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2020.05.21

コロナの影響でこの先、不動産価格はどうなる? 家は買うべき?

ファイナンシャルプランナー兼、賃貸物件の大家業のエキスパートでもあるモンコメリーさんによる不動産コラム#2。今回は「コロナの不動産価格への影響」をフィーチャー!

ファイナンシャルプランナー兼アパート大家 モンコメリー

コロナの影響で先行きが不安… この状況でも家は買うべき?

ファイナンシャルプランナー(以下、FP)と賃貸物件の大家業を生業としているモンコメリーです。働き盛りのみなさんの住居に関する不安や悩み、お金にまつわるあれこれをお届けしています。

前回の「家は買うor借りる… どちらが賢い選択?」で、私個人の意見として「買うのが圧倒的に有利」とお伝えしました。ただ読者の皆さんの中には、コロナショックで先行き不透明な危機状況下で、「景気がとても悪くなりそうな時に家を買って大丈夫?」と思う方もいらっしゃると思います。今回はその疑問や不安にお答えします。

いま世界中がコロナショックと言われる経済危機を迎えています。

ネットやニュース番組では連日、世界的な景気低迷や街の飲食や小売業、旅館ホテル等の観光産業の経営難や倒産が報道され、多くの人が仕事の先行きや生活不安を感じています。

(c)Shutterstock.com

今後の影響について正確な予測は難しいところですが、日本の4倍の経済規模を誇る米国のGDP(国内総生産)の4-6月は▲24%と驚異的な経済影響が予測され、各国経済も同様の深刻な影響を受けると想定されています。

では、こんな時に「家を買う」のは果たしてどうなのか? という疑問に対し、筆者は『普遍的な選択として“買う”事を強く推奨する』と考えています。むしろこれだけの経済危機を迎えている今だからこそ、買う事を真剣に考えた方が良いとも思っています。

ただ、ひとつ誤解して欲しくないのは相場的に『今が買い時』というのではなく、あくまで今、家を買う事を『考えた方が良い』です。

なぜ今、“買う事を考えた方が良い”のか?

それは、買う事を真剣に考えない限りは自宅不動産の動向をよく見ようとしないからです。ネットや不動産営業マンを通して物件情報の収集、内見、銀行へのローン打診などは、本気で買おうとしている人以外絶対にしませんよね。興味半分ではとても長続きしません。買う事を真剣に考え行動し色々悩む一方で、そこでの暮らしに胸を膨らませて日々物件を探すからこそ、まとまった情報を手にすることが出来るのです。

すると次第に、何が良いのかさっぱり分からなかった人も物件毎の微妙な差が見え始め、これは安い高い、条件の良し悪し、自分の中の優先度や判断基準が見えてきます。さらに行くと直感的に自分ならではのお買い得感が見えるようになります。よく不動産は難しいと言われますが、実際は勝手にそう思い込んでいるだけで全くそんなことはありません。

不動産とスーパーのキャベツの相場感は同レベル!?

例えば、普段スーパーに全く行かない人が、突然店頭でキャベツの値段を見ても安いのか高いのかさっぱり分からないのと同じように、不動産の値段を初めてみた人に価格の妥当性が見当がつかないのは当たり前のこと。

ですが一旦スーパーに行くようになると、「今日はキャベツが安いのね」と徐々に分かり始め、おまけに「昨日雨が降ったからかしら?」なんて理由も分析し始めるわけです。

(c)Shutterstock.com

実はそれと全く一緒。スーパーの野菜の値段を感じるのと不動産の相場を把握するのは全く同じ原理で、同程度の難易度なのです。ただ単に頻繁に継続して見ているから差が見えてくるだけでなにも難しいことはない。スーパーのキャベツと不動産は一緒なんです。現に普段スーパーに行かない私は、良かれと思って買ってきたキャベツが「高い!」と妻に叱られます。

おまけに野菜の場合は「このキュウリ、超欲しい!」などと、テンションが上がることはまずないわけですが、自宅不動産は違います。欲しくて欲しくて胸がどきどきざわざわ、恋愛のようにときめき、夢中になってしまう。必要だから買うキャベツより、憧れの生活をもたらす不動産の方が遥かに興味を持って観察するわけです。

経済危機だからこそ相場が胸に刻まれる

過去の経済危機では、実績を見る限り不動産の価格は大きく下落しています。リーマンショックの時に都心部のマンション価格は平均40%の下落、23区でも20%位の下落が起きました。(そしてそれが後に元に戻るのがポイント)

もちろん、不動産の騰落は経済・政治・金融など複合的な要因でおこるため、今回のコロナショックで同様の値動きをするのかはわかりません。ただ、10年に一度といわれる経済危機で不動産の価格が大きく下がる可能性がある中で、現場に居て現物を手に取り、肌で感じることはとても得難い機会です。

値下がりにしろ値上がりにしろ、大きな相場のうねりを目の当たりにしながら、その瞬間を共有する人達(家族友人・売主・不動産営業マン・銀行のローン担当…)の言動や感情の入り交じった空気を体感するからこそ、経験知やノウハウとして頭だけでなく胸にも深く刻まれるのです。これは、データやグラフを見て分析したり、後から振り返って市場原理を解読しようとする人には決して分かり得ない独自の実感知なのです。

もちろんその中で、今まで手が届かないと思っていた憧れの物件が下落相場において手に届く可能性もあるわけで、それも含めたこの時期の経験が人生にもたらすメリットや影響は計り知れず、正常時には絶対に得られないものです。

本当に相場は下落する? この先、見えてくるものとは?

ここまで筆者は今後の自宅不動産の価格が大きく下落することを前提に話しています。この点ついては各分野の専門家によって真逆の予測も含めて様々な意見や根拠が出されているところなのであくまで私見としておきます。

ただ、そう考える背景はリーマンショックの渦中に2件目の家を買った時に五感で感じた経験知にあります。その時マンション流通・販売の現場がどんな様子だったのかを肌で実感した私には、今の気配から下るという直感が強く働きます。

ただ、詳しく理由を書き出すと長くなるのでそれはまた別の機会に語るとして、ここではリーマンショックの時に起きた事を少し紹介したいと思います。

当時2008年9月頃、私はちょうど2件目のマンションを探している時期でした。それまで2007年〜2008年にかけて、都心はREIT(不動産投資信託)の組成を背景にした不動産バブルに湧いていて、価格の異常な高騰に欲しい物件には手が出ない状態でした。そんな折、リーマンショックが起きて株価が大暴落。そして都心のマンションも買い手がさーっと引き、価格が徐々に下がり始めたのです。

(c)Shutterstock.com

そんな矢先、計画段階から欲しくて目をつけていた麻布十番の再開発タワーマンションの販売が開始。おそらく高くて買えないだろうなぁとダメ元でモデルルームを訪問したところ、価格表を見せられてビックリ! それまで新築・中古と何十件も見てきたものとは一段も二段も低い価格帯の部屋がいくつもあったのです。

マンション市場が急速に冷え込む中で、売り出されたその新築、完成するまでの2年間に550戸全てを売り切らなければならない前提がありました。そうなると不運なタイミングで値付けする販売元のマンションメーカーは相場の更なる下落と売行きを案じて期間内に売り切れる価格に設定せざるを得ません。

一方中古マンションは相場に鈍感な素人がたった1軒を希望価格を持ちながら売るので意外と一気には下がらない。相場より高いまま結果的に売れなかった物件も沢山あるわけです。そういった新築と中古の売り手のメカニズムの違いが如実に出た瞬間でした。

このようなは、価格変動の因果関係後から振り返ってのデータ分析や、「新築・中古の平均」「2008年以降の相場」「都心5区も区別なく都内のマンション」といった大きな単位を傾向で情報を扱うアナリストやコンサルタント、ましてや不動産業者には到底気づけないこと。その時に真剣に買おうと模索した人にしか知りえない、特定条件下において起きていた事実であり実感なのです。

だからこそ、コロナショックはリーマンショックとは違うとか、金融が破綻したわけじゃないからそこまで価格は落ちないとか、理論値で予測する専門家の意見に惑わされず、自分が歩いて集めた実感を基に判断をしていただきたい。もちろん彼らの意見は大いに参考にして、自分自身の実感とすり合わせて欲しい。

当時、32歳だった私は結果的に私は企画段階では雲の上の存在と思い込んでいた、麻布の新築タワーマンションの上層階をとてもお得に購入することが出来て、そこから3年間毎日テンションの上がるマンションライフを満喫できたのです。

その事実から考えれば、今現在いつどういった家を買うか決めあぐねている貴方も、欲しい物件が高くて手が届かないと諦めモードの貴方も、今ここを流れる現場現物にしっかり目を向けることによって、近い将来思いもよらなかった憧れの暮らしを、現実のものとして迎え入れる日が来る可能性は大いにあり得ると思うのです。

そして私自身、そこに住んでみたことにより、その後経済ショックがもたらす意外な余波をさらに経験し、学びを深めた事が私を次の視点に導いたのでした。その内容はまた後日お伝えします。

TOP画像/(c)Shutterstock.com

ファイナンシャルプランナー兼アパート大家 モンコメリー

1976年生まれの44歳。26歳で最初の自宅マンションを購入。以降、不動産の凄さに目覚め、自宅は合計4回購入(新宿区、港区の都心)。
その後アパート投資、太陽光投資、民泊、スペース貸事業など様々な不動産関連投資を手掛けていく。
その経験を活かし“不動産にめっぽう強い”ファイナンシャルプランナー(FP)として、個人・法人の資産形成、財務改善、相続のアドバイザーとして活動している。

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Oggi12月号で商品のブランド名に間違いがありました。114ページに掲載している赤のタートルニットのブランド名は、正しくは、エンリカになります。お詫びして訂正致します。
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