家は買うもの? 借りるもの? そろそろ真剣に考えたい!
ファイナンシャルプランナー(以下、FP)と賃貸物件の大家業を生業としているモンコメリーです。働き盛りのみなさんの住居に関する不安や悩み、お金にまつわるあれこれをお届けしています。
家を買うのと、借りるのと、どっちの方がいいのか? と迷いを持たれたことはありませんか?
買う買わないはなんとなく決めているけど、「オリンピックが終わったら安くなる…?」、「このまま独身かもしれないから、買わなくてはと思うけれど…」、「いつが買い時なのか分からない」、「これから人口減って行くと思うと買うのも不安」、「実家があるし…」、「賃貸の方が状況に応じて柔軟だし」など、それぞれの事情の中での悩みや判断できないことがあるかと思います。
かくいう私はどっちの立場で考えているかというと。現在44歳、初めて自宅マンションを買った26歳から今まで18年間で、4回も自宅を買いました。なので、圧倒的に買う派です。
そのために膨大な物件情報を見て、100以上の物件を見に行って、不動産営業マン何十人にも会って、セミナーや本で勉強してきました。おまけにファイナンシャルプランナー(以下、FP)として、家を購入した人達の話を山ほど聞いて沢山の家計の計算してきました。
家は買うもの! 買わないと損! です
これまでの経験から得た私の結論はズバリ…「家は買う以外考えられないものである」です。
私がなぜ4回も自宅を買ったのか? それはどう計算しても、いや大した計算をしなくても「買うのが圧倒的に有利」だとしか結論が見えてこないからです。むしろ「買わないと損する」「買わないなんて怖すぎる」とさえ思います。
とはいえ、買った方が良いと感じていても、いまいち踏み切れないという方も多くいらっしゃいます。迷いの一番の理由は、自宅を買う=大きな負債を負う(借金をする)というイメージで、それが心の負担として重くのしかかるからでしょう。
不景気になるとマスコミが「住宅ローンが負担で…」というような声を取り上げて、その人の生活が苦しいのはあたかも住宅ローン(負債)のせいかのような報道をするから余計そういうイメージがついてしまうわけです。
でも冷静に考えてみると、その人の生活が苦しいのは収入が足りないからで、住宅ローン自体が問題なのではありません。もし、その方が「賃貸住宅」に住んでいたとしたら、その支払いは問題なかったのでしょうか? 賃貸の場合も賃料という立派な支払い義務はありますよね。そればかりか、金額の大小でいえば同条件の家で比べた場合、「買うより借りた方が高い」ケースの方が多いという事実もあります。
また、賃貸なら苦しくなったら安いところに引越せるのが良いという意見もありますが、そんな大変な時に転居費数十万円という余計な出費は痛手ですし、より遠くに、狭く、古くという厳しい判断を伴うわけで、考えているほど簡単なことではありません。
つまり、買ったにしろ借りたにしろ住宅費の支払いは生じるわけで、そこに違いはありません。ただし、住宅ローンは“35年間返済”という支払いを縛られるイメージが強く、一方賃貸にはその固定的な負担のイメージはありません。ですから、賃貸の方が負担が少ないかのような心理的なトリックがそこには存在してしまっているのです。
家を買わずに「賃貸を暮らし続ける」場合に生じる義務は?
“35年間”という負担イメージのない「賃貸物件に暮らし続ける」ことが、実際はどんな義務を負うのかを具体的に見てみましょう。
例えば、今払っている家賃が月10万円だとします(ご自身の家賃で計算してみてください)。1年の家賃は10万×12ヶ月=120万円ですね。そうすると5年で600万円、10年で1200万円支払うことになります。
現在35歳の女性が仮に95歳まで生きたとしたら、あと60年間家賃を払い続ける計算になるので、その額は60年で7200万円にのぼることになります(話が複雑になるのでその間の家賃の変化はないと仮定します)。
さらにその間、2年おきの更新料や10年毎の引越しでかかる諸経費を600万円位と仮定すると(更新料30回×10万円=300万円+引越し60年で6回×50万円=300万円)、家賃合計と合わせて総額7800万円ものお金を借りている家に注ぐことになります。
どうですか? それだけの金額を支払うことを認識して覚悟を持って賃貸に住んでますか?
ここで 注目して欲しいのは、家を買って住宅ローンを払わなくても家賃は必ずかかるということ。別の言い方をすると、将来に渡って払うことが確定している払わないわけにはいかないお金であるという事。
これって、負債と何か違いますか? 家賃も立派な負債と言い換えてもおかしくないですよね。そしてその“負債総額(前述の例では7800万円)”は、コミットをするにはあまりに大きな金額であるにもかかわらず、多くの場合そんな認識もなく、実にあいまいでいい加減な判断がすでに進行し続けてしまっているという事です。
生きて生活していく限り、住む場所は必要であり、その住居にはお金がかかります。しかしその支払っている住宅費は、完全な負債にも立派な資産になり得るものなのです。そしてそれは、自分自身の判断で選択できるものだとしたら、その判断は人生においてとてもとても重要であると思いませんか? だとしたら、どういう判断基準を持つべきなのか、を明確にしたいですよね。
次回は、「なぜ賃貸でなく購入が良いのか」を自分で判断できるようにために、雑誌やネットの記事でよく目にする「“賃貸 vs 購入比較”のウソ」について解説していこうと思います。
ファイナンシャルプランナー兼アパート大家 モンコメリー
1976年生まれの44歳。26歳で最初の自宅マンションを購入。以降、不動産の凄さに目覚め、自宅は合計4回購入(新宿区、港区の都心)。
その後アパート投資、太陽光投資、民泊、スペース貸事業など様々な不動産関連投資を手掛けていく。
その経験を活かし“不動産にめっぽう強い”ファイナンシャルプランナー(FP)として、個人・法人の資産形成、財務改善、相続のアドバイザーとして活動している。