幸せと不幸せの落差が大きすぎてヘトヘトに… ニューヨーク単身赴任2020を振り返り<元テレビ朝日プロデューサー転職実録#19> | Oggi.jp
Oggi.jp

おしゃれもキャリアも。働く女性のWebメディア

line instagram TikTok X facebook search

フリーワードで検索

人気のキーワード

  1. トップ
  2. 働く
  3. キャリアアップ
  4. 幸せと不幸せの落差が大きすぎてヘトヘトに… ニューヨーク単身赴任2020を振り返り<元テレビ朝日プロデューサー転職実録#19>

WORK

2020.12.14

幸せと不幸せの落差が大きすぎてヘトヘトに… ニューヨーク単身赴任2020を振り返り<元テレビ朝日プロデューサー転職実録#19>

仕事と自分の人生を見つめ直す社会人10年目。今回は、ニューヨークに単身赴任して得た成長と変化の話。元バラエティ番組の女性プロデューサー 古瀬麻衣子が考える「理想の人生」への近づき方。

古瀬麻衣子

人生180度ひっくり返したからこそ手にした、成長と変化

これまでの連載はこちら

そろそろ2020年も終わろうとしている。全人類にとって試練の1年だったわけだが、それぞれ個人は、さも自分だけの身に降りかかった事象のように、「今年こんなに大きな変化が起こったのよ!」と、この12月中に色んな場所で2020年を振り返り、例年よりも変化に耐えた自身を褒め称えるだろう。

かく言う私も、新型コロナ問題以上に、N.Y.という地に単身移住し、足元から全てをひっくり返して、人生をスタートしたわけなので、振り返ると環境適応という言葉だけでは語り尽くせない、いつもとは違う自分を見てきた。

変化とは、はたから見ると羨ましく捉えられがちだが、当の本人は味わったことない感情、見たことない自分に毎日振り回されて、浮き沈みし、年の瀬にようやく客観的に自身を分析出来るようになる。

1年前の私には全く備わっていなかったスキルや感情がこの1年で顕在化しているので、成長と変化の証としてここでぜひとも紹介したい。

1. 後輩のグローバル化を受容

(c)Shutterstock.com

日本での会社員時代は年功序列で、特に年齢が上下関係を決める最たるはかりだった。

一歳でも年下なら、その後輩からタメ口をきかれることはないし、万一失礼な態度を取られたら、すかさず指摘していた。

そんな日本社会どっぷりの私が、N.Y.に来てみると、アメリカの大学を卒業した20代前半の日本人の若者を部下として持つことになったわけだが、その部下はしっかりアメリカナイズされていた。

まず敬語がうまく使えない。興奮するとすぐタメ口になる。自由の国の色が染みつきすぎて、ずっこけたくなるルーズぶりを発揮してくる。

これだけ書くと、部下からキレられそうだが、私はこれを許せるようになったということが言いたい。

英語のノリで話すとうっかり敬語が抜け落ちることもある。そんな言葉遣いなんてどうでも良くなるくらい、この1年私が異国でピンチの時、部下はすかさず助けてくれた。

例えば、うまくアメリカ人に交渉できない時に、部下が私の上司になり変わり、乗り切ってくれたことや、日本でやっていた仕事の仕方が通用せず、文化の違いに愕然として落ち込む私を、いつも励ましてくれたことなど。

後輩や部下から教えてもらうことの方が多くて、年上年下という上下関係はかなり希薄になり、年齢に関係なく、お互いの持てるものを出し合って働いていくことの楽しさや刺激を初めて知ることになった

日本で檄を飛ばしまくっていた後輩たちよ、ごめんなさい。

2. ありがとうのレベルアップ

(c)Shutterstock.com

読んでくださっている方に質問です。ここ最近、心の底から、本気で、誰かに感謝したことありますか?

私は社会人になってから、何千回も「ありがとう」と口にして来たが、この1年使ってきた「ありがとう」はこれまでと比べられないほどの、魂がこもった「ありがとう」の連続。

東京で何不自由なく暮らしていると、誰かに生活の基盤を助けてもらうことはほとんど皆無であり、何でも必要なものは自分で用意できる。誰かに借りなんて作りたくないとすら思っていた。

しかし、N.Y.では自分の力だけで生きることはかなり難しく、日本でのような考えは自然と変わっていった。ここ最近も、また私はN.Y.で心底、心底、、感謝をする出来事があった。

コロナ禍にマンハッタンで1人暮らしをするのは案外楽ではない。毎晩飲み歩くわけにも行かず、昼間も自宅から仕事な訳なので、本当に孤独な瞬間が長い。

まだまだ続きそうなこの状況に、内心は億劫で、何とか環境を変えられないか、もがいていた。すると、まさにグローバル化した後輩の1人が愛の手を差し伸べてくれた。

「先輩、うちに一緒に住みませんか?」

私だったら、こんなワガママそうな3歳も上の先輩と同居なんて絶対に嫌だ。しかも、その後輩が住んでいる家はみんなが憧れるDumbo(ダンボ)というオシャレ地区のど真ん中にあり、完璧にリノベーションされた、絵にかいたニューヨーカーが住んでいるような家だ。

さらに、家主と友人らしく、家賃を破格の安値に抑えてくれた。後輩の優しさが、住環境を最高レベルに押し上げてくれた。

なぜここまで助けてくれるのか、聖人でも目指しているのか、定かではない。異国の地で何とか生きようとしている私が可哀想過ぎたのかもしれない。

ただひとつ言えることは、このクラスの感謝は人生にそう何度も来ないはずなのだが、ここ1年で私の身には数え切れないくらい舞い降りている

人に助けてもらうこと、人に感謝すること、そして私が人を助けることの循環。自分と繋がっている人たちとこの循環を途切れさせないことが人生を変えていくと痛感しないではいられない。

3. 想定外の幸福と不安の振り幅

(c)Shutterstock.com

最後に、この振り幅について語りたい。誰でも予想外の展開が人生に起こることはあり得るわけだが、生活や仕事の基盤に変化がない限りは、想定内の事件が大半だ。

その2軸となる、生活と仕事の基盤を一気に変えてしまった私は、信じてもらえないかもしれないが、2週間に1回はこの身に大事件が起こった。私の友人たちは、N.Y.から急に送られてくる私の近況に、いつも驚愕している。

急にマンション管理側の手違いで、1週間以内に自宅から退去するよう言い渡されたこともあったし、会社をクビになる不安も常にゼロでは無い。

かと思えば、急に新しいビジネスを一緒にやろうと外国人投資家から誘われることもあったし、世界的ブランドから、日本人のモデルが足りないから、やってくれないか? と連絡が来たこともあった。

アメリカにいると、本当に「え??」と思う事件の連続だ。幸せも不幸せもその落差が大きすぎる。人生経験としては後から振り返ると面白いだろうが、渦中の私は良くも悪くもヘトヘトだった。

1年経って、そのヘトヘトにも慣れて来て、ようやくうまく付き合えるようになった。そして、今度はこの刺激が日常になり、常に新しいことが巻き起こるようにタネを撒くようになるほど変化した

12年も同じ会社に勤務して来た人間と思えない振り幅で、今ここに生きている。

皆さんも今年を振り返り、新たなスキルや感情を手にしたかどうか確かめてみてください。その結論こそが、来年の進むべき道を照らしてると言っていいのではないでしょうか。

◆これまでの連載はこちら

古瀬麻衣子

1984年生まれ。一橋大学卒。テレビ朝日に12年勤務。「帰れま10」などバラエティ番組プロデューサーとして奮闘。2020年、35歳で米国拠点のweb会社「Info Fresh Inc」代表取締役社長に就任。現在NY在住。日本人女性のキャリアアップをサポートする活動も独自に行なっている。

Instagram:@maiko_ok_
HP

Today’s Access Ranking

ランキング

2024.11.24

編集部のおすすめ Recommended

Follow Us!

Oggiの公式SNSで最新情報をゲット!

メールマガジン登録はこちら

最新記事のお知らせ、イベント、読者企画、豪華プレゼントなどへの応募情報をお届けします。

Oggi12月号で商品のブランド名に間違いがありました。114ページに掲載している赤のタートルニットのブランド名は、正しくは、エンリカになります。お詫びして訂正致します。
【消費税の価格表記について】 記事内の価格は基本的に総額(税込)表記です。2021年4月以前の記事に関しては税抜表記の場合もあります。

Feature

スマートフォンプレビュー

LINE公式アカウント 友だち募集中

働くすべての女性に向けて、
今すぐ役立つ「ファッション」「ビューティ」「ライフスタイル」
情報をお届けします。