「配布」と「配付」それぞれの使い分けと意味
早速ですが、問題です!
「会議資料は席上にて“ハイフ”します」
このときのハイフはどちらでしょうか?
A. 配布
B. 配付
みなさん、一度考えてみてください。
◆正解は、Bの配付。意味は?
[B]の配付とは、「配って各人の手に渡すこと」をいいます。
“付”には手に持っているものを人に渡すという意味があり、特定の人に渡す場合に使います。
会議の資料は会議の参加者という特定の人に渡すため、配付になるんですね。
◆配布の意味は?
一方の[A]の配布とは「配って広く行き渡らせること」をいいます。
“布”は広い範囲に行き渡らせるという意味があり、不特定多数の人に対し、広く行き渡らせる場合に使います。布の意味を踏まえると、布告や公布など一般に広く知らせる意味をもつ言葉に布が使われているのも納得ですよね。
また、コロナ禍で各自治体が観光応援の一環としてクーポンを発行し、住民に“配布”していますね。駅前などで号外が配られる場合にも配布が使われます。
◆法令では原則、配布を使う
以上のように、意味が異なる「配布」と「配付」なのですが、法令(法令における漢字使用等について)においては、『「配付」は交付税及び譲与税配付金特別会計のような特別な場合についてのみ用いる。それ以外の場合は「配布」を用いる』と定められており、原則として配布を使うことになっています。
対象者が不特定多数であっても、特定者であっても配布を使うので、紛らわしいようにも思えますが、法令は広く知らしめられるものであることを踏まえると、配付を使う場合が限定的であり、あえて統一したのかもしれませんね。
いかがでしたか? 漢字の組み合わせとしては難しくないので、学生時代に習っていた言葉なのかもしれませんが、意識して使い分けるようになるのは社会人になってからかも。そのような言葉の違いを意識して使いこなしていきたいですね。
言葉の意味/デジタル大辞泉
鶴田初芽
都内在住のOLライター。マナーインストラクターであり、実用マナー検定準一級や敬語力検定準一級など、ビジネスにおけるマナーや、マネーに関する資格(2級ファイナンシャル・プランニング技能士、金融コンプライアンスオフィサー、マイナンバー保護オフィサー)などを保有。丁寧な暮らしに憧れ、断捨離修行中!