子供がほしいけど教育費が心配「現代の子育てとお金事情」をFPが教えます!
女性ファッション誌に「おしゃれママ」が登場するようになってどのくらいが経つでしょうか。筆者の記憶する限り、20年前はいわゆるコンサバ系主流で、高級ブランドを身にまとった若いモデルさんのページが多く、少なくとも「ママ」がおしゃれアイコンになることはない時代でした。
「ママ」があこがれの存在になるのは素敵なことです。不妊治療というワードをもはや隠す必要もなくなった令和時代。今回は10代で子どもを授かった筆者をふまえて、現代の子育てにまつわるお金事情をお話しましょう。
◆一人前にさせるまでに2,000万円必要?!
ここ10年ほどFPの家計相談等では、子供の教育費は一口に1,000万円、とよく言われていました。しかし子供にかかる費用は教育費だけではなく、日々の生活費(食費、子供部屋を確保する住居費、お小遣い等)が毎月かかり、正確には「教育費」というまとめ方ではなく「社会人までにかかる費用」と言った方がよいでしょう。
その「社会人までにかかる費用」の中で、教育費が占める割合ですが、平成30年度の調査結果は次の図の通りでした。
▲文部科学省HPより
注意していただきたいのは、この数字には「大学の費用」「日々の生活費」はふくまれていないということ。生活費(特に食費や雑費など)の物価の上昇を、読者の皆さんは感じませんか?
通う学校が公立か私立かで、随分と金額に差がありますが、生活費も含めると、先ほど「ここ10年程は1,000万円」と言ったのに対して、現在では2,000万円、というのが筆者の肌感覚であり、データから見た実態でもあるのです。
ちなみにですが、平成14年度の数字と30年度の数字を比較してみると、ケース1では7%増、ケース2では14%増、ケース3では4%増、ケース4では10%増、ケース5では11%増(いずれも四捨五入)となっています。
年々、公立私立ともに教育費が増えている現状を鑑みれば、「これから」子供をつくる夫婦には、更なる準備が必要とお分かりいただけるでしょう。
◆子育ては何とかなる! でも金融リテラシーを身に付けるのは必須
千万台の数字を見て、冷や汗が出た、またはモチベーションダウンした方のために、お伝えしておきたいことがあります。筆者の肩書を外してお聞きいただきたいのですが、
子育てとそのお金に関しては… なんとかなるものです(笑)
根拠となるデータがあるわけでもありませんが、何とかなるのは、何とかしようと、親となる皆さんが努力をするからです。あくまでも20年余りの年月、積み重なった金額が多額だという話ですから、それほど驚き、拒否反応をする必要はありません。年収600万円の方が3年働けば、正味所得で1,200万円くらいです。
共働きが当たり前の現代で、夫婦どちらかの給料の数年分を、子供を社会人になるまでの費用に充てることは、それほど難しいことではないでしょう。
またお金には代えがたい「経験」と「自身の成長」を子育てからは得られます。個人的に思うことですが、子供を育てるということは、自分が育てられているようなものだと、感じるものです。子供が親を、親にしてくれていると。
お金の話に戻しますと、これから親になろうと考えている読者の方には、ぜひ金融リテラシーをしっかり身に付けていただきたいと思います。
なぜなら、金利や株式を取り巻く市場は、昔とは比べ物にならないくらい早いスピードで動き、市場の常識は覆され、年々金融商品が複雑になっているからです。
私たちの親の世代は、ピーク時には銀行預金で、個人でも長期定期などは8%を超える金利がついていた時代に、子育てをしてきました。つまり、ある程度お金を持っていれば、置いておくだけで勝手にお金が増えていたのです。しかし今はそんなこと、ありませんよね。時代が全く違うのです。給料の約3割近くが社会保険料によって手元に入らないことを、もしかしたらご両親は、知らないかもしれません。
加えて、子育てが終わった後も、私たちの人生は続きます。資産運用の必然性はなにも子供にかかる費用の為だけではありません。
変わりゆく時代に、せめて見通しには余裕をもって、女性が自立してゆくために、知を得て行動し、豊かな人生を築いてほしいと思います。
TOP画像/(c)Shutterstock.com
佐々木FP事務所 代表 佐々木愛子
ファイナンシャルプランナー(AFP)、証券外務員Ⅰ種。
国内外の保険会社で8年以上営業、証券IFAを経験後、リーマンショック後の超低金利時代、リテール営業を中心に500世帯以上と契約を結ぶ。
FPとして10代のうちから金融、経済について学ぶ大切さを訴え活動中。
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