コミュニケーションが苦手という人は「うなずき」を磨くべし!
人と目を合わせて話すのが苦手、初対面の人と会話が続かない…。責任のある仕事を頼まれるOggi世代にあって、実はコミュニケーションが苦手… なんて、人にも言いにくい。
そんな人づきあいに臆病になってしまっている働く女性に、名越先生は「相手に興味をもつこと」の重要さを話してくれました。
名越さんが回答!
僕は「精神科医」「コメンテーター」「講師」と、立ち位置がはっきりすればコミュニケーションができます。ところが、ふだんの僕ときたら人見知りで本当にダメ。だからOggi世代の方が、コミュニケーションが苦手と言い出しにくいお気持ち、よくわかります。
人と目を合わせられないとか、会話が続かないと不安に思ってしまうのは、過剰適応の典型例です。
相手の期待に応えられずにがっかりされないか、相手を退屈にさせないかという、自分の感覚よりも相手が気になってしょうがないという心理状態。
これではひとりになっても頭の中が他人で占領され、ソロタイムは過ごせません。人前でも本来の自分を出せず、しんどいでしょう。
そんなコミュニケーションが苦手という人に、まずお伝えしたいのは「相手の話をじっくり聞くこと」。
人と目を合わせるのが苦手なら、相手の鼻やあごの辺りを見つめていれば相手は顔を見てくれていると感じます。沈黙が怖いという人も多いのですが、無理に自分から発言しなくても、相手の話を聞きたいという気持ちをもてれば十分。
きちんと聞いているというメッセージを伝えるために、時折うなずいてくださいね。どんな人だって無意識に聞き手を求めているものです。なので、聞き方が上手だと、話し手もとても気持ちがよくなる。
僕自身もまだ30代で自信がなかったころ、ふとしたことである方から「名越さんは“うなずきの天才”ですね。つい話したくなる」と言われたことがありました。それからは「よし! これでいこう」ってかなり気が楽に(笑)。
そうしてコミュニケーションの苦手意識が和らいだら次の段階として、相手の話に、より興味をもてるようになりましょう。
興味をもって相手の話を聞けるって大変な技能なんですよ。1から10まででなくて、ひとつでも何かに興味を示して質問をしてみてください。
自分の話に興味をもってくれているとわかれば、相手の方はあなたを忘れることはありません。
そういう意識で日々他人と接すれば、徐々に初対面の相手の話にだって興味をもつことができるようになって、会話が楽しくなるはずです。
僕のコミュニケーションの始まりが「うなずき」だったように、まずは相手を見てうなずくことから始めてください。
さて、この連載も今回で最終回です。ひとりぼっちで自分自身に向き合う時間=“ソロタイム”を意識的にもつことで、ご自身を縛りつけているあれやこれを脱ぎ捨てるお役に立てたなら幸いです。
みなさん、またどこかでお会いしましょう!
2020年Oggi7月号「名越康文の奥の『ソロ』道」より
イラスト/浅妻健司 構成/宮田典子(HATSU)
再構成/Oggi.jp編集部
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名越康文(なこし・やすふみ)
1960年、奈良県生まれ。精神科医。臨床に携わる一方で、テレビ・ラジオでコメンテーター、映画評論、漫画分析など幅広く活躍中。著書に『SOLO TIME「ひとりぼっち」こそが最強の生存戦略である』(夜間飛行)ほか多数。