【目次】
・「平素」の意味と使うシチュエーションとは?
・「平素」の使い方を例文でチェック
・「平素」を使う時の注意点とは?
・「平素」の類語を例文でチェック
・最後に
「平素」の意味と使うシチュエーションとは?
社会人になると、普段馴染みのない言葉を使わなければならないことが多くなります。友人への電話やメールならば、堅苦しい挨拶など抜きにして、いきなり要件を話したり書けば良いところなのですが、社会人ともなりますとそうは参りません。「先ずは挨拶に始まり、お礼やお願いで終わる」が常識となります。
その代表的な「挨拶」の定型句が「平素」なのですが、定型文だから「決まり事」のように使っている方もおられるかもしれませんね。頻繁に使う「平素」について、その意味や使い方を正しく理解しておきましょう。この記事では、「平素」の具体的な使用例を示しながら解説しております。お役立てください。
◆平素の意味
「平素」の読み方は、「へいそ」と読みます。言葉の意味は、つねひごろ・ふだん・平生(へいぜい)ということです。基本的な使い方として、ビジネス文書でよく目にするのは「平素より」「平素から」といった使い方になります。また、しばしば副詞的な用い方もして、「平素の行い」「平素は静かな町だ」のような表現になります。
◆平素を使うシチュエーション
「平素」の意味を理解したところで、「平素」を使うシチュエーションについて見ていきましょう。「平素」という言葉は、口語表現として使われることが少ないです。改まった感じ、かしこまった感じや引き締まった印象を与える言葉でもありますね。そのため、公式、非公式、プライベート、ビジネスに関わらず様々な文書に「平素」は使用されます。
文書の種類としては、挨拶状(年末・年始、組織変更、異動、退職など)、案内状(イベント、催事、新商品発売など)、連絡・お知らせ(店舗移動、閉店など)、御礼や詫び状などなど様々です。気心の知れた、気安い人であれば「何時も」とか「日頃は」と表現するところを、目上の方や日頃お世話になっている方々であれば、「平素」を使うことで襟を正し改まった感じを演出する事ができるでしょう。
以前から親しいお付き合いの方に対しても「平素より」を使うと、あなたの社会人としての成長を感じていただけるかもしれませんね。
「平素」の使い方を例文でチェック
「平素」を使うシチュエーションをイメージしながら、幾つか具体的な文例をご紹介しましょう。名詞として使用する「平素」と、副詞として用いる「平素」では、表現がかなり異なってきます。
1:「平素より大変お世話になっています」
このフレーズは、ビジネス文章やメールの書き出しとして、定型句のように使用されます。「平素より大変お世話になっています」の後ろには、「さて」と一拍おいて要件が続くことになります。要件は、挨拶、案内、通知、お詫び、御礼、感謝など様々な内容になります。また「平素より」には「過去から現在に至る」継続的な期間を表す意味合いも含まれております。
2:「平素は、格別のお引き立てを賜り厚く御礼申しあげます」
「平素より」と同様に、ビジネス文章の定型文としてよく用いられます。「平素より」との違いは過去形である点です。つまり「過去にあったこと」へ重きをおいた意味合いが強くなります。
3:「平素の努力が実り、過去最高の記録を達成する事ができた」
この場合の「平素」は、副詞として用いた例になります。「普段の」とか「いつもの」という言葉に置き換える事ができます。
「平素」を使う時の注意点とは?
ビジネスシーンでは、頻繁に使用することになる「平素」ですが、使う際に注意しなければならない事が、幾つかありますので押さえておきましょう。
◆「平素」を使う相手に注意
「平素」は、つねひごろ・ふだん・平生(へいぜい)という意味でしたね。ですから、普段まったく接触しない人や初対面の相手への挨拶に「平素」を使うのは不適切ということになりますので注意しましょう。
しかし、普段まったく接触しない人や初対面の相手でも「平素」を使う場合が想定できます。例えば、通信販売などで長年自社の商品やサービスを利用している人と、何らかの理由で初めて接触する場合、「平素は、弊社の商品をご愛顧いただきありがとうございます」などの表現は可能になりますよね。
ビジネスシーンでは、いろいろな人と接触することになります。相手がどのような人かを確認した上で、適切な言葉使うようにしましょう。
◆「平素」に続く言葉に注意、何を書くべきか
「平素」という言葉自体が、襟を正し改まった表現になりますので、「平素」に続く言葉にも丁寧でビジネス形式な表現が望ましいでしょう。
ですから「平素から世話になっています」「平素より購入いただいている」といったような、少々砕けた表現に「平素」を用いますと、相手によっては違和感を持たれる可能性があります。十分に気をつけて使うようにしましょう。
「平素」の類語を例文でチェック
「平素」と意味を同じくする言葉をご紹介します。具体的な例文とともにご覧ください。
1:普段
「普段」の読み方は、「ふだん」と読みます。「普段」は、いつも、とか、日ごろから、ある状態であるという意味になります。
〈例文〉「普段から、母のことを気に掛けていただき感謝しております」
近所の方や、日常的にお付き合いのある方との会話や挨拶などにも、使用する事ができます。
2:常々
「常々」の読み方は、「つねづね」と読みます。「常々」は、ふだん、いつも、つねひごろという意味になります。
〈例文〉「あなたには、常々言い聞かせているでしょ。どうしてできないのですか?」
「常々」も、日常の会話でもよく使われる言葉ですので、覚えておきましょう。
3:平生
「平生」の読み方は、「へいぜい」と読みます。「平生」は、ふだん、つねひごろという意味になります。
〈例文〉「今日は、緊張しているせいか、平生とは少し態度が異なる」
最後に
ビジネス文章やメールの書き出しには、定型文としてよく目にする「平素」ですが、使い方など知らなかったこともあったのではないでしょうか? よく目にする言葉、見慣れている言葉だからこそ、正しく理解し適切に使用する必要があるのかもしれませんね。
そうでなければ、恥ずかしい思いをしたり、社会人としての常識レベルを疑われることにもなります。この記事でご紹介した「平素」を含めて、見慣れている言葉ほど、正しい理解をしておくようにしましょう。
TOP画像/(c)Shutterstock.com