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「ちょっとずつ」の気持ちが集まってカタチになる【オーガビッツ】
今年15周年を迎えた「オーガビッツ」プロジェクト(以下オーガビッツ)は、日本の繊維商社 豊島株式会社がさまざまなアパレルブランドと組んで実施してきたオーガニックコットン普及のためのプロジェクトです。
オーガニックコットンは着る人にも地球にも優しい素材なのですが、まだ世界中の綿花のわずか1%しか栽培されていません。そして通常の栽培方法よりも手間が多くかかる分、高価なんです。
「オーガビッツ」はそのオーガニックコットンを100%で使うことにこだわらず、10%の混率からの商品を100倍の人に届けるという「逆転の発想」で服を作っています。その結果オーガニックコットンが普及し、有機農地が広がり、環境汚染が改善されていくことを目指しています。
「オーガニックコットンを通して、みんなでちょっと(bits)ずつ地球環境に貢献しよう」という思いが込った「オーガビッツ」。
このプロジェクトに、今までに約130ものブランドが参加しています。
ちょっとずつの気持ちが集まってカタチになる、みんなで実現する。とっても素敵な発想ですよね。
オーガニックコットンはなぜ地球に優しいの?
コットンの原材料である綿花は、トルコ・インド・中国・アメリカなど広大な土地を持つ国を中心に、世界各地で生産されています。綿花を効率よく栽培するために、綿畑には大量の除草剤や殺虫剤、化学肥料が使用され、収穫の際には落葉剤を散布して機械で素早く刈り取る、という方法が一般的だそう。
そうした栽培方法は、土壌の汚染や農場で働く人びとの健康被害、薬品を購入するための農家の負担など、深刻な問題を引き起こしているそうです。
オーガニックコットンは、環境や生物に影響をおよぼす農薬や化学物質を3年以上まったく使用しない農地で、有機栽培されたコットンのこと。有機栽培は自然との格闘。ハーブを植えて虫がつくのを防いだり、手作業で雑草や害虫を処理したりと、辛抱づよく、手間ひまをかけ、自然の循環に沿った栽培をして作られます。
そんな丁寧に育てられたオーガニックコットンと、農薬を使用して栽培された綿花。実は製品に違いはないそう…。なぜなら綿花自体に農薬はほとんど残らないから。でもオーガニックコットンの栽培が広がることで、コットンの生産に携わる人びとの暮らしや、綿花を育てる大地など地球の環境を守ることになるんです
また「オーガビッツ」では、商品1枚につき1円がインドのオーガニックコットン農家支援に取り組む団体に寄付され、農家支援の他、復学支援などの活動に役立てられています。
ファッションアイテムをおしゃれとして楽しむのはもちろんですが、そのブランドが生産国などの社会的責任とどのように向き合い、果たしているかを知ること。これからファッションを選ぶ時の大切な視点だと思います。
オーガビッツを買うと支援できる、地球やヒトに優しいプロジェクト
「オーガビッツ」は環境によいこと・社会によいことのために活動する団体も支援。さまざまな支援先の中から、取り組みブランド毎に決めたNPO法人などに販売額に応じた寄付をしています。
◆認定NPO法人日本クリニクラウン協会の取り組み
この写真は認定NPO法人日本クリニクラウン協会の活動。クリニクラウン=臨床道化師は、トレードマークの赤い鼻とカラフルな衣装に身を包み、入院生活を送る子供たちの病室を定期的に訪れ、遊びやコミュニケーションを通して成長をサポートしています。オーガニックコットンを購入して、病気の子供たちの笑顔の為の支援をする。1枚の服を買うことで、そんな活動を支える一助になれるなんて素敵ですね。
◆NPO法人 日本ウミガメ協議会の取り組み
私がこの春購入したオーガビッツのTシャツは、NPO法人日本ウミガメ協議会を支援する「ブルーオーシャンプロジェクト」に参加していました。
購入したのは、西武・そごうとオーガビッツ限定のプロジェクトのために、「ミュベール」がウミガメと一粒アイス(かわいいジョークですよね^^)をモチーフにしたこのTシャツ。
1枚の服を通して、日本のウミガメのこと、生育環境や海洋汚染を知るチャンスになり、同協議会のSNSをフォロー。投稿で知るウミガメの姿に癒されています。
「ブルーオーシャンプロジェクト」はウミガメ保護だけでなく、海洋動物や海浜環境の保全を行い、海岸のそばで暮らす人、漁業者、ウミガメと接する人々の暮らしや文化の保全の方法を模索し、実現していくプロジェクトです。
他にも「オーガビッツ」が活動を通して支援している団体はいろいろあるので、詳しくは公式サイト内の「一緒にちょっとできるいいこと」のページをチェックしてみてください。
新しい時代、「優しさ」と「真の豊かさ」を
激動の2020年もあと数日です。きっと後世の人は、2020年が地球規模で大きな節目の年だったと位置付けると思います。世界中を自由に行き来できて、お金がある程度の問題を解決できた時代の終焉。
そこから新型コロナを乗り切り、また国内外の往来が自由にできる(近い)未来、私たちの価値観は大きく変わっているはずです。リモートワークやZOOMで完結する商談など、ネットでのコミュニケーションが当たり前になった今年、住む場所や家族・友人との距離感が変化し、私たちの日々の暮らし方も激変しました。もう元には戻らない。
ファッションの価値もそうです。
なんでこのブランドを選ぶの?
なんでこのTシャツを着ているの?
その答えのひとつが「地球に、ヒトに優しいブランドだから」。
「オーガビッツ」の1枚の服を通して社会に貢献するというビジネスモデルは、15年を経て、今とても必然な取り組みです。私も、新しい時代のブランドの価値や魅力を提案し続けたいと願っています。
2021年が皆さまにとって優しく、こころ豊かな日々でありますように♡ 年末最後のような調子になりましたが、また来週!
大島文子 BLOOM&GROW INC 代表取締役/ブランディングコーチ
日本発ブランド及びセレクトショップのブランディングや広告宣伝・マーケティング担当に長らく従事。ファッション分野にとどまらずライフスタイル雑貨・ショップ等をプロデュースする。2016年、大人女子に素敵な時間を提供するブランド育成のための、ブランディング&プロモーションコンサルティング会社 (株)ブルーム&グローを設立。
宝塚歌劇とコスメ、美味しいモノが趣味。インスタグラムはこちら。