ネット通販会社経営 F子さん(33歳)の場合
F子さんDATA
職歴:社会保険労務士として働いた後、知人の会社立ち上げに役員として参加。現在7年目。
手取り給与:約52万円
住まい:神奈川県でひとり住まい(猫3匹)
預金総額
普通預金:約35万円
貯蓄用口座:約350万円
投資信託:約50万円
TOTAL:約435万円
F子さんの通帳は、こんな感じ!
1|ピラティス月謝
毎週通うと決めて月額固定(回数制限なし)のコースに入会したが、今のところ月2回が平均実績。面倒になると一度も行かない月も。もったいないと思いつつも、今後もしばらく継続予定。
2|確定拠出年金掛金
所得税の節税になることもあり、約1年前に加入。最大額の2万円を老後の生活費のために毎月積み立て。会社の年金やこの掛金などで、はたして老後に足りるのか、漠然とした不安は残っている。
3|クレジットカード支払い
光熱費や通信費、外食費や服代など、ほとんどをカード払いに。この月の出費が大きかったのは、愛猫の病院代(5万円)、冬物の服代(10万円)があったため。ほかの月は20万円未満。
4|投資信託積み立て
1年ちょっと前から始めた投資信託で、これも老後のための蓄え。価格の変動はあるものの、それに一喜一憂せず、ひたすら貯めておき、引き出すのは60歳以降にしようと思っている。
5|給与
役員報酬(給与)のほか、年2回のボーナスを入れて年収は約1200万円。会社立ち上げ時は無給で働いたこともあったし、売り上げが伸びず悩んだこともあったが、5年前から安定してきた。
買い物も趣味も、止まらない! おひとりさま天国ただいま満喫中
「いよいよ来月、自分の城に引っ越します。3LDKのマンションは、おひとりさま向きじゃないと不動産会社にも言われたけど、猫3匹の部屋と趣味のポーセラーツ(磁器に絵付けをする)のための部屋が欲しかったから、これでいいんです。近隣の家族団らんを見ても、寂しくなることはないし、シングルって楽しい♪ と日々実感するばかり。結婚は…、2度失敗したからもういいです(笑)」
離婚慰謝料300万円は趣味と買い物でほぼ消費し、その後結婚相談所に40万円かけたが成果なし。悶々とした時期もあったが、ソロライフを楽しむと決めたら仕事もうまくいき始めた。
「知人とふたりで始めたペット雑貨の会社が、今では30人規模になり、軌道に乗ってきました。支社もできて、次に目ざすは海外展開! 1月から始まった月15万の新居のローン返済(プラス管理費2万円)はけっこう重荷ですけど、苦しくなったら趣味や習い事費用を抑えればいいかなと。それより、おひとりさまの老後にどれくらいあったら安心なのか。会社のお金なら1円単位できっちりなのに、自分のこととなると、まったく…」
届いた「ねんきん定期便」を眺めながらも、視線は先日買ったばかりのふたつめのカルティエの時計を見てはニヤニヤ。同じくカルティエのリングも予約済みだ。「老後のことは、またあとで考えればいいや」と、ベッドに倒れこむ。今日の夢は、海外支社を行き来する未来の自分の姿。はっと目が覚めたとき、「となれば、英語を習いに行かなくちゃ」となったF子さん。貯めることを考えるのは、やはりまだ先のことのようだ。
西山美紀さんが指南! マネーセンスを磨くアドバイス
高収入で素晴しい! けど注意点あり。毎月見えない場所にお金を移そう
F子さんは意志をもってバリバリ稼ぎ、精神的にも自立されていますね。投信積立や確定拠出年金を行っているのも◎。住宅費が手取りの約33%で高め(理想は3割未満)ですが、高収入なので家計にゆとりはできそう。住宅ローンは確実に返済していきましょう。
ただしゆとりがある分、出費は増えがち。将来に使えるお金をもう少し増やしたいところです。まず、月5万円を自動積立定期預金にするのがオススメ(月3万円程度からでもOK)。残ったお金を使うと、優先順位の高いものから買うようになり満足度が上がります。預金総額が年間手取り(約800万円)を超えたら自動積立定期預金の積立額を減らし、投信積立を増やして、積極的にお金を増やすことを考えてもいいでしょう。
老後資金ですが、自営業のメリットは定年がなく長く働いて収入を得られること、デメリットは退職金がないケースが多いこと。シングルの方は、一般的に老後資金として2500万円以上準備したいですが、老後に必要な生活費によって変わります。70歳で引退、100歳まで生きるとして計算すると…、F子さんは老後の生活費が月15万円なら約1700万円以上、月20万円なら約3500万円以上が、70歳までに準備したい目安(確定拠出年金を700万円受け取る前提)。退職金があれば、その分下がります。確定拠出年金で節税になった分をすべて貯めておくのもオススメです。
おひとりさまは、貯蓄以外にも、何かあったときに頼りあえる友人や親戚がいれば安心です。人づきあいを大切にして、長い人生の充実度をあげてくださいね。
Oggi2018年6月号「お金に困らない女になる!」より
文/南 ゆかり、西山美紀 デザイン/マミアナグラフィックス 構成/宮田典子(HATSU)
再構成/Oggi.jp編集部
TOP画像/(c)Shutterstock.com
西山美紀(にしやま・みき)
コラムニスト・ファイナンシャルプランナ Profileー。All About貯蓄ガイド担当。著書に『お金が貯まる「体質」のつくり方』(すばる舎リンケージ)。「日々を楽しみ、無理なくお金も幸せも貯まるコツをお伝えします」
南 ゆかり(みなみ・ゆかり)
フリーエディター・ライター。このコーナー連載15年目(!)にして、お金指南が加わり大幅パワーアップ! 自分の通帳を公開したいという方は、こちらのメールアドレスへご応募ください。年齢・お仕事・お金のこだわりと悩みも書いてくださいね。oggi@shogakukan.co.jp