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2021.05.06

キャリア形成に役立つ資格、役立たない資格とは? 無駄な時間とお金をロスしない考え方【人材育成プロ監修】

キャリアアップのひとつとして「資格」がありますが、どういった基準で資格を選べば良いのでしょう。キャリアアップにつながる「資格」の取り方と考え方を解説します。〈人材育成のプロが教える連載「はたらくってなんだろう?」〉

スパイスアップ・アカデミア代表 森山たつを

キャリアアップにつながる「資格」の取り方・考え方

これまでの連載はこちら

キャリアアップをしたい! という人はよく「じゃ、資格をとらなきゃ」という思考になりがちです。

でも、資格をとればキャリアアップってできるんでしょうか? 実は、資格ってのはよく考えてとらないと、壮大な時間とお金の無駄になっちゃうんです。それでは、どういう戦略で資格を取るべきか、今回それをお伝えします。

資格には3種類あります

資格といっても世の中には無数にあって、キャリアに役立つものと役立たないものがあります。

キャリアという面からみると、この3種類に分類されます。

◆1. キャリアと関係ないもの

(c)Shutterstock.com

世界遺産検定とか漢字検定といった、ほとんどキャリアに関係ないものがこれです。

世界遺産検定は旅行会社だったら評価されるのでは? 漢字検定は事務職なら評価されるのでは? と思うかもしれませんが、面接の話の話題になるくらいで、直接は評価されません。これは、趣味でとるものだと思ってください。

このような民間の資格は今無数にあります。どうしてたくさんあるのかというと儲かるからです。

会社からみると、ただテストを作って認定するだけで、数千円から数万円の受講料収入が発生し、資格によっては会員費という形で年に数千円の定期収入まで入ってきます。私が以前に在籍していたIT企業でも、自社のソフトウェアの習熟度を認定する資格をつくってたのですが、利益率が9割を超える、超高収益部門でした。

趣味で受ける分には別にいいのですが、ホントにお金払うだけの価値はあるの? ということをよく考えた方がいいと思います。

◆2. その職に就くのに絶対に必要なもの

(c)Shutterstock.com

看護士になるには看護師免許、薬剤師になるには薬剤師免許が必要なように、その職に就くには必ず必要になる資格があります。主に国家資格です。看護士になりたかったら、資格を取るしかないので、取ってください。

ただ、注意して欲しいのは、資格をとれば必ずその職業に就けるとは限らないことと、その職業が必ずしも高収入だったりするわけではないことです。

例えば、薬剤師の場合、国家試験を受けるために大学(薬学部)に6年通わなくてはなりません。私立の薬学部だと通常の大学よりも高く年間150〜250万円くらいかかるところもあります。そして、薬剤師の年収は、400〜600万円と、極端に高いわけではありません。

大学への1000万円近い投資と、得られる収入を比べてどうなのか? それでも自分は薬剤師になりたいのか? などを考えることが大切です。

このように、資格を取る際に「とるのにどれくらいのお金と時間が必要か?」「その職業はどれくらい稼げるのか? 自分がやりたいことなのか?」をしっかり考えてから、資格取得をはじめることが大切です。

◆3. キャリアに役立つ資格

(c)Shutterstock.com

今回のメインテーマがこれになるのですが、キャリアに役立つ資格はあります。TOEICとか英検のような英語系の資格や、ITパスポートのようなIT系の資格、秘書検定のようなビジネス系の資格などです。

このような資格は、もっていたら評価はされるけど、もっているだけで仕事に就けるかというとそういうものでもありません。どういうことでしょうか?

例えば、私は英語がそれなりに話せます。それなりにというのは、全然上手くないというレベルです。カンボジアで会社を経営したり、アメリカ人と簡単なビジネス会話をしたり、世界中を旅行したりはできますが、アメリカの映画を字幕なしで観ると、半分くらいしか理解できません。TOEICでいうと700〜800点くらいでしょうか?(20年くらい受けてないのでよくわかりません)

そんな私ですが、入社試験で面接をするときに、TOEICの点数を聞かれることはありません。

それは、「グローバル企業で世界13ヶ国のメンバーと一緒にリモートワークしてました」とか「カンボジアでカンボジア人やフィリピン人のスタッフを雇って、英語で仕事をしています」とかいうと、相手は「だったら英語は話せるんだな」と勝手に理解してくれるからです。

このように、実際に英語で仕事をした経験談を話せば、資格を持ってなくても全く問題はありません

というのも、TOEICの点数が900点超えていても英語で仕事ができない人はたくさんいます。

でも、英語で仕事をした経験がある人は、全員英語で仕事できるのです。

資格は経験のかわりになる

(c)Shutterstock.com

つまり、仕事の経験から「私はこれができます」と言えれば、資格は必要ありません

逆に、仕事で経験を積めていない人が「実務はやったことがないですが、勉強はしています」と言うために取るのが資格なのです。

英語で仕事をしたいけど、まだ英語で仕事をしたことがない。だから、最初の英語の仕事をとるために受験するのがTOEIC。

ITの仕事をしたいけど、まだ実務はやったことがない。だから、最初のITの仕事をとるために受験するのがITパスポート。

こんな風に考えるのがいいのです。

資格のいいところは、「未経験でも、勉強はしています!」と言えるところ。それ以上でもそれ以下でもありません。

キャリアの階段を登る、その一段目に足をかけるチャンスをくれるものと考えてください。くれぐれも、それを取れば一生食いっぱぐれないなんてものではないので、注意してくださいね。

次回、最終回。面接でどんなことを話せば転職できるかをお伝えします。

これまで連載はこちら

TOP画像/(c)Shutterstock.com

スパイスアップ・アカデミア代表 森山たつを

スパイスアップ・アカデミア代表取締役兼海外就職研究家

早稲田大学理工学部卒業後、日本オラクル、日産自動車などに15年勤務の後、日本人の海外就職に関する調査・研究を行う「海外就職研究家」として独立。著書4冊、電子書籍20冊以上を執筆。

2014年に、日本人を「出入自由に」を体現すべく、海外で働く体験ができる実践型インターンシッププログラム「サムライカレープロジェクト」オンラインインターンシップ「グローバルマーケティングオンライン」をスタート。

桃山学院大学兼任講師、i専門職大学 客員教員、インフィニティ国際学院 プログラムナビゲーター

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