知っておきたい「雪崩」について解説
2021年も残りわずか。年末年始はスキーやスノボを楽しんだり、温泉地で過ごしたりする方も多いかもしれません。
ただこの時期に気を付けたいのが“雪崩”。日本では毎年のように雪崩による災害が発生しており、危険箇所は全国で2万箇所以上。集落や山間の道路のほか、スキー場や観光地といったさまざまな場所で雪崩災害は起こっています。
このため豪雪地帯で暮らす方々だけでなく、スキーや温泉といったレジャー目的で訪れる方も雪崩の知識は必須。
ということで今回は雪崩について詳しく解説します!
雪崩は大きく分けて2種類
まず一つ目は、表層雪崩。すべり面が積雪内部にあり、古い積雪面に降り積もった新雪が滑り落ちます。気温が低く、降雪が続く時期の1~2月頃に多く発生します。表層雪崩の速度は時速100~200キロと、新幹線並みです。
二つ目は、全層雪崩。すべり面が地表面にあり、春先など気温が上昇した時に多く発生します。斜面の固くて重たい雪が、地表面の上を流れるように滑り落ちます。全層雪崩の速度は時速40~80キロで、自動車と同じくらいです。
(イラスト:国土交通省HPより)
雪崩の発生しやすい場所は?
急な斜面は特に注意が必要で、傾斜が30度以上になると発生しやすくなり、特に35度~45度が最も危険とされています。スキーの上級者コースは傾斜30度くらいです。
また、中高木が密に生えている斜面では雪崩が発生しにくい一方、低木林やまばらにしか生えていない斜面では雪崩発生の危険が高くなります。草などに覆われた斜面は裸地よりも発生しやすい地形ですので気を付けましょう!
雪崩が発生しやすい条件
◆表層雪崩
・気温が低く、すでにある積雪の上に短期間で多くの降雪があった場合(特に1m程度以上の積雪がある時に30cm程度以上の降雪があった時など)
・0度以下の気温が続き、吹雪や強風が伴う場合
・雪庇(せっぴ・山の尾根からの雪の張り出し)や吹溜りが斜面に出来ているとき
◆全層雪崩
・過去に雪崩が発生した場所
・春先や雨が降った後、フェーン現象などで気温が上昇したとき
・斜面に積雪の亀裂ができている
万が一巻き込まれてしまったら、雪崩の端に逃げる、体から荷物を外す、雪の中で泳いで浮上するなどの対策を取りましょう。
雪崩は発生に気付いてから逃げるのが難しいので、前兆現象やなだれ注意報などの気象条件を事前にチェックしておくことが大切です!
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気象予報士 太田絢子
気象予報士、防災士。中学生のころから気象に興味をもち、大学在学中に気象予報士試験に合格。卒業後は損害保険会社に就職し、交通事故や自然災害に遭った人へのサービス業務に従事。自然災害が多発するなかで、犠牲者をゼロにしたいと思うようになり、気象キャスターへ転身。現在は地元名古屋のCBCテレビ「チャント!」などに出演中。趣味はモーニング巡り、季節の箸置き集め。