「私より1コ上だ」という言い方をする人はどれくらい居る?
久々に友人と電話で雑談! 友人は、最近、転職してきた同僚が気になるそう。「彼は、私より1コ上なんだ♡」と話していました。
このように、年齢を言うときに「コ」を使う人が居ますよね。実際は、どれくらいの人がこのような言い方をするのでしょうか。
【問題】
文化庁の2003年度国語世論調査で「『あの人は私より1コ上だ』という言い方をする」と答えた人はどれくらい居ると思う?
1. 40.8%
2. 50.8%
答えは?
2. 50.8%
文化庁の2003年度国語世論調査によると、「あの人は私より1コ上だ」という言い方をすると答えた人の割合が50.8%になり、初めて過半数を超えたという結果が出ました。この調査が行われた時点では、「1コ上/下」は年齢や学年の僅差を表す独特の言い方だという位置づけでしたが、どうしてどうして、最近の大学生の話し言葉を聞いていると「1コ」だらけなのです。
例えば、授業後「先生、1コ質問していいですか?」と聞いてきます。彼らの質問は1つだけのこともありますが、たいていは「もう1コ、聞きたいんですけど」と複数の質問が重なっていきます。当初、私は「質問が3つあるなら、始めから『3コ質問がある』と聞けば?」と思ったのですが、聞いていると彼らの「1コ」は厳密な質問数を言っているのではなく、明らかに「ちょっと」の意味で使っていることに気がつきました。
「ひとつ、やってみますか」のように、「1つ」という数え方が副詞的に「ちょっと」の意味で使われる前例があることを考えると、「1コ」も類似の変化を遂げている最中だと言えるでしょう。しかも「1コ」は、「ひとつ」とは多少違うニュアンスを持っているようです。例えば、人にものを頼む時「ひとつ、お願いがあるんだけど」と言いますが、ちょっと面倒で深刻なお願いをされるのではないかと相手は身構えてしまいます。
それに対し、「1コ、お願いがあるんだけど」と言えば、軽いリクエストを聞いてもらえるかな、という意味合いに変わります。このように、「1コ」は、相手に質問や要望を投げかけるきっかけを作ったり、物事を軽く見せて聞き手に精神的な負担をかけまいとする円滑なコミュニケーションを生む道具の一種となっているのです。
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