貧乏人の悩みの九十九パーセントはお金で解決できる
「あすかちゃん、知ってる? 貧乏人の悩みの九十九パーセントはね、お金で解決できるんだよ。」
「九十九パーセント? え、それって、ほぼ全部ってこと?」
唐突に投げ込まれた爆弾発言にびっくりして、思わず聞き返す。
「そう。少し乱暴な物言いだけどね。人によっては明らかにムッと不機嫌になることもある。でもこれは、僕たちが生きるこの資本主義社会における『真理』とも言えるものなんだ」
「資本主義社会の真理……」
「例えば、お金があったら解決する悩み、ってどんなものがあると思う?」
「うーん、嫌々やっている仕事を辞められるとか?」
就職したばかりで、会うたびに愚痴ばかりこぼす先輩の顔が真っ先に思い浮かんだ。
「そうだね。例えば勤め先の職場環境も人間関係も最悪だったとして。『もう辞めたい』と思い続け、いよいよ限界が訪れようとしている。そんなとき、明日辞表を提出することができるかどうか。この場合、経済的な余裕が十分にあればすぐに辞めることができるよね。
でも、多くの人は生活のために、『嫌々働き続ける』という選択を取らざるを得ない。なぜなら、お金が足りないから。仕事を辞めたら生活が立ち行かなくなってしまうから。これがもし、十億円を手にしていたとしたら、嫌々続けるという選択肢を選ぶ人はほとんどいないだろう。わざわざ無理をして働く必要がないのだからね」
以前、飲みの場で先輩たちが「宝くじが当たったらどうする?」という話題で大盛り上がりしていたことを思い出す。ぶっちぎりで一位だった答えは「仕事を辞める」。ストレスを抱えながら働いている人は本当に多い。お金があったらみんなきっと、すぐにでも辞表を出すのだろう。
「仕事に限らず、大抵のことはお金で解決できるようになっているんだ。日々の悩み、ストレス、欲望、争い。お金によって、そのほとんどは解消する。九十九パーセントというのは大げさでも何でもなく、極めて現実的な数字なんだよ」
仕事、悩み、ストレス。確かに私がここまでに思いついたものは全て、お金があれば解決することばかりだ。
一番効果的な問題解決法は「お金を稼ぐこと」
「問題を解決するための一番手っ取り早い方法が『お金』なんだよね。何か良い方法があるのではないか? と知恵を絞ってあれこれ解決策を考えたところで、その多くは無駄になる。より早く、より正確に問題を解決するには『お金を稼ぐ』というシンプルな策が一番効果的だ。
悩むのが趣味でもない限り、その悩みを一日でも早く取り除いたほうがよっぽど人生を有意義に過ごすことができる。お金で解決できるとわかっていることを、なぜだらだらと引き延ばすのだろうね? いつまでも、『稼ぐこと』から逃げていたって、何も良いことはないというのに」
「どうやって稼いだら良いかがわからないんじゃない?」
まだまだ模索中の私。稼げば良いとわかっていても、何をしたら稼げるのかがわからない。その状況は、痛いほどわかった。
「稼ぎ方なんて何でも良いんだよ。ビジネスでもダブルワークでも、投資でも。お金の余裕を生み出しさえすれば、問題は解決する。
こんなことを言うと、『世の中お金が全てだって言うの?』なんてお門違いにも噛みついてくる人がたまにいるんだけどね。そういう人ほどお金に振り回されている、というのは興味深い事実だ。ちなみにあすかちゃんは気が付いていると思うけど、お金が全て、なんてことは当然、ひと言も言っていない」
お金を悪者にする人ほど、実はお金に振り回されている。これは、周りを見ていてもよくわかる気がした。
「世の中お金が全てではない。ただ、お金があればできることが増える。これが資本主義社会の現実だ。自分がしたいことをできるだけのお金があれば、心配や不安から解放されるよね。お金の余裕は、時間と心の余裕を生む。お金は早めに稼いだほうが良い、と繰り返し伝えてきたのもこういった理由だ。
資本主義社会において『お金がない』というのは、すなわち『死』を意味する。衣食住をはじめとする日々の生活から結婚、出産、子育て、介護、離婚といったライフイベント、生きるためには全てに『お金』が必要だね。
働き手の数が変わらないのであれば、家族が増えるほどに支出は増えていく。家計はどんどん圧迫され、耐えきれなくなったら『ゲームオーバー』だ。お金があることは、困窮やそれに伴う家庭内不和を回避してくれるんだよね」
“幸運な悩み”はさっさとお金で解決すれば良い
資本主義社会でお金がないというのは「死」を表す。えびすさまが言ったからか、この言葉は一層重みを増して聞こえた。
「大切なのはお金じゃない、などと主張する人もいるだろう。でもね、この言葉を金持ち以外が言ったとしたら、それは単なる綺麗ごとだ。失礼に聞こえたら申し訳ないが、これは金持ちにのみ言うことが許されているフレーズでね。貧しい人が口にしたって、ただの負け惜しみにしか聞こえないんだよ。だって、説得力がまるでないんだから。
貧しい人ほどお金を軽視する。お金を粗末に扱ったり、お金『なんて』と口にしたりね。お金『なんて』と言う人を、金持ちは決して信用しない」
えびすさまはそう言い切った後、お金持ちだけが実感する話を教えてくれた。
「貧乏人の悩みの九十九パーセントはお金で解決できる、という言葉には続きがあるんだよ。
貧乏人の悩みの九十九パーセントはお金で解決できる。だが、金持ちの悩みの九十九パーセントはお金では解決できない。そう、お金で解決できることなど、実はほんのひと握りだ。なら、幸運にもそれに当てはまる悩みが生じたなら、強がらずに、意地を張らずに、さっさとお金で解決してしまえば良いよね。僕たちはお金で解決できない問題に向き合い、取り組む時間を、しっかりと確保しなければいけないんだから」
お金で解決できることは、お金で解決する。時間という命を無駄にしないために。お金持ちにとっては、それが当たり前の選択なのだ。
「あすかちゃん。貧しい人の悩みのうち、お金で解決しない『残り一パーセント』はどんなことだと思う?」
「んー、……月並みだけど『愛』とか? あと人間関係とか、健康とか」
「そうだね。そしてそれは、金持ちも同じように悩むことだ。人間であれば、誰しもが悩む可能性のあるところ。こういった悩みには、お金のような『特効薬』がない。悩みを解消する方法だって、ひとつひとつ異なる。
こういったことにきちんと時間を割くために、お金はなるべく早い段階で稼いでおく必要があるんだよ。人生は、人間の都合を待ってはくれないからね」
今回の学び
・貧乏人の悩みの九十九パーセントはお金で解決できる
・お金はなるべく早く稼いだほうが良い
・大切なのはお金じゃない、というのは、お金持ちにのみ言うことが許されたフレーズ
TOP画像/(c)Shutterstock.com
職業お金持ち 冨塚あすか
個人投資家。1988年生まれ、仙台出身。慶應義塾大学卒。「お金を理由に何かを諦める、という事態とは生涯無縁でいよう」と決め、20歳のときに10万円から資産運用を始める。紆余曲折ありながらも持ち前の分析力と嗅覚、人当たりや運の良さで資産を順調に拡大。会社員を辞めてからは2年ほど、専業投資家として資産運用のみで生活をする。現在は、オンラインサロンを通じて、投資の仕方や生き方、女性がお金持ちになるために必要な「お金の帝王学」について指南している。趣味は旅行と食べ歩き、お金持ちの話を聞くこと。
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