26万部超えのロングセラー!
『ライフ・シフト』ってどんな本?
2016年10月に発売された、ロンドン・ビジネススクールの教授ふたりによる共著。100歳まで生きることがあたりまえになる将来、どのような人生戦略をとるべきかを解説。読書会が開催されるなど反響を呼んでいる。東洋経済新報社刊。
100歳まで生きるとしたら…
アラサー世代がすべき10のこと
■1.できるだけ長く働く覚悟を決める
山崎 元さん’s coment「『ライフ・シフト』では、「教育→仕事→引退」という3ステージを軸にした、これまでの典型的な人生モデルは崩壊すると説いています。100歳まで生きて引退後の人生が30〜40年も続くと、老後資金は当然不足する。つまり、私たちはこれまでより長い間、働くことが解決策になります。健康なら、75歳くらいまでは十分働けるのでは? しかしもちろん、働き方は見直さなくてはいけません。」
■2.副業・複業でセカンドキャリアに備える
山崎 元さん’s coment|「生涯で転身を重ねて複数のキャリアを経験するのが、これからの働き方だと『ライフ・シフト』は示しています。具体的には、旅をしたり新しい人と出会ったりして自分を再発見する『エクスプローラー(探検者)』、組織に雇われることなくやりがいや人とのつながりを重視して一時的なビジネスを立ち上げる『インディペンデント・プロデューサー』、企業勤務や副業、NPOなど、異なる種類の活動を同時に行う『ポートフォリオ・ワーカー』という3つのステージを転々とするのが理想だとしていますね。ただ、正直なところ、この提案は、日本の企業社会では、まだあまり現実的ではないかもしれません。なので『ポートフォリオ・ワーカー』的な働き方を軸に、『インディペンデント・プロデューサー』的な視点をもって働くことが大切でしょう。『ポートフォリオ・ワーカー』的な働き方の代表は、いわゆる副業・複業のことですね。」
■3.なるべく会社員でい続ける
山崎 元さん’s coment|「たとえば私は12回転職していて退職金も厚生年金も期待できないとわかっていたので、自分のペースで長く働き続けるため、42歳から副業を始めました。いきなり起業したりフリーランスになる度胸も才能もなかったので、会社員として転職し、給料を半分以下にするかわりに勤務時間と副業を自由にできるよう交渉したのです。今は、楽天証券に籍を置きながら、自分の会社もつくって個人でも活動しています。会社員として定期的な収入があれば、万が一個人の仕事がうまくいかなくても、いきなり独立するより安心です。」
■4.働きながら学ぶ
山崎 元さん’s coment|「専門知識をアップデートしたりブログを書いたり、趣味を通じて人間関係に投資するのもいいですね。」
■5.会社の近くに引っ越す
山崎 元さん’s coment|「会社の近くに住んで、通勤にかかっていた時間を学びや休息に充てるメリットは大きいですよ。」
■6.「自分がもっているもの」「これからつくりたいもの」「そのために必要なこと」を書き出す
■7.出産するならなるべく早く
山崎 元さん’s coment|「自分のポジションが定まらない30代前半と確立した30代後半、どちらで産むのか難しい選択ですが、体力や仕事に穴をあける影響を考えると早いほうがよいのではないでしょうか。」
■8.仲よくなりたい人は、間をおかず2回ごはんに誘う
山崎 元さん’s coment|「ただの顔見知りではなくて、頼みごとをしたいときに時間や労力を割いて行動し合える。そんな関係をつくるために、僕は『この人と仲よくなりたい』と思ったら間を置かずに1回、できればその後にもう1回会うようにしています。2回会った実績があれば、向こう2年ぐらいは人間関係が続くはずです。人脈は、いきなりはつくれないし、メンテナンスが必要なものなのです。」
■9.リボ払いする彼とは別れる
山崎 元さん’s coment|「借金がふくらむリボ払いをするような男性と結婚するのは、論外です!」
■10.老後資金を淡々と貯める
山崎 元さん’s coment|「老後資金の不安はたいてい、『いくら必要かわからない』ということに集約されます。それぞれ収入も暮らしぶりも違いますから、一概に『○歳で○万円』と目安を提示したところで、『そんなに貯められない』『それで足りる?』と不安は尽きません。結局、自分の収入から必要な額を計算して、コツコツと貯めるしかないのです。所得控除のメリットが大きい個人型確定拠出年金〝iDeCo〟や、年間120万円の投資まで運用利益が非課税になる〝NISA〟の活用をすすめます。個人向け国債の変動金利型の10年満期や、国内外のインデックスファンドに投資するのが賢明です。ただし銀行の窓口などですすめられたものは、相手が儲かる商品なので絶対に買わないこと。自分で勉強をして理解できる範囲で投資しましょう。
Oggi3月号「Oggi大学」より
撮影/為広麻里 構成/酒井亜希子(スタッフ・オン)
再構成/Oggi.jp編集部
経済評論| 山崎 元(やまざきはじめ)
’58年生まれ。楽天証券経済研究所客員研究員。マイベンチマーク代表取締役。東京大学卒業後、三菱商事ほか野村投信、住友信託銀行、メリルリンチ証券など12回の転職を経て現職。