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2021.01.18

感染症対策にも役立つ! 歯の健康を保つ「8020」って何?〈歯科医が解説〉

生きていくうえで大切な「歯」。歯の健康を保つためにはどんなことが必要でしょうか? 医療法人日坂会の伊勢海 信宏先生に話を伺いました。国立がん研究センター研究所でがん幹細胞研究分野分野長をつとめる増富先生の健康コラム。

国立がん研究センター研究所 がん幹細胞研究分野分野長 増富健吉

歯の健康を保つためにどんなことが必要?

新型コロナ感染の問題が世界的に長引いています。がん医療の領域でも、検診控えでがん早期発見の機会を逃してしまい、2021年以降の進行がんの増加が危惧されています。今日は、日頃のケアの大切な「歯」について、長引くコロナ禍での影響や対策を紹介します。

その前に、8020って何かご存じですか? まず、8020について医療法人 日坂会の伊勢海先生に解説してもらいましょう。

歯を語るときに欠かせない「8020」って何?

伊勢海先生:8020とは「80歳になっても20本以上自分の歯を保とう」という運動です。厚生労働省や日本歯科医師会が推進しており、歯科業界で広く浸透している考えです。

増富:そもそも自分の歯で何でも噛めるには歯は何本必要なんですか?

伊勢海先生:歯の本数が減る毎に、どうしても噛める物が減ってきます。ある程度なんでも自分の歯で噛むためには、20本の歯が必要となります。親知らずを除くと、歯の本数は28本あります。

統計調査でも「食事がとてもおいしい」と感じている人の歯の本数は平均20本で、「食事がおいしくない」と感じている人の歯の本数は平均11本しか歯が残っていないという結果が出ています。

※1「食の満足度および歯科保健行動と現在歯数との関係について」8020推進財団 指定研究事業報告2007

(c)Shutterstock.com

増富:年齢と歯の本数の関係や入れ歯になる年齢って何歳ぐらいなんですか?

伊勢海先生:先ほど8020の説明をしましたが、実際に20本の歯が残っているのは70歳までとなります。80歳の時には15本まで歯が減ってしまっているのです。

45歳頃から歯が抜け始めて、55歳前後から小さい入れ歯が必要になる可能性があります。人生100年時代と言われているので、今後さらに歯の寿命をのばすことが必須となってきます。

増富:歯の寿命を延ばすために、若い頃、特に30歳とか40歳くらいの年齢の時に気をつけておく事ってどんなことがありますか?

伊勢海先生:虫歯も歯周病も治療をしても、元の健康な歯に戻る事はありません。つまり病気と治療を繰り返すと歯を早く失ってしまうのです。

だからこそ30~40歳からは、治療を受けて終わりではなく、再度虫歯や歯周病にならない取り組みすることが大切です。具体的には、ご自身での毎日の歯磨きの質をあげる。そして磨き残しは誰にでもあるので、定期的に歯科医院でクリーニングをうけることです。

病気にならないように予防することは、どんな高度な治療を受けるよりも重要なことです。

コロナ禍でも歯のメインテナンスを忘れずに!

(c)Shutterstock.com

増富:がん検診に限らず、検診は定期的に受けることが大事ですが、歯科検診もやはり同じなんですね。

伊勢海先生歯科検診も定期的に受けることが重要です。また歯科の場合は病気をチェックするだけでなく、歯周病や虫歯の原因となる歯石や歯垢(プラーク)の除去をすることが非常に大切です。

増富:理想的にはどれくらいの頻度でチェックアップしてもらうのがいいんですか?

伊勢海先生理想的には3ヶ月に1度です。誰でも磨き残しがあり、そこから歯周病が進行してしまうからです。また一度歯科医院でクリーニングを受けても、人によっては悪性度の高い歯周病菌が3ヶ月程度で増えてしまうからです。

(c)Shutterstock.com

増富:新型コロナ感染の問題が長引き、1年までもう間近ですが、がん検診では病院控えでの、早期発見の遅れが危惧されています。歯科ではどんな状況ですか?

伊勢海先生:詰め物が取れたり、痛みがある方は以前と同じ様に来院されます。ただ定期検診や歯周病の治療などで来院が滞るケースが多少見受けられます。それによって、数ヶ月後に歯ぐきが非常に腫れてしまったり、歯周病が進行してしまったりしている方がいます。

歯周病で溶けて失った骨や、虫歯は治療しても元の健康な状態には戻らないので、ぜひ無理のない範囲で定期的にケアした方が良いと思います。

増富:若い人などでは、普段でも歯の不都合がなければ1年くらいは歯科に行かない人も多いかもしれませんが、その事自体も良くないんですね。

伊勢海先生:先ほどお話したように、基本的に虫歯や歯周病は治療をしても元の健康な歯には戻りません。つまり病気と治療を繰り返せば早く歯を失うことになってしまいます。だからこそ、歯を長く残す為には若いうちから検診に通って頂くのが良いです。

歯科医は感染症対策のスペシャリスト!

(c)Shutterstock.com

増富:歯科での診察は口の中を触りますので、なおさら、通院控えをする人も多いような気もしますが、先生は何か特に注意している事はありますか?

伊勢海先生:新型コロナで感染対策がクローズアップされていますね。ただ、そもそも虫歯も歯周病も感染症です。ですので新型コロナ以前から当院では、患者様毎に削る機械・削るドリル・歯石除去の道具などすべて個別で滅菌(細菌を死滅させる処置)をしており、グローブ・エプロン・トレー・ヘッドレストカバー・歯を磨くブラシなど多くの物を患者様毎に使い捨てで感染対策を徹底しておりました。

そして、診療室はすべて半個室で隔離されています。新型コロナ対策としては、常時換気したり、アルコール消毒を徹底したりしております。また、待合の座席を減らしたり、予約状況を密にならないように制限しています。

増富:歯科医の先生方はもともと感染症対策には精通しているということですね。今は新型コロナ対策にも万全の対応をしているということで、安心して受診すればいいということですね。

* * *

歯周病が原因で歯を失うことが多いということ、歯周病のコントロールのためには若いときから歯のケアの癖をつけておくことがすごく大切だということがわかりました。Oggi世代から歯周病のコントロールをすることが、いつまでも自分の歯で美味しくものを食べ健康を維持するためにも大切なんですね。

次回は、歯と全身の病気、そして、歯のケアは新型コロナ対策にもつながるかもという話をしてもらおうと思います。

TOP画像/(c)Shutterstock.com

話を伺ったのは… 医療法人社団日坂会 副理事長 伊勢海 信宏

2002年 日本大学歯学部卒業。歯科医師。
一般社団法人歯の寿命をのばす会を主宰し、多くの開業歯科医から日本人の歯の寿命をのばす内容を啓蒙している。また、「歯科医開業成功バイブル」の情報サイトから歯科開業医コンサルティングを行っており、講演は予約が取れないほどの人気になっている。
専門分野:歯科、歯科コンサルティング
趣味:トレッキング、犬

日坂会
歯科法人で、東京は汐留、秋葉原、浜松町、新日本橋、神奈川県は横浜、辻堂駅前テラスモール、平塚に歯科医院があります。

医療法人社団日坂会 理事長 日坂充宏

1999年 日本大学歯学部卒業、2003年 口腔外科歯学博士。
2006年 抗加齢医学会評議員。
インプラント治療が専門、20年で合計1万本を超える症例を行っている。日坂会のクリニックではインプラントの相談やセカンドオピニオンも多く行っている。
専門分野:インプラント、顎骨の再生治療、歯科口腔外科
趣味:絵画鑑賞、映画鑑賞

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