「頭」と数えるようになったルーツ
会社の仲間と乗馬へ! 同僚が「あの2頭の馬、可愛いね♡」と話していました。馬をただ見ているだけでも癒されますよね。
このように、普段、動物を数えるときに何気なく使う「頭」。では、「頭」を使うようになったルーツを知っていますか?
【問題】
動物を数えるときに「頭」を使うようになったルーツは?
1. 西洋の動物学などの論文で“head”と書かれた部分が「頭」と日本語に直訳されたから
2. 夏目漱石(そうせき)が使い始めたから
正解は?
1. 西洋の動物学などの論文で“head”と書かれた部分が「頭」と日本語に直訳されたから
「匹」という漢字は、ふたつのものが対(つい)になっているものを表します。例えば、織物2反で「1匹」と数えたり、「匹敵」といえば、2つのものが互角であることを表します。なぜ動物を数えるのに対になっているものを表す「匹」を使うのでしょうか。
昔、人間にとって最も身近で生活に欠かせない動物(家畜)は馬でした。荷車を引かせたり、農耕をさせたり、人間はいつも馬の背後からその姿を見てきました。当然、馬の尻を見つめる機会も多かったため、馬の尻(しり)が2つに割れていることがイメージとして強く焼きつき、2つに割れた尻の対を持つもの、そして綱(つな)に繋(つな)いで“引く”動物、という意味ともあわせ、馬を「匹」で数えました。
『源氏物語』や『今昔物語集』にも馬を「匹」で数える用例が見られます。そこから、「匹」は馬だけでなく、広く生き物を数えるのに用いられるようになりました。一方、大形の動物を数える「頭」の歴史は意外にも浅く、夏目漱石(そうせき)の時代にはまだ一般には使われていませんでした。早くても明治末期から、英語の影響を受けたからだと考えられます。
西洋では放牧に出した牛の数が減っていないかを確かめるために、頭数(あたまかず)を確認することから、牛は“head”で数え、それがやがて大形の家畜一般の数え方となりました。20世紀に入り、西洋の動物学などの論文で“head”と書かれた部分が「頭」と日本語に直訳されました。それを読んだ日本人が、馬や牛のような大形の家畜が「頭」で数えるのなら、当然、他の大形の動物も「頭」で数えるべきだと考え、今日(こんにち)の「頭」の数え方が定着していったと考えられています。その影響で、かつては馬を数えた「匹」は、「頭」では数えられない動物を数える際に使われるように、意味の分化が起こったのです。
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