【目次】
・ことわざの「沈黙は金」の読み方・意味・語源とは?
・「沈黙は金」の対語が「雄弁は銀」
・「沈黙は金」の類語にはどのようなものがある?
・最後に
ことわざの「沈黙は金」の読み方・意味・語源とは?
「沈黙は金」という格言を知っていますか? 沈黙することに価値があるようなイメージがある格言ですが、実はただ黙っていればいい、という意味の格言ではありません。
今回はこの「沈黙は金」の本当の意味や言い方などについてご紹介したいと思います。
沈黙は金の読み方と意味
「沈黙は金」の読み方は、「ちんもくはきん」です。「きん」ではなく、「かね」と読んでいた方も多いのではないでしょうか?
この「沈黙は金」は、「沈黙は金に例えられるほどの価値がある」、つまり「黙ることが時には大切である」という意味を持っています。「あれこれ弁解するより、時には黙っていたほうが良いこともある」という意味合いで使われます。
また、この「沈黙は金」という格言は、聖書だと「ダビデの沈黙」として知られています。
語ることについて秀でた才能を持っていたダビデ。それにもかかわらず、神を目の前にする時は必ず沈黙しました。
それは、どんな困難な時でも「救いは神からくる」と心から信じていたからです。神の前に立つ時は、自らを装ったり弁明したりする必要もないとして、どんな時であっても神の前ではひたすら沈黙して立ち続けていました。
他にも、「沈黙は金」は、フランス映画のタイトルとしても使われていますよ。
沈黙は金の正しい言い方は「沈黙は金なり」
「沈黙は金」という言い方が有名ですが、実は「沈黙は金なり」が正しい言い方となります。「なり」という助動詞の意味は、「断定」。そのため、本来は「沈黙は金だ」と断定した言い回しなのです。
沈黙は金の語源とは?
実は「沈黙は金」の語源は、イギリスにあります。「沈黙は金」という言葉の元は、イギリスの評論家、トーマス・カーライルの著書『衣服哲学』の一説です。その一説は、「Speech is silver, silence is golden」。日本語に訳すと、「雄弁は銀、沈黙は金」となります。
「沈黙」を銀よりも高価な金に例えたものであり、「堂々と話すことも大事だが、黙るべき時を知っているのはもっと大事である」という意味の言葉です。
「沈黙は金」の対語が「雄弁は銀」
「沈黙は金」の語源で対比として出てきたように、「沈黙は金」の対語は「雄弁は銀」となります。「雄弁」の意味は、「人の心を動かすような弁舌や力強い物言い」。つまり、「弁舌をふるうことは銀ほどの価値がある」という意味です。
今の金・銀の価値から「雄弁より沈黙のほうが価値がある」という意味として使われていますが、この言葉が使われた当時は「金より銀の価値のほうが高かった」という説があります。
「雄弁は銀、沈黙は金」が使われ始めた当時は、議論がうまくできないと仕事ができないとされていました。そのため、当時の価値観では「雄弁であるほうが、沈黙より価値がある」とされています。
ところが、次第に銀より金の価値が高くなったことから、「沈黙」のほうがより価値があるという意味合いで使われるようになりました。
このように、「雄弁は銀」は「沈黙と異なり、雄弁は大切ではない」という意味ではないため、注意が必要です。
「沈黙は金」の類語にはどのようなものがある?
続けて「沈黙は金」の類語についてご紹介をしたいと思います。
1:言わぬが仏
「沈黙は金」と似たことわざとして、「言わぬが仏」を挙げる人がいますが、実はこれは誤りです。本来、「言わぬが仏」という言葉は存在しません。そのため「言わぬが仏」は、「知らぬが仏」の誤用であると考えられています。
「知らぬが仏」の意味は、「知れば腹が立ったりするようなことも、知らなければ平静でいることができること」。つまり、「知らないほうが幸せなこともある」という意味のことわざです。
2:言わぬが花
「言わぬが花」には、「余計なことを話すよりも、黙っているほうが得をすることがある」「何もかも話すと、中身がわかってしまって興ざめする」といった意味があります。
つまり、「言わないほうが粋である」ということであり、あえて言わないことによって「奥ゆかしさ」や「趣」が感じられるということを表していますよ。
江戸時代の浄瑠璃「新版歌祭文」にある「三々九度うは言わぬが花嫁」が由来だといわれています。
3:言わぬは言うに勝る
「雄弁は銀、沈黙は金」の類語です。「口に出してはっきり言うよりも、黙っているほうがより思いを伝えられる」という意味のことわざになります。
「言わぬが花」のように、「すべて言うこともできるが、あまり多く語らないほうが、より強く思いが伝わる」ということを表していますよ。
例えば卒業式や退社式で、「離れるのがとても悲しい」と口に出している人よりも、感極まって話せなくなっている人のほうが、より悲しんでいると伝わることがありますよね。
このように、「話すより黙っているほうがより気持ちが伝わってくる」という状態のことを「言わぬは言うに勝る」で表すことができますよ。
最後に
「沈黙は金」についてのご紹介でした。いかがだったでしょうか?
「沈黙は金」は、「黙っていることは、時に金ほどの価値がある」という意味を持つことわざです。正しい言い方は「沈黙は金なり」。「雄弁は銀、沈黙は金」と対比で用いられることもありますよ。
ただし、ただ黙っているほうが得策という意味ではありません。格言として使えるようになるためにも、正しい意味をしっかり理解できるようにしておくことがオススメです。
TOP画像/(c)Shutterstock.com