自己注射指導。妻の横で夫はメモ魔に…【30代からの不妊治療】
妊活を始めて3年。現在34歳の私の体験から、妊娠を考えているカップルにとって少しでも役に立つような情報をレポート形式でお届けします。
前回は、不妊治療で卵子を育てる目的(排卵誘発剤)で使用される、ゴナールエフを注射するお話をお届けしました。今回は、ゴナールエフ注射方法のお話。
2020年の6月、ドキドキしながら迎えたD(デイ)3、ついに私たちは体外受精のステップへ進むことになりました。私は病院でK先生から卵巣刺激のことや体外受精で生まれてくる子供のことを教えてもらったあと、ついにゴナールエフによる自己注射デビューをすることになりました。
自己注射ゴナールのやり方は?
まず看護師さんに「今日お持ち帰りいただく注射のセットです」と言われた袋が意外と大きくってびっくりしました。
私「あら、ゴナールエフの皮下注ペンだけじゃないんですか?」
看護師「うん、消毒とか針とか捨てるときのケースなど一式お持ち帰りいただくことになります」
へぇと思いながら、最初に取り出されたのがこの消毒綿。一枚ずつ個包装になっていて使い切り。
夫「おぉ。こんなに注射打つんですか?」
看護師「いいえ、全部使い切るわけじゃありませんから(笑)」
「ですよね~」と言いながら、私も内心ギョっとしてました。
そして次がこの使い捨ての注射針。ゴナールの本体には薬剤が入っているだけで、針もその都度使い捨て。「うわぁ~」とため息がこぼれる私。覚悟は決まってても、いざ針を目の前にするとテンションがた落ちです。
ゴナール本体のキャップを開けると、こんな感じでゴム栓が付いていました。看護師さんに教わりながら、ゴナールのこのゴム栓部分をまず消毒します。
すると隣で夫がひたすら何か書いてる…。
私「何しているの?」
夫「メモをとっているんだよ。家に帰ってから、キミがわかんなくなったり、ミスったりしたらまずいでしょ」
看護師さんに「説明書も入ってますから~」と笑われながらも、一生懸命、手順をメモる夫。自己注射って嫌だな~という気持ちは捨てきれないけれど、こうして自分のことのように熱心にメモってくれてる夫を見たらがんばろう! と勇気がこみあげてきました。
そして、いよいよ注射の針。こんな風に指で開けると、さっそく針がお目見え。この針はゴナール本体の消毒したゴム栓部分に刺しこみます。
この針も個包装で使い捨て。そして注入ボタンを回して、投与する量を設定。私は1回150単位なので、150という数字がでるまでくるくる回しました。
あとは、針の部分のキャップを外して、おなかのおへそから5cmくらい横のあたりを消毒し、エイって刺すだけ。
隣で「うわぁぁぁ~」と悲鳴をあげる夫。アナタは黙っててよと思いながら、ホントは私だって「死ぬほど痛い~」って騒ぎたいところでしたが、実際は針がめちゃくちゃ細いので、それほどでもありません。ただ、このドキドキというか、恐怖感みたいなのを明日から毎日続けるのかと思うと…。私の場合は、気分的な問題のほうが大きかったです。
看護師「親指で注入ボタンを押し込んで10秒以上待ちます。1,2,3,4…。はい、10秒経ったので、注入ボタンを押したまま抜きましょう。はい、おしまいです」
私「うわ、ちょう痛ッ…」
看護師「痛いよね。先生たちは痛くないっていうけれど、これ注射だもんね。みんな抜くときが一番痛いって言うの」
私「それはじめに教えてくださいよ(涙)」
刺した部分の出血はすぐ見えないくらいに止まったんですが、なんだかジンジンする感じ。ずっと気になる痛さでした。作業自体はあっさりしてるんですけどね。ふぅ、緊張で変な汗をいっぱいかいた。
ちなみに針は“感染症廃棄物”の表示が貼られた専用のケースにいれて、治療後に病院で回収するそうです。このボトルみたいな廃棄用のケースもあわせて受け取りました。ホント重くはないけど、全体的にけっこうかさばります。
看護師「クロサワさんはお仕事お休みできるんでしたっけ? 打つ時間は毎日固定したほうが忘れないのでいいかと思って。朝打ってから会社行く人が多いんですけれど、会社で打つ人はトイレとか医務室とか使う方が多いです」
私「はい、採卵期間はもう思い切って2週間休んじゃおうと思ってるんで、家で打つ予定です」
看護師「それはよかったです。その方が落ち着いて打てますものね」
これはのちのちレポートしますが、実際私がやってみた感想としては採卵周期の体への負担は想像以上に大きかったです。お休みとっといて正解。仕事の状況は人によると思いますが、もしゴナールを使うのであれば、できるだけゆっくりできる環境を整えて挑んだ方がいいと思います。
自己注射ゴナールを打つ場所や時間は?
看護師「そうしたら今11時なので、明日からも11時くらいに打つようにしていきましょう。今日はおへその左側に打ったので明日は右側、あさってはまた左側の少し上の部分という感じで、ちょっとずつ、打つ場所もポイントをずらすように工夫してみてください。
あと使っていくうちに薬剤のなかに気泡が入っちゃうことがあるんですが、その時はこうして針を上に向けて少し押し出すといいですよ」
なるほど~。看護師さんから教えてもらったことをしきりにメモる夫。おなかをちょっと出して、10秒間注射を打つだけの作業だけれど、痛みより気持ち的な疲れがドッと押し寄せてきます。
そんな気分的な問題もさることながら、このゴナールエフの注射、900単位で一本53,770円。なかなかな値段しますよね…。お会計のクレジットカードを切りながら、さらにグサっとショックが走ります。この注射をあと何本打つことになるやら…。
夫「副作用、大丈夫? 気持ち悪い?」
私「まだ1回目打ったばかりだし、今のところぜんぜん平気だよ。明日からもがんばらないと…」
夫「明日から11時か。よし! 僕もずっと在宅勤務だから、忘れないようにタイマーセットしておくよ」
私の体外受精・採卵周期はまだ始まったばかり。こんなところで弱音を吐いているわけにはいかん、と自分を奮い立たせながらも、同じモチベーションで励ましてくれる夫が家にいてくれるのはコロナ禍だからこそ。“外出自粛”とか圧迫感の強いご時世だけど、そう悪いことばかりじゃないなとも思いました。
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クロサワキコ
34歳・主婦ライター。妊活歴3年目。男性不妊の治療や人工授精に体外受精、ステップアップを重ねていくなかで感じた不妊治療のリアルな本音を発信しています。