【目次】
・「選りすぐり」とは?
・「選りすぐり」の使い方を例文でチェック
・「選りすぐり」の類語には、どのようなものがある?
・「選りすぐり」の対義語には、どのようなものがある?
・最後に
「選りすぐり」は、よく耳にする言葉ですが、自分で上手に使いこなせているでしょうか。本記事では、「選りすぐり」の使い方を徹底解説。これを機にマスターしてみてくださいね!
「選りすぐり」とは?
「選りすぐり」とは、<えりすぐり>あるいは、<よりすぐり>と読み、よいものの中から、さらに選び抜かれたもののことを言います。
2つ以上のものの中から、目的に合うものを選ぶことを「選りすぐる」と言い、選りすぐられたもののことを「選りすぐり」と言います。
「選りすぐり」の語源は?
「選りすぐり」の語源は、「選りすぐる」を分解して考えるとよくわかります。「選る」は、いくつかの中から基準・目的に合うものを選び出すことを指し、「すぐる」は、多くのものの中から優れたものを選ぶという意味。
「選りすぐる」は、これらが組み合わさってできた言葉ですから、「いくつかの中から、特に良いものを選ぶ」ということになり、「選りすぐり」は、「いくつかの中から選ばれた、特に良いもの」ということになりますね。
「選りすぐり」の使い方を例文でチェック
では、「選りすぐり」を実際に使ってみましょう。「選りすぐり」はものだけでなく、人に対しても使うことができますよ。
1:「選りすぐり」の食材
スーパーやデパート、通販サイトなどでよく見かける表現ですね。
・このお店は「選りすぐり」の食材がそろっているので、料理人もお客に多い。
・当店バイヤーによる「選りすぐり」の食材を、ぜひ!
・今日のパーティーのために「選りすぐり」の食材で作りました。
こんなふうに使うことができます。
2:「選りすぐり」の人材
「選りすぐり」は、人に対しても使うことができます。
・「選りすぐり」の人材だと聞いていたのに、そうでもないようだ。
・「選りすぐり」の選手が揃ったチームは、やはり強い!
・全国各地から「選りすぐり」の秀才が集います。
「選りすぐり」は、「多くの人の中から選び抜かれた人」という意味なので、突出して成績が悪い場合などには用いません。注意してくださいね!
3:「選りすぐり」の精鋭
この表現もよく見かけますが、実は少し注意が必要です。
「選りすぐり」は、数ある中から選ばれたすぐれた人を指すのですが、「精鋭」にも「選び抜かれたすぐれた人」という意味があり、ゆえに「選りすぐり」の精鋭という表現は、同じ意味の言葉が繰り返し使われていることになります。これが間違いなのか、というとそうでもなく、実際の生活の中では、同じような二重表現は多々みられます。
たとえば、「被害を被る」「内定が決まる」もそうですね。ですから、神経質になるほどのことではないのですが、意味が重複していることは知っておいた方が良さそう。特に、文書に記すときなどには、より正確な言葉遣いで記載できるといいですね。
「選りすぐり」の類語には、どのようなものがある?
「選りすぐり」と同じ意味の言葉にはどんなものがあるでしょうか。いくつか例をあげてみますね。
1:選り抜き
選び抜かれた良いもののことを、「選り抜き」と言います。「選り抜き」は「選りすぐり」と同義。上記の例を、そっくりそのまま入れ替えても文章がきちんと成立します。
2:選り取り
「選り取り」は、多数の中から好きなものを自由に選ぶことをいいます。スーパーなどで、「よりどり3つで1,000円」などと書いてあるのをよく見かけますね。読み方は「選りすぐり」同様、<よりどり><えりどり>どちらでも構いませんが、一般的には、<よりどり>と読むことの方が多いでしょう。
「選りすぐり」は、すでに選ばれている場合が多いのですが、「選り取り」は、選ばれる前のシチュエーションで用いられることが多いように思います。
・今日はセールだったので、良い商品が選り取りみどりだった。
・そんなにかわいいんだから、男性も選り取りみどりでしょう?
・よりどり5つで2,000円の大奉仕です!
3:厳選
「厳選」は、厳しい基準に沿って選ぶことを言います。「選りすぐり」には、厳しい基準に沿ってというニュアンスは含まれないので、「選りすぐり」と「厳選」には若干の違いがありますが、類義語と言って差し支えないでしょう。
・より新鮮な魚だけを厳選しました!
・あの先生が厳選した本ばかりなので、とても勉強になると思うよ。
・とにかく懐かしい映画ばかりを厳選して、お届けします。
4:選抜
多くのものや人の中から選ぶことを、「選抜」と言います。「選抜リレー」「選抜総選挙」などという表現はよく聞かれますね。「選りすぐり」同様、優れたものを選ぶという点では同じことなのですが、「選りすぐり」の方が、「すぐれたものの中から、特にすぐれたものを選ぶ」というイメージが強いように思います。
・試合に出るには、まず選抜選手になる必要があります。
・選抜総選挙で1位に輝いた人だけが、センターに立てるのです。
・今回は、英語が話せる人のみが選抜されます。
5:粒ぞろい
能力や、質のよい人やものがそろっていることを表す言葉です。「粒ぞろい」を使う場合には、すでに「選ばれている」状態であることに注意しましょう。「選りすぐる」のように、より良いものを選ぶ、という意味はありません。
・このチームは粒ぞろいだ。
・粒ぞろいの美女たちに、すっかり魅了されてしまった。
・あの会社の営業マンは粒ぞろい。敵にはまわしたくないな。
6:オールスター
「オールスター」とは、その分野のスターが集まっていることを指します。「オールスターゲーム」「オールスターキャスト」などというふうに使いますね。
「オールスター」は、選び抜かれた人たちなので、「選りすぐり」には違いないですが、「オールスター」という言葉に、「選ぶ」という意味合いは含まれません。
・今回のオールスターには、好きな選手がたくさん入っていた。
・彼女は長年オールスターに選ばれている。
・この映画は、まさにオールスターキャストだ。
「選りすぐり」の対義語には、どのようなものがある?
「選りすぐり」と似た言葉を紹介しましたが、では逆に、反対の意味をもつ表現にはどんなものがあるのでしょう。
たとえば、「寄せ集め」。これは「選りすぐり」の対義語だと言えます。良いも悪いも気にすることなく、ただ単に集められたものや人を指しますね。
・余った布地の寄せ集めの割には、素敵なスカートができた。
・こんな寄せ集めのチームでは、ろくな結果が出ない。
・昨日の残りの寄せ集めで、なんとか今日のお弁当を仕上げることができた。
最後に
どうでしたか? 「選りすぐり」を上手に使えそうでしょうか? 「選りすぐり」を使うときに注意したいのは、直接相手に向かって、「選りすぐり」とは言わないこと。「あなたって選りすぐりね」と言われても、今ひとつピンときませんね。
「選りすぐり」は、第三者的な視点を持って使う言葉です。そこさえ押さえておけば、間違いなく使いこなせるでしょう。
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