【目次】
・四文字熟語「三者三様」の意味・対象・十人十色との違い
・「三者三様」の使い方を例文でチェック
・「三者三様」の類語にはどのようなものがある?
・最後に
四文字熟語「三者三様」の意味・対象・十人十色との違い
まずは、「三者三様」の意味から解説していきます。
三者三様の意味
「三者三様」は「さんしゃさんよう」と読みます。意味は、やり方や考え方が、人それぞれであるということ。三者いれば三つの様(さま)、様子があるということです。
前半部分の「三者」は、三人(三つのもの・こと)を表し、後半部分の「三様」は、三つの有様・様子を表しています。三人いれば、三人それぞれ違う考えや、やり方があって当然ということで、複数の人がいれば、複数の考え方があって当然という意味で使われます。
三者三様の対象
「三者三様」は、「三」という数字にこだわる必要はありません。四人でも五人でも「三者三様」を使います。言い換えれば、「四者四様」や「五者五様」という言葉は存在しないということです。人数に惑わされずに、自信を持って「三者三様」を使いましょう。
十人十色との違いとは?
「三者三様」とよく似た言葉に、「十人十色(じゅうにんといろ)」というものがあります。「十人」と「十色」。その漢字から想像できるように、一人ひとり、行動様式や好み、性格、気質などが異なるということを意味しています。
「三者三様」「十人十色」以外にも、数を使って多様性を表す四字熟語は他にもあります。「千差万別(せんさばんべつ)」もその一つです。「人それぞれ」という意味では同じですが、「千」と「万」という大きな数字を使っているだけに、数の大きい事柄に対して使うのが一般的です。
また、「三者三様」と「十人十色」は、多様性を受け入れるプラスのイメージで使われる言葉です。人それぞれ違うことを尊重する言葉なので、マイナスな意味で用いられることはあまりありません。
近い意味を持つフレーズとして、「蓼食う虫も好き好き(たでくうむしもすきずき)」というものがありますが、「蓼食う虫も好き好き」はどちらかというと、皮肉や嫌味に使われる言葉です。似ている意味ですが、方向性が逆なので、使い間違えないように気を付けましょう。
「三者三様」の使い方を例文でチェック
「三者三様」は実際にどのように使うのか、例文でチェックしていきましょう。
1:「三者三様の考え方があるということを理解した上で、決定する必要がある」
「人それぞれ違う」という意味を持つ「三者三様」は、違う意見で対立する場面では、よく用いられる言葉です。「人それぞれ違う考えを持っていて当然だ」ということを前提に物事を決めるというのは、社会生活においてもよく遭遇する場面ですね。
「三者三様」の意見が飛び交う場は、会社の会議や政治の場、はたまた自治会などの地域コミュニティなど、普段の生活に近いところにも多々存在しています。
2:「合格へのプロセスは、三者三様、それぞれに異なる」
受験勉強などで、「この方法が正しい!」という読み物は五万とあります。ですが実際には、勉強方法や合格への道のりは一種類ではなく、その人に合った方法がそれぞれに存在します。夜型の人にいくら朝方の生活を勧めても無理があります。暗記の仕方も人それぞれ。さらには、ロングスリーパーやショートスリーパーの違いもあるでしょう。こういった場合にも「三者三様」という言葉がぴったりですね。
3:「三者三様の魅力があり、どれか一つを選ぶのは困難を極めた」
毎年、直木賞や芥川賞の発表で、「あの作品もいいのに」、「いやいや、こちらの作品も捨てがたい」などと思いながら、どの作品が選ばれるかを楽しみにしている方もいるかもしれませんね。世界的には、グラミー賞やノーベル賞も同じようなドキドキ感があります。
作品にはどれも独特の魅力があり、選ぶのも大変でしょう。思っていたものが入選しないこともしばしば。選定委員の方々から、まさに、「三者三様の魅力があり、どれか一つを選ぶのは困難を極めた」との声が聞こえてきそうです。
「三者三様」の類語にはどのようなものがある?
「三者三様」の類語をご紹介します。
1:「千差万別」
前にも触れましたが、「千差万別」は、「せんさばんべつ」と読みます。「様々な種類があり、それぞれが異なっている」、「人や物や事柄などには様々なものがあり、その違いもまた様々である」という意味です。
「千差万別」は、人だけでなく「もの」に対しても使うことができます。
2:「各種各様」
「各種各様」は、「かくしゅかくよう」と読みます。「各種」は「違う種類」、「各様」は「それぞれに違っている様」を意味し、「人によって、それぞれやり方などが違うこと。人さまざま」という意味で、「三者三様」と同じように使うことができます。ただ、人に対してというよりは、人の考えなどに対して使うことが多い言葉になります。
3:「蓼食う虫も好き好き」
ネガティブな意味で使われる類語もご紹介しておきましょう。先ほど少し触れましたが、「蓼食う虫も好き好き」は、皮肉や嫌味で使われる、「ひとそれぞれ」という意味を持ちます。「人の好みも様々」ということを言いたい場合に用いられます。
最後に
「三者三様」は、「人それぞれ」「意見や考えはみな違う」という意味で、多様性を尊重した使い方をされます。同じような意味ですが、間違ってもネガティブな表現の「蓼食う虫も好き好き」と使い方を混同ないように注意しましょう。
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