渡米、起業、経営、強気に戦っている私だからこそ伝えたいこと
3月も終わり、春の訪れを毎日感じられて、なんだか幸せな気分が続いている古瀬です。1年前の今頃は、新型コロナ感染者が激増している時期で、ニューヨークは一気にロックダウン。
渡米して4ヶ月経ち、仕事にも慣れ始め、ここから新しい展開を繰り出していくぞという勢いに乗っていた矢先だったので、「あれ? 私はどうすればいいんだ?」と異国の地で呆然となったのを鮮明に覚えています。
これから顧客の新規開拓をしようと入念なリストを作っていましたし、ニューヨークだけでなく、ロサンゼルスやサンフランシスコ、シカゴ、ダラスやフロリダあたりにも事業を広げたいと野心に燃えていたので、その野心の矛先をどう転換していいのか、経営者1年目としてメンタル崩壊の状態に。
その崩壊加減をインスタグラムに出すこともなく、会社員として守られた環境で働く夫を羨むこともなく、必ずここから違う自分に成長していくはずだと毎日呪文のように内心唱えていました。
経営者2年目、失敗や恐怖心を経て、ワクワクできる自分を見つけた
あれから1年が経ち、私の経営者の道も2年目に入りました。
人材の育成や雇用、キャッシュのバランスを保つこと、経費と利益の表を睨んで来週の動きを整理することや、リスクを少し冒しても投資すべき箇所を悩み抜くことなど、考えるべき内容が会社員の時代から一変し、自分自身に裁量がある立場で生きていけることを楽しく感じています。
1年前は涙目だったのに(笑)。
テレビマン時代に、編集のやり方は教えてもらえたし、ロケの仕方もキャスティングの仕方も教えてもらえたけど、経営のやり方なんて誰も教えてくれません。
先輩経営者に頼み込んで教えてもらったり、本を読んだり、思い切ってやってみて、大失敗したりしながらでないと理解できないスキルだなと日々痛感します。
そして、とうとう先日、アメリカ政府に長期のローンを申請しました。何だか、すごく経営者として緊張する瞬間でした。「まさか、私が、アメリカ政府にお金を借りるなんて!」と。
新型コロナの状況により、様々な救済措置が政府から出されているわけですが、スモールビジネスの会社向けに、会社の体力に合わせた金額を貸し付けてくれる機関があります。
もちろん、そんな機関の存在を知るわけもありません。資金に余裕がないので、売り上げ以外での資金調達をずっと悩んでいたのですが、ニューヨークで繋がっている経営者の方々が手取り足取り教えてくださって、ようやく辿り着いた訳です。
どう申請するのか、返済のルールはどうなっているのかなど、不安で仕方ありませんでした。日本語ならまだしも、英語でのファイナンスは難しすぎます。
しかし、やってみたら、出来ました。難しすぎるという恐怖はただの思い込みでした。
その過程で、より会社のことを理解することが出来ましたし、このローンが承認されたら、次の一歩をどうするかと、正直ワクワクしてしいます。
臆病にならず、どんどんチャレンジ!
幼稚園生のような経営者の実態なので、ある意味恥ずかしい内容なわけですが、なぜ今回この原稿を書いたかというと、“起業”や“経営”について私なりに伝えたいことがあったからです。
それは、日本人にとって、“起業”や“経営”と聞くと、とてもハードルが高そうに聞こえて、「私には無理」と思いがちですが、もしチャレンジしたい気持ちが少しでもあるなら、臆病になりすぎないことが大事。
「私には無理だ」という状況は本当に事実なのか? と自分に問い直してみて。思い込みではなく、紛れもない事実なのか? と。
テレビ番組しか作れなかった私が、今やアメリカ政府から借金しても、アメリカで経営者を続けようとしています。それを元手に、稼いで、返せばいいと、案外強気で、能天気に捉えています。
新しいフィールドで、新しい感覚を得て、さらに強くなっていく。そんな自分がやっぱり好きだなと、自己愛が高まる2021年春です。
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古瀬麻衣子
1984年生まれ。一橋大学卒。テレビ朝日に12年勤務。「帰れま10」などバラエティ番組プロデューサーとして奮闘。2020年、35歳で米国拠点のweb会社「Info Fresh Inc」代表取締役社長に就任。現在NY在住。日本人女性のキャリアアップをサポートする活動も独自に行なっている。
Instagram:@maiko_ok_
HP