集中力や記憶力を上げる「低GI食」とは?
「低GI食(グリセミックインデックス)」とは何なのか。一時期ダイエットでも注目されたため、ご存じの方も多いかもしれません。簡単に説明すると、食後の血糖値が急激に上がりにくい食事のことです。これまでは健康効果ばかりが注目されてきましたが、最新の研究で、この低GI食を摂ることが、継続的な集中力や記憶力アップにつながることがわかってきました。
それでは、具体的に、どのように生活に取り入れればよいのでしょうか。具体的な低GIの食品をあげながら、説明していきたいと思います。
※GI(グリセミックインデックス)とは、食品に含まれる糖質の吸収度合いを示すもの。
昼食後のパフォーマンスを決める「脳活ランチ」はこれ
昼食後に眠くなったり、集中力が低下したり、だるくなったりすることがありますよね。これは、糖質の摂りすぎによる「血糖値スパイク」の影響が大いに考えられます。食事などで糖質をたくさん摂ると、血糖値が急上昇し、インスリンが過剰に分泌されます。すると、このインスリンの働きによって、今度は血糖値が急激に下がっていきます。これを「血糖値スパイク」といい、眠気や倦怠感を引き起こすのです。
そこで、血糖値スパイクを起こさないために、私がおすすめするのが、食後の血糖値が上がりにくい「低GI食」を利用する方法です。昼食にも「低GI食」を利用できれば、夕方まで脳を効果的に動かすことができるようになります。
朝食や夕食と違って、外食が多くなりがちなのが昼食です。ファストフード店とか、コンビニとかで適当に済ませる場合でも「今日はパフォーマンスを高めたい」というときは、メニューや商品から、長時間脳を活発に動かす低GI食品を「脳活ランチ」として選ぶようにしましょう。例えば以下のような選び方が考えられます。
・立ち食いの店に入ったら、うどんではなく、そばを食べる。
・サンドイッチなら全粒粉のパンやライ麦パンを使ったものを選ぶ。
・サイドメニューはフライドポテトではなく、オニオンリングにする。
・ドリンクはミルクやウーロン茶にする。
低GIを意識するだけで、昼食後もその日1日の集中力を、維持できるようになります。パスタも全粒粉を使っているものがよいですが、もう1つ、アルデンテのほうが、GI値が低いというデータがあります。
最近は健康ブームもあって、糖質を控えたメニューを用意しているレストランやファミレスなどが増えてきています。もし午後も脳を効果的に使いたいときは、低GIの昼食を意識してみてください。
手作りお弁当で、最高の「脳活ランチ」を
昼食に持っていける人は、お弁当がおすすめです。
その理由の1つに、外食ではなかなか摂りづらい低GI食品を意識して摂取することができるという点があります。もう1つは、お米は冷えると食後血糖値が上がりにくくなる食事に早変わりするからです。
お米に限らず、パスタもうどんも、冷ますと食後血糖値が上がりにくくなります。原因は、炭水化物の糖質に含まれる「レジスタントスターチ」。レジスタントスターチとは、消化しにくいでんぷんという意味で、日本語にすると「難消化性でんぷん」。お米にはもとから含まれている成分ですが、このレジスタントスターチは、なんと、冷ますと増えるのです。
ブドウ糖がいくつも結合しているでんぷんは、加熱すると結合がゆるくなり、冷ますと再び結合が強くなります。そのときに結合のされかたが複雑になって、ブドウ糖に分解されなくなってしまいます。要するに消化されなくなるのです。
このレジスタントスターチは、例えば、炊きたてのお米を冷ますと、その量が約1.6倍になるといいます。レジスタントスターチが血糖値を上がりにくくするのは、糖の消化吸収をゆるやかにしてくれる食物繊維と同じような働きをするから。
小腸で消化されずに大腸まで届き、腸内の善玉菌のエサになったり、有害物質を排出したりして、腸内環境を整える。これは、水溶性と不溶性という食物繊維2種類の機能を兼ね備えていることになります。そのため、レジスタントスターチは「ハイパー食物繊維」と呼ばれることもあります。
午後も集中力を切らしたくないなら、理想はお弁当。難しいときは、低GI食品を選んで食べるようにしましょう。
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もっと詳しく知りたいかたは、ぜひ脳科学者・西 剛志さんの著書『低GI食 脳にいい最強の食事術』をチェックしてみてください。
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著/西 剛志
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