【目次】
・「とんでもございません」の意味、語源とは?
・「とんでもございません」の使い方は? 例文でチェック
・「とんでもございません」の類語は?
・「とんでもございません」の英語表現
・最後に
「とんでもございません」の意味、語源とは?
「とんでもございません」という言葉について、皆さんはどんなイメージをお持ちでしょうか? 多くの人は、誰かに褒められた時などに、謙遜的な態度で返す時の代表的なフレーズとして思い浮かべるかと思います。
しかし、この「とんでもございません」という言葉、実は文法的には間違った日本語だということ、ご存じでしたか? 本記事では「とんでもございませんでした」の正しい使い方や、類語、英語表現まで丁寧に解説します。
◆「とんでもございません」の意味は?
「とんでもございません」には2つ意味があります。1つ目は、“まったくそうではない”と相手の言葉を強く否定する意味です。2つ目は、誰かに感謝されたり褒められたりした時に、“それほどには及びません、滅相もありません”といった謙遜的な意味があります。「とんでもありません」という言い方もあり、まったく同じ意味になりますが、「とんでもございません」の方がより丁寧な表現です。
◆「とんでもございません」の語源は?
「とんでもございません」は、“道筋、道理”といった意味の「途」に、否定語の「ない」をつけた「途でもない(とんでもない)」という言葉から来ています。「とんでもない」とは、“道理からはずれている”、つまり“思いかけない、もってのほか、まったくそうではない”という意味です。『とんでもない発明をする』、『とんでもない。それはまったくの見当違いだ』のように使うことができます。
◆実は間違った日本語?
「とんでもございません」は、上述の「とんでもない」の「ない」の部分を切り離し、敬語の「ございません」に置き換えた言葉になりますが、実は日本語としては正しくはありません。「とんでもない」を敬語として使う場合は、「とんでもないことです」や「とんでもないことでございます」が正しい表現です。
しかし、現在では「とんでもございません」は一般的に広く使われているのが現状で、2007年文化審議会が、謙遜的な意味合いを持つこの言葉の使用を認める発表をしました。このように、時代と共に言葉も変化していくのですね。
「とんでもございません」の使い方は? 例文でチェック
ビジネスシーンでは、目上の相手や取引先に対する謙遜表現として「とんでもございません」という言葉を非常に多く耳にします。具体的にどのように使われるのか、例文を用いて紹介します。
1:「とんでもございません、まだまだ勉強中です」(褒められた時)
「君のプレゼンは素晴らしかったよ」など、目上の相手に自分の行為を褒められた時に、謙遜する表現です。「身に余るお言葉をいただき、光栄です」など、感謝の言葉を続けるのもおすすめです。「身に余る」とは、自分の能力を超えて処遇が良すぎることを意味し、「身に余るお言葉」の他、「身に余る光栄」、「身に余る大役」などと使われます。
2:「とんでもございません。また何かあればいつでもお申し付けください」(お礼を言われた時)
誰かをサポートした時など、相手から「助かったよ、ありがとう」などお礼を言われた時に返すフレーズです。ビジネスにおいては、助け合いや協力によって相手との良い関係を築くことができますよね。誰かから感謝された際は、このフレーズで返すとグッと印象が良くなります。
3:「とんでもございません。そのようなつもりは一切ございません」(強く否定する時)
誰かに誤解をされた時などに、強く否定する際のフレーズです。強く否定するといっても、頭ごなしに言ってしまっては、良いコミュニケーションは生まれませんので、あくまでも丁寧に伝えることが大事ですね。
「とんでもございません」の類語は?
次に、「とんでもございません」の言い換え表現をご紹介します。
1:「恐れ入ります」
こちらは代表的な謙遜フレーズですよね。「とんでもございません」の言い換え表現として、相手からの感謝の気持ちやお褒めの言葉などに対し使うことが可能です。「恐れ入る」とは身がすくむ様子を意味します。
・そのようなお褒めの言葉、恐れ入ります。これからも邁進していきます。
2:「滅相もございません」
こちらも「とんでもございません」同様に、謙遜と否定の二つの意味を持ち合わせます。「滅相(めっそう)もない」とは、「とんでもない、あるべきことではない」という意味です。相手の言葉に対し謙遜したり、強く否定する時に使用されます。
・いえいえ、お礼なんて滅相もございません。当然のことをしたまでですので。
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「とんでもございません」の英語表現
「とんでもございません」を英語で伝えたい時、残念ながら直訳できるような英単語はありません。ですので、場面に応じて使い分けることが必要で、以下のようなフレーズが挙げられます。
<相手からお礼を言われたとき>
・You’re welcome. / No problem. / My pleasure. / Don’t mention it.(どういたしまして)
<相手の言葉を否定する時>
・I’m not trying to do (say) that. / I don’t mean to do (say) that.(そのようにする(言う)つもりはありません)
最後に
「とんでもございません」の解説はいかがでしたでしょうか? 元々は「とんでもないことでございます」という日本語が、時代と共に使われやすいように変化し、現代においては一般的に使われるようになった言葉です。
謙遜と否定の二つの意味を持ち、場面に応じて使い分けることができます。特に、相手からの感謝の気持ちや、お褒めの言葉などに対して使うと、程よく謙虚で丁寧で、非常にいい印象を与えられるかと思いますので、ぜひ皆さん使ってみてくださいね!
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