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2021.12.07

どんな時に使う?「鬼哭啾々」の読み方や意味、類語をわかりやすく解説

「鬼哭啾々」という言葉は日常生活で使う機会も少なく、耳馴染みないですよね。現代では、どちらかというと漫画やアニメ、文学などで使われる機会が多く、ただ事ではないような状況や臨場感のある場面を、読者に伝える時に適した表現だとされています。ここでは、「鬼哭啾々」の意味や使い方について紹介していきます。

【目次】
「鬼哭啾々」とは?
「鬼哭啾々」の使い方を例文でチェック
「鬼哭啾々」の類語にはどのようなものがある?
英語表現とは?
最後に

「鬼哭啾々」とは?

「鬼哭啾々」という言葉をご存知ですか? 漢字が複雑である上、日常生活やビジネスシーンなどで使う機会も少ないため、知らない方も多いかもしれません。今回は、四字熟語「鬼哭啾々」の意味を紹介します。

「鬼哭啾々」の意味と読み方

「鬼哭啾々」とは、<きこくしゅうしゅう>と読みます。意味は、「亡霊の泣き声が、しくしくと聞こえるようなさま」「恐ろしい気配が迫って、すさまじいさま」です。「鬼哭」とは、「亡霊が浮かばれず泣くこと、また、その声」を表します。「啾々」とは、「小声でしくしくと泣くさま」を表す言葉です。

ちなみに、ここでいう「鬼」とは、赤い肌で角が生えている想像上の生き物ではなく、浮かばれない霊や死者のことを指します。現実に起きたことを表す言葉というより、あくまで「亡霊がいそうな」「亡くなった霊が泣いていても、おかしくはない」のように、情景を表現した言葉といえるでしょう。

(c)Shutterstock.com

「鬼哭啾々」の出典

「鬼哭啾々」の由来は、中国の唐の時代の詩人である“杜甫(とほ)”の漢詩『兵車行(へいしゃこう)』にあります。杜甫は「詩聖」と呼ばれ、李白の「詩仙」とともに、中国文学史上、最高の詩人といわれています。『兵車行』は戦争にかりたてられ、苦しむ人民の姿をうたったものでした。

その詩の中の一文が、「鬼哭啾々」の元となりました。「君見ずや…、新鬼は煩冤(はんえん)し、旧鬼は哭し、天陰り雨湿うとき声啾啾たるを」(諸君は見聞きしなかったか…、死んで間もない亡霊はもだえ恨み、古い霊魂は泣き叫び、空がくもり雨にしめるときには、亡霊の泣く声が悲しげにひびいているのを)

報われない人々の悲しみや、無念さが伝わってくる言葉ですね。

「鬼哭啾々」の使い方を例文でチェック

「鬼哭啾々」とは、どのような場面で使われる言葉なのでしょうか? 一緒に見ていきましょう。

(c)Shutterstock.com

1:「戦場カメラマンである彼は、鬼哭啾々たる激戦地の跡に立った」

「鬼哭啾々」は、戦地などの悲惨な状況を表す時に使われることが多い言葉です。荒涼とした野原や、朽ちた家屋など、戦の痕跡が色濃く残っているような光景を目にして、凄まじさを感じた時に適した表現でしょう。「鬼哭啾々たる」も、よく使われる慣用句です。

2:「今では公園となっている元古戦場は、かつて鬼哭啾々な雰囲気であった」

昔は物寂しい雰囲気であった土地も、現代では開発などで見る影もなくなっていることも少なくありません。かつては歴史の悲惨さを物語っているような場所だった、ということを伝えたい時などに「鬼哭啾々」を使えば、その状況が相手にリアルに聞こえることでしょう。「鬼哭啾々な雰囲気」も、主な慣用句の一つとして覚えておくと便利ですよ。

3:「凄まじい争いが起きた現場は、まさに鬼哭啾々である」

「鬼哭啾々」は、日常生活やビジネスシーンでは、あまり使われる機会の少ない言葉。現代では、どちらかというと漫画やアニメ、文学などで使われる機会が多いようです。ただ事ではないような状況や、臨場感のある場面を、読者に伝える時に適した表現といえるかもしれません。

「鬼哭啾々」の類語にはどのようなものがある?

物々しい雰囲気や悲惨なイメージをもつ、「鬼哭啾々」という言葉。似た意味の言葉には、どのようなものがあるのでしょうか? 詳しく解説します。

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1:「陰陰滅滅」

「陰陰滅滅」とは、<いんいんめつめつ>と読みます。「雰囲気や気分が非常に暗く、気が滅入るさま」を表す言葉です。「陰陰」とは、「薄暗く、もの寂しいさま、陰気なさま」。「滅滅」とは、「正気がなく、寂しい様子」のことです。

「陰陰滅滅たる鐘の音」「天気が悪い日が1週間も続き、陰陰滅滅とした気分になってしまった」などという使い方をします。もの悲しく悲惨な環境や状況が、「鬼哭啾々」と共通していますね。

2:「慟哭」

「慟哭」は、<どうこく>と読みます。意味は、「悲しみのあまり、声を上げて泣くこと」です。「鬼哭啾々」が、小声でしくしく泣くのに対して、こちらは声をあげて号泣する様子を表します。「親しい友人の訃報に接して慟哭する」「孤独の身となり、一人で慟哭する」というような使い方をします。

また、「慟哭」という言葉自体に声を上げて泣くといった意味が含まれているため、「慟哭して泣く」という表現は誤りです。主に、悲しみを表現する言葉であるため、喜びで泣く場合には使うことはありません。

3:「刀光剣影」

「刀光剣影」とは、<とうこうけんえい>と読みます。「事態が緊迫して、今にも戦いが起こりそうな雰囲気」を表す言葉です。「刀光」とは、「刀が光っていること」。「剣影」とは、「鞘から抜き放った刀剣に反射する光」を指します。

「チーム内は刀光剣影な状態で、ピリピリとした空気が漂っていた」「今朝のニュースで、ある国の国境沿いが、刀光剣影の状態であると知った」などの使い方をします。

英語表現とは?

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「鬼哭啾々」を直訳する英語表現はありませんが、似たニュアンスを持つ表現として、「a very frightening sight」が挙げられます。意味は「とても恐ろしい光景」です。「frightening」は「恐ろしい」、「sight」は「光景、情景」などを指します。

その他には、「hair-raising(身の毛がよだつような、ゾッとさせる)」「spine-chilling(背筋がゾッとする)」という表現でも、同じような意味を表すことができますよ。

「We had a hair-raising brush with death(すんでのところで、死ぬような恐ろしい体験をした)」「at hair-raising speed(恐ろしいほどの猛スピードで)」「The chilling story had me lacking sleep for days(その恐ろしい怪談のせいで、僕は数日間寝不足だったよ)」

英語で恐ろしい気持ちや状況を伝えたい時には、ぜひ、参考にしてみてはいかがでしょうか?

最後に

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今回は、「鬼哭啾々」の意味や由来、類語や使い方の例文を紹介しました。普段の生活では耳馴染みのないこの言葉。初めて意味や読み方を知ったという方も多いのではないでしょうか?

「鬼哭啾々」とは、亡霊の鳴き声が聞こえそうな、恐ろしい様子や状況を表す言葉。現実的な考察は別として、荒涼とした光景を目にすると、思わずひんやり汗をかいたり、恐ろしいことが頭をよぎることはあるものです。日常生活で頻出する言葉ではありませんが、表現力を高める言葉の一つとして、覚えてみてはいかがでしょうか?

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