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LIFESTYLE

2020.12.27

年末年始休み中に“美意識”をこっそり高めるなら!

書評家の石井千湖さんが、テーマごとにおすすめ本を紹介してくれる人気連載。今回のテーマは「美意識」。

新鮮なアプローチで「美意識」に触れる読書体験を!

暮らしの中、あるいは街中などの身近にある美しさに気づける自分でいたい。そういった美意識を育んでくれるような、刺激をもらえる本の紹介します。

絵画から物語を見つける新発想の短編小説画集

『短編画廊 絵から生まれた17の物語』

服でも雑貨でもセンスのいいものを選べる人になりたい。美意識を育むためにはアートを観るのがいちばんだけど、見方がわからない。そんな人にローレンス・ブロック編集の『短編画廊 絵から生まれた17の物語』をおすすめしたい。

ブロックをはじめとする17人の作家が、アメリカを代表する名画家エドワード・ホッパーの作品を題材に小説を書き下ろしている。モチーフになった作品が各短編の扉絵になっていて、画集としても楽しめる一冊だ。

たとえば「ガーリー・ショウ」は、裸で舞台を歩いている女性の絵がモチーフだ。何か強い想いを秘めていそうな表情と、堂々とした足どりが印象に残る。この絵からミステリー作家のミーガン・アボットは、広告会社に勤める女性の物語を紡ぎだす。会社員の彼女がショウに出演するまでの経緯がスリリングで、鮮烈なガール・ミーツ・ガールの話にもなっている。

『シャイニング』や『IT』などの名作で知られるスティーヴン・キングの「音楽室」は、ある恐ろしい犯罪の話だ。緑色の壁紙が貼られた部屋で新聞を読む男とピアノの鍵盤に触る女の絵から生まれた物語。一見、平凡な夫婦が暮らす家に響く「どすん」という音の正体とは……。結びの文章の明るさにぞっとしてしまう。

ホッパーの絵はありふれた日常の風景を切り取ったものが多いのに、どこか謎めいたところがある。その謎を掘り下げて描かれた場面の過去と未来を想像すると、絵画鑑賞がもっと面白くなる。本の口絵の「コッド岬の朝」にだけは小説がついていないのもいい。それは読者に物語を見つけてもらうのを待っている絵なのだ。

短編画廊 絵から生まれた17の物語』(ハーパーコリンズ・ジャパン)
著/ローレンス・ブロックほか 訳/田口俊樹ほか
窓辺にたたずむ男と本を読む女の絵から、驚くべきスパイ事件が浮かび上がるジェフリー・ディーヴァーの「11月10日に発生した事件につきまして」、自販機食堂で起こったトラブルの真相を描くローレンス・ブロックの「オートマットの秋」など、17編を収める短編集。

身近な雑誌を素材に新しい世界を作る

『美しき瞬間』

岡上淑子は、高知県在住91歳のコラージュアーティスト。『美しき瞬間』は、代表作を収めた作品集だ。

岡上さんが素材にしているのは外国のグラビア雑誌。人やモノの写真をバラバラに切って糊で紙に貼りつけている。ドレスをまとった美女が鳥頭の怪物に寄り添われていたり、花束と猫が宙に浮かんでいたり。雑誌という身近なものから、こんなに幻想的な世界をつくり出すことができるなんて、ときっと驚かずにはいられない。

自分だったら手もちの写真を用いて、どんな絵を描くだろうか。ぜひ、考えてみてください。

美しき瞬間』(河出書房新社)
著/岡上淑子
岡上淑子は、日本におけるシュルレアリスム運動を先導した瀧口修造にその才能を見出された人物。結婚後、制作をやめてしまったため存在が知られていなかったが、近年、再評価が進んでいる。本書はハンディな作品集。各作品につけられた言葉も詩のように美しい。

2019年Oggi9月号「『女』を読む」より
撮影/よねくらりょう 構成/宮田典子(HATSU)
再構成/Oggi.jp編集部

TOP画像/(c)Shutterstock.com

石井千湖

いしい・ちこ/書評家。大学卒業後、約8年間の書店勤務を経て、現在は新聞や雑誌で主に小説を紹介している。著書に『文豪たちの友情』、共著に『世界の8大文学賞』『きっとあなたは、あの本が好き。』がある(すべて立東舎)。


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