2月9日は「黄鶯睍睆(ウグイスなく)」
2月4日は立春、早いもので暦の上では春を迎えました。そして2月9日は七十二候の「黄鶯睍睆(ウグイスなく)」。
「ホーホケキョ」と高らかにさえずり、春の訪れを告げてくれる鳥ですね。「睍睆」とはよい声で鳴く様子のことで、ウグイスが山里で鳴き始める頃とされています。
では、そのウグイスはどちらでしょうか?
正解は、Aの灰色っぽい方がウグイス。
おや? 右の淡い緑色の鳥がウグイスだと思った方が多いのでしょうか? 実はこちらはメジロ。
でも勘違いするのもそのはず、和菓子屋さんで売られているうぐいす餅は、大抵淡い緑色ですよね。一般的には青大豆を使った青きな粉で作られます。
ややこしいですが、うぐいす餅が販売された当初は、メジロ色で作られていたようです。
うぐいす餅の発祥は、1580年代のこと。豊臣秀吉が今の奈良県に当たる大和の国を訪れた際に、粒あんを餅で包み、きな粉をまぶした一口サイズのお菓子が献上されたのが始まりとされています。
このお菓子を大変気に入った秀吉が「うぐいす餅」と命名。
その後諸説あるものの、ウグイスとメジロが同じ時期に飛ぶ鳥なので勘違いされたという説や、春らしい色をうぐいす餅に用いたなどの説があります。

取り合わせが良いふたつのもの、美しく調和するものの例えを「梅にウグイス」と言いますが、花の蜜を吸っているのは、大抵の場合ウグイスではなくメジロ。ウグイスは茂みの中が好きで花の蜜をつつきに梅の枝にとまることはあまりありません。
一方メジロは花の蜜が好物で、忙しく動き回ります。「梅にメジロ」の方が本当はよく見かける組み合わせなのかもしれませんね。
ウグイスの別名は春告鳥。姿を見ることはできなくても、その鳴き声を聞くことができればぐっと春を身近に感じられます。春を探しに、耳を澄ませて歩いてみてはいかがでしょうか。

気象予報士 太田絢子
気象予報士、防災士。中学生のころから気象に興味をもち、大学在学中に気象予報士試験に合格。卒業後は損害保険会社に就職し、交通事故や自然災害に遭った人へのサービス業務に従事。自然災害が多発するなかで、犠牲者をゼロにしたいと思うようになり、気象キャスターへ転身。現在は地元名古屋のCBCテレビ「チャント!」などに出演中。趣味はモーニング巡り、季節の箸置き集め。