新型コロナウイルスのワクチン接種 医師の体験記−1
当初の予定では3月初旬には1回目の接種を終えているはずだった、新型コロナウイルスのワクチンだが、やっと先日、第1回目の接種を終えた。
いま、話題になっているし、色々な人から「もう受けましたか?」とか「先生なら受けますか?」と聞かれるので、体験記を書こうと思う。
◆1. 計画より随分と遅れているな
先にも書いたが、当初は3月早々には接種という計画を聞かされていたが、約1ヶ月半ほど遅れた。
医療従事者はこうした状況にはなれているので、一般の人よりはスムーズにすすむはずだが、予定よりは遅れた。Oggi読者の人達に順番がくるのはもう少し先になるでしょう。
◆2. 問診表・その他
通常の予防接種の際と同じように問診票に「はい」か「いいえ」をチェックする。他の予防接種と同じような質問ではあるが、今回は何となく厳かな気持ちで回答した。
◆3. 筋肉注射はいたいのか?
巷では、「筋肉注射は痛い」という噂が流れているが、私の一貫した意見は、「そんなことは絶対にない」というものだった。では、実際はどうだったか?
Tシャツをまくり上げ、アルコールで拭いて、いざ、注射!
なんと、「本当に針を刺したんですか? お薬入れたの? 先生、本当に刺したの?」って聞きたくなるくらい痛くも痒くもない。
「本当にあの先生お薬入れたかな?」と疑いたくなるほど、何もなかった。やはり、「筋肉注射は痛い!」は間違っている。注射をうつ先生、薬剤の温度、薬剤のpH(これは工夫できない)などの要素で痛みは決まるんだ! と改めて自分の意見の正しさを実感した。
◆4. 接種後の経過観察時間
新型コロナウイルスワクチンでは、接種後15分から30分程度の経過観察時間がある。
接種後の注意点などのビデオが投影されているのを黙って見ながら時間をまつ。時間測定は自分の時計で、自分で行う。私の時計は15分が10分で進むように設定されているので回りの人よりは早めに経過観察終了。
◆5. 接種後の夜
噂では、倦怠感や熱が出る、頭痛がすると聞いていたが、私の場合は何も起こらなかった。
2回目には症状の強く出る人が多いようだが、少なくとも1回目は何も起こらなかった。夜に飲んだアルコールが良かったのかもしれない。「先生、本当に注射うったのかな?」と改めて心配になる。
◆6. 睡眠
いつもよりもぐっすりとよく眠れた。
◆7. 翌朝
発赤や腫れはないが、注射部位が痛い。まさしく、筋肉痛の痛みだ。ただし、筋トレ後の筋肉痛のほうがはるかに痛いし、気持ちも良い。筋肉痛は炎症が起こっている証拠。原理は筋トレと同じだ。No pain, no gain!
「やっぱり、先生、本当に注射うってくれてたんだ! ありがとう!」。
接種した数日後の様子は?
その後も特に何も起こらない。ただし、2回目を終えた仲間に聞くと、2回目のあとは、随分と症状が明確に出るらしい。しかし、今のところ、2回目を受けないという理由は見当たらない。
では、2回目の接種を終えたときも体験記を書こうと思います。
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国立がん研究センター研究所 がん幹細胞研究分野分野長 増富健吉
1995年 金沢大学医学部卒業、2000年 医学博士。
2001年-2007年 ハーバード大学医学部Dana-Farber癌研究所。2007年より現職。
専門は、分子腫瘍学、RNA生物学および内科学。がん細胞の増殖と、コロナウイルスを含むRNAウイルスの増殖に共通の仕組みがあることを突き止めており、双方に効く治療薬の開発が可能かもしれないと考えている。
専門分野:分子腫瘍学、RNAウイルス学、RNAの生化学、内科学。
趣味:筋トレ