他人のことで頭がいっぱいの「長女気質」にこそソロタイムが有効に作用します!
仕事に対する意欲や充実度も高まってくるOggi世代。ところが、やる気があるのかないのかわからない新入社員の教育係を任されたり、自分の業務に追われながらも後輩のサポートをしなければならないなど、何かと大忙し。
そんな中、後輩は言われたことしかやらないし、注意をすればこちらが悪かったかのような対応をとられたり…。自分ばかりが働いている気がして、イライラ&ヘトヘト…。
こんなふうにお疲れモードで働く女性の心の裏には、「長女気質」という根深い問題が隠されているのだそう。
名越さんが回答!
こういう状況でイライラしてしまうと、自分の燃やした負の感情の影響で、自身の仕事のレベルや能率が落ちることは目に見えています。
よっぽど後輩の意識が低かったり、迷惑行為がある場合は、はっきりと伝えてあげましょう。相手がすねたり反論をしてくるようなら「今後、口出ししません。その代わりカバーもしませんよ」と、キッパリ言うことが必要なこともあります。
心理学ではこれを「課題の分離」と呼びます。言われていないのに、自ら慮って相手の課題をカバーすることは、一見いいことのようですが、相手の成長をうながすという意味では、マイナスなのかも知れません。
しかし、こういう場面で悶々としてしまう方には「長女気質」な人がけっこう多いのです。あくまでも一般論なのですが、長女は幼いころから親の暗黙の期待を感じて、弟や妹の面倒をみることが当たり前という義務感に縛られていることが多いのです。
それが大人になっても他人、特に後輩や部下の行動に過剰に責任を感じて、つい手を出してしまうという行動に繫がっています。
それはもちろんひとつの長所ですが、一方では自分を追い詰めて疲弊させる原因にもなっています。
相手の責任を自分の責任と感じてしまう長女気質って、実は根が深い問題です。相手を子供扱いしてしまったり、相手とのコミュニケーション不足の原因になったりも。
それはたぶん、妹や弟がやらかしてしまったことでも、「お姉ちゃんなんだから教えてあげて」なんて大人に言われて育てられてきたことも要因でしょう。
ぜひ、これからは意識して、長女の役から適宜おりられるようになってほしいのです。長女気質の方は、よく気がつくし、面倒見がいいし、期待に応えたいと思う頑張り屋さんが多いので、頭の中は常に他人のことでいっぱい。
自分のことは後回しになってしまいがちです。そんな不器用な生き方は端から見たら愛すべき点なのですが、当の本人は充実したソロタイムを過ごせません。
定期的に長女という役割から離れ、「ひとりぼっちの時間」で本来の自分の時間を楽しんでほしいのです。そういう時間を過ごすことで、凝り固まった思考は徐々にほぐされていくでしょう。
なんでも自分で背負いすぎないように、長女のみなさんこそソロ活をぜひ実践してくださいね。
2020年Oggi5月号「名越康文の奥の『ソロ』道」より
イラスト/浅妻健司 構成/宮田典子(HATSU)
再構成/Oggi.jp編集部
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名越康文(なこし・やすふみ)
1960年、奈良県生まれ。精神科医。臨床に携わる一方で、テレビ・ラジオでコメンテーター、映画評論、漫画分析など幅広く活躍中。著書に『SOLO TIME「ひとりぼっち」こそが最強の生存戦略である』(夜間飛行)ほか多数。