筋トレは本当に体にいいですか?
リモートワークが増えてきているなか、運動量が減っている人も多いはず。さらに冬ともなれば、外に出るのがさらに億劫… 家の中でできる効果的なトレーニングはあるのでしょうか?
今回は、「最強の医師団が教える 長生きできる方法」(アスコム)の著者の一員でもあり、関節痛最先端再生医療の第一人者の齋田 良知先生に聞いてみましょう。
■齋田先生に質問! 筋トレは本当に体にいいですか?
齋田先生:人間には、自らの意思で増やそうと思って増やせる組織、鍛えたり強化したりできる組織はほとんどありません。薄毛に悩んでいる人が髪の毛を増やそうとがんばったとしても、思いどおりにいくでしょうか? 虫歯になった人が、もともとの丈夫で健康な歯に戻したいと思っても、それは可能でしょうか? もちろん答えは「ノー」です。
でも、筋肉に関してはその限りではありません。きちんとトレーニングを行えば、筋肉はつきます。それが、ほかの組織との大きな違いです。「筋肉は裏切らない」昨今、こんなキャッチフレーズをよく耳にしますが、言い得て妙と言いますか、確かにそのとおりだと思います。
加齢により筋力は年々衰えていきます。日常生活を楽しく豊かにするために、筋トレをすることは非常に良いことです。
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筋肉は裏切らない… 昨今よく聞く言葉です。ただ、筋トレするとなると、ジムに通ったり、道具を揃えなきゃいけないちょっと面倒なイメージも…?
■筋トレは、ジムでがっつり鍛えないとダメですか?
齋田先生:筋トレというと、ジムでマシンを使うイメージを持たれるかもしれませんが、ご家庭でできる範囲、しかも道具を使わなくても充分に実践可能です。テレビを観ながら10分間やるだけでも全然違います。
その際、激しく体を動かさなくてもOKです。腹式呼吸や、体をかがめておヘそをのぞき込み、お腹に少し力を入れる程度の運動をするだけでも、立派な腹筋のトレーニングになります。それなら、どなたでもできるでしょう。
腹筋は、日常生活で鍛えづらい筋肉のひとつであり、加齢とともに衰加えやすい部位でもあるので、とりわけみなさんにはおすすめしたいです。
腹筋が衰えると骨盤の位置が変わってきて、それにより腰痛が出たり、股関節が詰まったりします。股関節が詰まると、それをかばおうとして膝や足首に連鎖的に痛みが走ることもあります。腹筋の強化は、健康的な体をつくることに直結するのです。
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テレビを観ながら10分だったら気が楽ですね。どうしても食べ過ぎて太ってしまいがちなこの時期こそ、簡単な腹筋を習慣化して、冬太り解消を目指しましょ!
TOP画像/(c)Shutterstock.com
お話を伺ったのは…順天堂大学スポーツ医学・再生医療講座特任教授 齋田 良知先生
PRP注射を駆使した治療で、トップアスリートから絶大な信頼を得ている。「スポーツを通じて社会を豊かにする」ために、スポーツによるケガの予防や子供の成長サポート、中高年者の生活習慣病や運動器疾患による移動能の低下の予防など、多岐にわたる分野で活動をしている。またいわきFCクリニック院長としてスポーツサイエンスと地元の高齢者治療の両輪も追及している。