苦手な人に、自分から話しかけるのはやめなさい
人と一緒にエレベーターに乗った時に沈黙になるのが気まずい。そんな悩みを聞いてびっくりしたことがあります。
話すことがないのなら、話さなければいいのです。これくらい軽く割り切っていいと私は思います。なのにそれができないのは、あなたの心の根っこに「沈黙はダメ」という思い込みがあるからかもしれません。
仲のいい人となら、エレベーターの中でふと沈黙が訪れても「気まずい」とはならないでしょう。
なのに「エレベーターの中の沈黙が嫌」というのは、紐解いてみれば「話したくない人とも話さなくてはいけない」という思い込みがあるからではないでしょうか?
しかし、相手はどういう人かわかりません。人それぞれ個性があり中にはあなたの個性と波長が合わない人がいるかもしれません。そこを無理に話しかけようとするほうが無謀です。
沈黙はダメなこと。その呪縛から一刻も早く解き放たれましょう。そもそもエレベーターは公共の場所ですから、無理に話しかけるくらいなら降りたその先のことを考えながら過ごしましょう。
もしくは「こんにちは」と笑顔で挨拶して、あとは1人で勝手にニコニコしていればいいのではないでしょうか。笑顔も1つの会話ですから。
話しやすい人との時間を意識して増やす
話し方の講座をしていると「会話の難しい人と距離をうまく詰めるために」学んでいる人が多いことに驚きます。しかし運動でも共通して言えることですが、いきなり有段者の真似をしても技術は上達しませんよね。
何が言いたいかと申しますと、会話の難しい人との距離を無理に詰めなくていいということです。もっと言えば、今の時点で会話が難しい人とは話さなくてもいいのです。できる限りスルー。これはあなたが思うほど悪いことではありません。
まずは自分の話しやすい人とだけ話すことで会話力を磨いていく。そのためには、あなたが話しやすい人との時間を増やしていくということが一番の近道なのです。
ゲームでも映画でもそうですが、いきなり〝ラスボス〟を倒すことはできません。
まずはあなたが話しやすい人、質問しやすい人、あなたの話に共感してくれる人を相手に、小さな成功を積み重ねていくことから始めていけばいいのです。
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永松 茂久(ながまつ・しげひさ)
株式会社人財育成JAPAN代表取締役。大分県中津市生まれ。「一流の人材を集めるのではなく、今いる人間を一流にする」というコンセプトのユニークな人材育成法には定評があり、全国で数多くの講演、セミナーを実施。「人のあり方」を伝えるニューリーダーとして、多くの若者から圧倒的な支持を得ており、講演の累積動員数は延べ45万人にのぼる。2021年上半期1番売れた会話の本『人は話し方が9割』(すばる舎)をはじめ、著書多数。