。
それは「あなたはどうなったら嬉しい?」というものです。
「あなたはどうしたいの?」という質問も一見似てはいますが、違います。「どうなったら嬉しい?」は感情で、「どうしたい?」は希望です。人は希望より感情のほうが表現をしやすいからです。
「どうなったら嬉しい?」これを質問していくことで、人は自分自身が本当はどうなりたいのか、という希望を自分の中から探し出します。そして最終的に、人は他人からの命令や解決策より、自分自身で出した答えに納得します。
特に感情の入る相手に対してはこのことをしっかりと心に置いて話を聞きましょう。例えば自分が親になった時、上司の立場になった時、もしくは大切な人にアドバイスをしたくなった時など。愛ゆえに相手に対して一方的に自分の答えを押しつけたくなるものです。
しかしその気持ちをぐっとこらえて、悩みを聞く時はあくまで自分はその発見のお手伝いをする、という意識で聞いていくといいと思います。その人の本当の感情はその本人のみが見つけることができるものなのです。
最後にまとめです。
・100%好かれる聞き方のコツ
相手が自分で解決策を見つけ出せるように伴奏する気持ちで話を聞く
次回も引き続き、嫌われない聞き方を紹介します。
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永松茂久(ながまつ・しげひさ)
株式会社人財育成JAPAN代表取締役。大分県中津市生まれ。「一流の人材を集めるのではなく、今いる人間を一流にする」というコンセプトのユニークな人材育成法には定評があり、全国で数多くの講演、セミナーを実施。「人のあり方」を伝えるニューリーダーとして、多くの若者から圧倒的な支持を得ており、講演の累積動員数は延べ45万人にのぼる。2021年1番売れた本『人は話し方が9割』(すばる舎)をはじめ、著書多数。