【目次】
・「いたしかねます」の意味・使う場面
・「いたしかねます」と「できかねます」の違いとは?
・「いたしかねます」の使い方を例文でチェック
・「いたしかねます」を使う時の注意点
・最後に
「いたしかねます」の意味・使う場面
ビジネスにおいて、相手の要望や依頼を断るときは何て言えばいいのか、困った経験はありませんか? なかなか伝えづらい言葉ですが、そのような時は「いたしかねます」が使えます。しかし、正しい使い方を知っている方はもしかしたら少ないのかも。
今回はこの、「いたしかねます」という言葉について、丁寧に説明します。使う際の注意点や類語なども解説していきますので、ぜひ、参考になさってください。
「いたしかねます」の意味
「いたしかねます」は、「する」の謙譲語の「致す」と、「しにくい、しづらい」という意味の、「しかねる」が合わさった言葉です。つまり、「することが難しい、することができない」という意味になります。ある依頼に対し、「できません」と断る際に、その意思を丁寧に伝える時の表現方法です。
「いたしかねます」は、口語や文書どちらでも使用が可能ですが、文字にする場合は、「致しかねます」と漢字表記することができます。
「いたしかねます」を使う場面
上述したように、「いたしかねます」は謙譲語に当たります。ですので、目上の相手や取引先などの依頼・要望に対し、丁重に断る際に使われる言葉です。ビジネスシーンでは特に、できないことに対しては、はっきりと断る意志を伝えなければならないこともあります。「いたしかねます」は、きちんとした敬語になりますので、少し言いづらいお断りの言葉も、これであれば伝えられますね。
「いたしかねます」と「できかねます」の違いとは?
似たような言葉で、「できかねます」というフレーズがありますよね。「できかねます」もまた、「できる」と「しかねる」が組み合わさった言葉ですので、意味は「できません」になります。しかし、「いたしかねます」よりも少し強い否定になりますので、ビジネスにおいては、「いたしかねます」を使う方が頻度は多いかもしれません。失礼にならないように、気を付けましょう。
「いたしかねます」の使い方を例文でチェック
では、具体的な例文を用いて、「いたしかねます」の使い方を説明していきます。
1:「大変恐れ入りますが、個人情報につきましてはお答えいたしかねます」
情報漏洩がどんどん深刻な問題となる現在、個人に紐づく情報照会などは基本回答を控えているケースがほとんどだと思います。そのような時は、上記のように、「お答えいたしかねます」と伝えましょう。「お答えできかねます」とはっきりと伝えることも可能です。
2:「こちらの商品はセール品となっておりますため、返品・返金はいたしかねますがよろしいでしょうか」
よくセールの時期になると、こういった注意事項が聞かれますよね。お客様に対し、事前に断りを入れる際にも、「いたしかねます」は使われます。
3:「私共営業部では対応いたしかねますので、人事部より改めてご連絡致します」
「対応いたしかねます」は、断りの言葉として非常に使われやすいです。「できません」と直接言うと角がたつ場面も、「いたしかねます」を使えば丁寧に断ることができます。
「いたしかねます」を使う時の注意点
実際に、「いたしかねます」という言葉を使用する時に、気をつけるべきポイントについて、3点ご紹介をいたします。
1:クッション言葉を添える
クッション言葉は、ビジネスシーンにおいては非常に重宝されます。例えば、「恐れ入りますが」「心苦しいですが」など、次にくる、断りフレーズをやわらかくする前置き言葉になります。言いづらい言葉も、このクッション言葉を添えると、相手への伝わり方も変わってきます。ただし、使いすぎると回りくどい言い方になりますので気を付けましょうね。
2:できない理由を添える
何かを断る際には、なぜできないのか理由を付け加えると、相手も納得しやすいでしょう。きちんとした理由があれば説得力も増しますし、のちのトラブルなども発生しにくくなります。伝えらえる範囲で、相手には誠意をもって説明しましょう。
3:はっきりと伝えるには「できかねます」も使用する
自社のサービス外の要望や個人情報の照会など、どうしても対応できないことがあると思いますが、その際には「できかねます」を使うのも一つの手段です。曖昧な返事をするよりも、できないことはできないと、はっきりと伝えることも時には重要ですよね。「熟考した結果」、「社内で検討した結果」など前置きしたうえで、断りのフレーズを使うと相手の納得感も得やすくなるでしょう。
最後に
以上が「いたしかねます」の解説になりますが、理解は深まりましたでしょうか? 目上の方や取引先に対し何かを断るのは、なかなか言いづらいですよね。そんな時は「いたしかねます」を使って、丁重に意思を伝えましょう。その際には、お詫びの言葉を添えるのもお忘れなく。クッション言葉も上手に使い、相手に失礼のないように気を付けましょう。本記事が少しでもお役に立てれば幸いです。
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