なぜ「みどりの窓口」っていうの?
コロナ禍で泣く泣く年末年始の帰省を自粛された方もいらっしゃったことと思いますが、例年ならその時期に利用することが多い「みどりの窓口」。みなさんは、なぜ「みどりの窓口」っていうか知っていますか?
「みどりの窓口」の登場は1965年
「みどりの窓口」が登場したのは、1965年。50年以上の歴史があるんですね。「みどりの窓口」が登場した背景には、指定券の購入方法がシステム化されたことがあります。それまではなんと台帳で管理していたようなんです。
指定券の購入の申し込みがあると、受け付けた係員が台帳がある管理センターに電話で問い合わせ、該当の日時の列車の台帳を探し出してもらった上で、座席状況を確認。空席があった場合には空いている座席番号を確認して押さえ、その座席番号をあらかじめ印刷されたきっぷに書き込んで発売するという流れだったそう。台帳には発売済みの印をつけ、一元管理していたんですね。
とはいえ、すべて手作業ですので、それはもう大変ですよね。そして、人がする作業ですので、やはりミスも起こってしまいます。1960年代になると特急列車が増えたり、東海道新幹線が開通したりと、指定券の取り扱い件数の増加に伴い、台帳管理方式が限界となり、管理システムが開発されました。
現在では、この管理システムは「マルスシステム」と呼ばれ、座席ごとの指定券データを一括管理するデータベースと、窓口に置かれた端末機をオンライン回線で接続したもの。座席の予約の可否がすぐにわかるようになり、また重複して発券してしまうトラブルも回避できるようになりました。
聞き慣れない「マルス」は「Multi Access seat Reservation System」の略なんだそう。この端末が置かれた対面式の窓口がみどりの窓口だったんです。
「みどりの窓口」の由来は?
これまで台帳管理方式で発券していたきっぷは、赤や青が多く、マルスシステムで発券したきっぷが一目でわかるようにマルスシステムで発券するきっぷの色として採用されたのが緑でした。
そして、マルスシステム端末が置かれた窓口で発券されるきっぷの色が“緑”だったことから「みどりの窓口」という名前になったそうです。
当時はマルスシステム端末が設置されている駅は限られており、駅員さんがいる対面の窓口があっても指定券が購入できるとは限らなかったことから、指定券を購入できる場所をみどりの窓口としてアピールする必要があったんですよ。
「みどりの窓口」といわない駅もある?
現在では、自身のスマホからオンラインでも指定券を購入することができるようになっていますよね。またみどりの窓口にかわり、みどりの券売機やみどりの券売機ぷらす(テレビ電話つき!)という券売機が設置されるなど、駅においても対面でなく指定券が購入できるようになっており、それに伴い、みどりの窓口は閉鎖傾向にあるのだそう。
また、JR東海管轄の駅ではすべての駅の窓口で指定券が購入できるようになっており、従来のようにみどりの窓口としてアピールする必要も乏しくなっていることから、みどりの窓口ではなく、「JR全線きっぷうりば」と表記されているんですよ。
いかがでしたか? さまざまなものがオンラインや非対面での購入が可能となってきており、それは指定券であっても同じなんですね。そのため、さみしいですが、みどりの窓口はだんだんその役割を終えていくのかもしれませんね。それでもみどりの券売機など、当初の指定券の色のみどりの名称は引き継がれていきそうですね。
言葉の意味/デジタル大辞泉
鶴田初芽
都内在住のOLライター。マナーインストラクターであり、実用マナー検定準一級や敬語力検定準一級など、ビジネスにおけるマナーや、マネーに関する資格(2級ファイナンシャル・プランニング技能士、金融コンプライアンスオフィサー、マイナンバー保護オフィサー)などを保有。丁寧な暮らしに憧れ、断捨離修行中!