ポストコロナ? ストレスと迷走神経反射
新型コロナウイルスの感染拡大が少し落ち着いて緊急事態宣言が解除された。東京では、朝の通勤ラッシュが戻りつつある様な気配がある。
5月28日の朝、「車内で非常通報ボタンが押されました」という緊急事態宣言が発せられた。「3号車のお客様、渋谷駅到着次第、係員が駆けつけますので、もう少々お待ちください」。私は4号車にいた。以前なら、車内での移動など不可能だったが見に行った(見に行けた)。細身のスーツ姿の若い兄さんが具合悪そうにしゃがみ込んでいたが、私はなすすべもなく静観。今日は、ストレスと迷走神経反射について書こうと思う。
◆ストレスから出る迷走神経反射
個人的には、私は現場で研究するのが主な仕事で、テレワークや在宅勤務という形式での勤務は不可能。ただし、外出自粛期間だったこの2ヶ月は混雑無しのストレスフリー快適着席通勤ができた。通勤ラッシュは多くの人にとってストレスである。今後、通勤ラッシュが再び日常の風景となると同時に、むしむしと暑い日になると、車内で気分が悪くなる人が多発するのは明らか。
小・中学生の頃、朝の校庭での朝礼で、気分悪くなってしゃがみ込んだり、バターンと仰向けに倒れた友達や仲間を見ませんでしたか? 保健室に運ばれて保健室の先生が必ず聞くのは「朝ご飯食べた?」だと思います。でも朝ご飯とはなんの関係もないんです。実は、ストレスに対する人間の反射で、「迷走神経反射」という。全身の血流維持ができなくなって起こる一時的な現象です。
緊張状態とか、気が張り詰める状況が続くと、ヒトはそのストレスに反応しきれなくなります。緊張に対して「もういいわ、もうアカン」と血管が諦めてしまう状態。一般によく使われるのは「自律神経がやられた」という状態です。
◆ストレスチェック
ストレスと一言でいっても実に色んなことがストレスの要因になります。暑さ、寒さ、3密、上司、部下、隣のヒト、試験、締め切り、空腹、などなど、全てストレスになるのです。
最近は労働環境管理に対する多くの法的規制もできてきて、ストレスチェックなるものも行われている企業もあるそうだが、そのストレスチェック自体もストレスになりかねない。
でも、最新の「ストレス」チェックって面白い質問が多いんです。今までのような、陰気な内容の「ストレスチェック」でストレス感じるよりも、この質問で社員の「イキイキ度」を測って得点あげる工夫する方が、企業の業績が大幅に上がることが、わかってきているんです。試してみてください。
□ 仕事をしていると、活力がみなぎるように感じる?
□ 自分の仕事に誇りを感じる?
□ 私達の職場では、お互いに理解し認め合っている?
この、たった3つの、質問への回答の得点アップは、テレワークでも通勤ラッシュを回避しても可能そうに思います。
私自身は、今後も、混雑のないストレスフリー通勤を希望しています。
TOP画像/(c)Shutterstock.com
国立がん研究センター研究所 がん幹細胞研究分野分野長 増富健吉
1995年 金沢大学医学部卒業、2000年 医学博士。
2001年-2007年 ハーバード大学医学部Dana-Farber癌研究所。2007年より現職。
専門は、分子腫瘍学、RNA生物学および内科学。がん細胞の増殖と、コロナウイルスを含むRNAウイルスの増殖に共通の仕組みがあることを突き止めており、双方に効く治療薬の開発が可能かもしれないと考えている。
専門分野:分子腫瘍学、RNAウイルス学、RNAの生化学、内科学。
趣味:筋トレ