アフターコロナで考えておきたい、パーソナルスペースのこと
新型コロナウィルス感染予防の一環として意識するようになったソーシャルディスタンス。1〜2m距離をとることについて、広いと感じる? 狭いと感じる?
◆みんなそれぞれパーソナルスペースをもっている
パーソナルスペースとは、自分だけの空間を保ちたい、他人に侵入して欲しくないと感じる範囲のことです。縄張りと表現するとイメージが伝わるでしょうか。対人距離ともいうことがあります。
パーソナルスペースは誰しももっていますが、その広さはその人それぞれ異なりますし、状況や相手との親しさなどによっても変化します。
例えば、電車の席やエレベーターの中など、知らない方と一緒になったとき、スペースがあいていれば距離を置きますよね。これは無意識にパーソナルスペースを確保しているから。逆にスペースが空いているのに隣や前に来られるとなぜ? と警戒してしまうのも、パーソナルスペースに入ってこられたことによるものなんですね。
これが同僚など親しい相手だと、どんなにスペースがあいていても、距離を置かれると、避けられている…? と感じたりします。相手や状況によってパーソナルスペースの範囲が変わり、相手との距離の近さ遠さへの感じ方も変わってくるんですね。
◆パーソナルスペースを踏まえた距離の取り方は4種類
TPOに合わせたパーソナルスペースを踏まえた距離の取り方には、4種類あるといわれています。
1. 公衆距離
講演会などによるコミュニケーションを想定した距離をいいます。3.5m以上とされ、マイクがあった方が良い距離で、話す側と聞く側が分かれている場合が多いです。また、公共の場において、他人が居合わせる場合も、公衆距離を保つとストレスや不快感がないといわれています。
2. 社会的距離
会社において上司・同僚や取引先などのお客さまとのコミュニケーションを想定した距離をいいます。1.2m〜3.5mとされ、相手に手を伸ばしても手が触れることはないけれど、大声でなくても声は届く距離です。
1.2m〜2.1mが会社の上司や同僚など、2.1m〜3.5mがお客さまや初対面の方などとの適切な距離感といわれています。
3. 個体距離
親しい同僚や友人などとのコミュニケーションを想定した距離をいいます。45cm〜1.2mとされ、相手に手を伸ばせば手が触れる距離であり、お互いの表情も読み取ることができます。
4. 密接距離
家族や恋人とのコミュニケーションを想定した距離を言います。0cm〜45cmとされ、手を伸ばさなくてもボディタッチができる距離であり、家族などの特別に親しい人以外だと不快に感じる距離感です。
◆会社ではソーシャルディスタンスがちょうどいい?
今回の新型コロナウィルス予防対応の一環で、ソーシャルディスタンスとして1〜2mの距離を取ることが推奨されています。会社内で座席位置などを工夫されているところもあるかと思います。
これはちょうど社会的距離の範囲内であり、上司との距離ができてしまい、コミュニケーションが取りにくい! などと感じる場面は意外にも少ないのではないでしょうか。むしろ今までに比べ、一定の距離をとるようになったことで丁度良いと感じる方もいらっしゃるかも…。一方、仲良しの同僚とは少し距離を感じるときもあるかもしれませんね。
◆パーソナルスペースは人それぞれ
人によってパーソナルスペースの範囲は異なります。一般的には性格が内向的な人はパーソナルスペースが広く、外交的な人はパーソナルスペースが狭いといわれています。とはいえ、パーソナルスペースは目に見えないため、難しいですよね。ひとつの目安として、会社においては社会的距離を意識した距離を保つことで、相手に不快感やストレスを与えることなく、やりとりができるといえますね。
相手のパーソナルスペースだけでなく、自身のパーソナルスペースの広さを意識しておくと、自分の傾向がわかり、相手に不快に感じられる可能性を低くすることができますよ。
ソーシャルディスタンスを意識して過ごす日々が続いているため、1〜2mの距離を取ることに慣れたアフターコロナでは、パーソナルスペースが今までより広くなることもあるかもしれません。近っ! と感じることが増えたら、それはパーソナルスペースの変化が関係しているかも。いつもと違う感覚に戸惑うこともあるかもしれませんが、パーソナルスペースは環境によっても変化するものですので、心配無用ですよ。
TOP画像/(c)Shutterstock.com
鶴田初芽
都内在住のOLライター。マナーインストラクターであり、実用マナー検定準一級や敬語力検定準一級など、ビジネスにおけるマナーや、マネーに関する資格(2級ファイナンシャル・プランニング技能士、金融コンプライアンスオフィサー、マイナンバー保護オフィサー)などを保有。丁寧な暮らしに憧れ、断捨離修行中!